仕事に使えるデカルト思考の表紙

仕事に使えるデカルト思考

「武器としての哲学」が身につく


本書の要点

  • デカルトは「理性の力」の重要性を強調した。すべての原点は「考える私」にあると考え、冷静に自分を観察する視点を持つことで、人は動じなくなる。

  • 理性の力を養うには鍛錬が欠かせない。特に読書は、著者の思考を通じて言葉と理性の両方を学ぶことができる。先人に学べば、その成果の上に新たな成果を築くことができ、自分の考え方を良いほうに変化させていける。

  • 理性の対極にある情念そのものが悪いわけではない。情念は思考を強化する側面を持つので、悪い情念をコントロールすることが重要である。

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デカルトを知る

思考の極意を説いたデカルト

デカルトは、フランス生まれの哲学者であり、数学者でもある。デカルトは、一つずつ整理して順番に解決する力として、「理性の力」の重要性を強調した。著書『方法序説』では、次のように綴っている。「私は旅に出て、思考の実験をして、ある境地に達した。それで、不安と後悔から一生、脱却できた」。この境地に至る理由や方法を子細に示したデカルトの著書は、まさに「思考の極意書」といえるだろう。このデカルト思考法を会得すれば、視界が晴れるに違いない。自分の感情をコントロールしつつ、仕事の判断を迅速かつ適切に下すことができるのだ。

哲学を技として身につける

francescoch/gettyimages

哲学を学ぶことは、ものの見方や自分の精神を変化させる。哲学の本質は「問う」ことにあるからだ。紀元前の古代ギリシャ時代には、ソクラテスやプラトンなどの哲学者が、自分を成立させている根本は何か、世界の根源は何か、といった本質的な問いを立ててきた。そうした問いは、自分の思考を深めてくれる。一方、「儲かればよい」「とりあえず効果があればよい」といった態度は表層的である。一時的にうまくいったとしても、将来的にビジネスシーンに貢献するものとなるかは疑問である。また、判断を先延ばしにしたり、確たる根拠もなく判断したりすることも、哲学的な態度が不足していると著者はいう。

哲学は私たちに生き方を問う学問なので、その内容を知るだけではなく、実践することが重要である。たとえば、実存主義について一通り説明できること自体には、それほど意味がない。実存主義を使った生き方をすることで、自分が不条理な状況に置かれたときでも、「自分の未来は自分の選択によって変えることができる」と、前向きに考えられるようになるのだ。

このようにデカルト思考は、現代人の「何となく不安」な精神状態を打破するためにも役立つ。思考が整理できず堂々巡りして、不安を増大させることがないように、筋道を立てて考えられるようにしてくれるからだ。デカルトの『方法序説』によって論理的思考力や判断力を、『情念論』によって感情コントロールを養える。理性の力を学び、理解し、実践するためのデカルト思考の本質を、以下で説明していく。

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要約公開日 2020.04.30
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