リード・ザ・ジブン

ユニクロで人材育成の責任者をやってみた。
未読
リード・ザ・ジブン
リード・ザ・ジブン
ユニクロで人材育成の責任者をやってみた。
未読
リード・ザ・ジブン
出版社
東洋経済新報社

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定価
1,760円(税込)
出版日
2020年01月30日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

「失われた30年」という言葉があるほど、日本企業は平成の間に置いてきぼりをくらった。日本企業の中で、人生において実現したいものが見つかっておらず、“志”がないまま、モヤモヤした気持ちを抱いている企業戦士は多いのではないだろうか。

著者自身、40歳まではこれといった志を持たず、目先のことだけに囚われていたという。そんなとき、特定非営利活動法人であるISL(Institute for Strategic Leadership)の創設者、野田智義氏のリーダーシップ研修を受け、人生の転機とも言える衝撃を受けたそうだ。

本書のタイトルにもなっている「リード・ザ・ジブン」とは、野田氏のいう「リード・ザ・セルフ」を起点にしながら、著者がさまざまな人材育成機関での経験を取り入れ、試行錯誤を重ねて磨き上げてきた「人・組織の変革手法」だ。その本質は、「過去最高の自分を育て、仲間を育て、最強チームをつくる」ことにある。過去最高の自分に進化し続けることで、“自立自走人材”へと脱皮し、ひいては組織を強力に引っ張れるリーダーになれるという。

本書では、リード・ザ・ジブンを行なうための2つの要素と、著者が自ら開催する「異業種交流研修」で実践してきた3つのフレームワークが取り上げられている。どれも社内外ですぐに試せるものだ。本書を、自分の人生を見つめ直すための一石としてみてはいかがだろうか。

著者

宇佐美潤祐(うさみ じゅんすけ)
東京大学経済学部卒業。ハーバード大学ケネディ大学院修了(政策学修士)。アーサー・D・リトル経営大学院修了(経営学修士、首席)。
1985年に東京海上に入社。米国留学を経て、戦略コンサルティング業界へ。ボストン コンサルティング グループ(BCG)ではパートナー、組織プラクティスの日本の責任者を務め、Organization Practice Awardを受賞。その後、シグマクシスを経て、2012年から2016年の間、ファーストリテイリングの人材育成機関FRMIC担当役員を務めた。その後アクセンチュアの人材組織変革プラクティスのジャパン全体の責任者を経て、2019年リード・ザ・ジブンを起点にして人材組織変革を手掛けるUNLOCK POTENTIAL(「人と組織の可能性を解き放つ」の意味)を設立。デジタルトランスフォーメーションにともなう人材組織変革、経営者人材育成、経営チーム変革、組織風土変革、新規事業創出等のコンサルティングおよび日本のミドルを脱皮させるリード・ザ・ジブン・キャンプを主宰している。

本書の要点

  • 要点
    1
    日本企業は、リーダーシップの問題と社員個人の問題を抱えている。VUCAの時代においては、こうした制度は会社に致命的なダメージを与える可能性がある。
  • 要点
    2
    リード・ザ・ジブンを行なうためには、「自分事化」と「絆づくり」の2つのアプローチが効果的だ。
  • 要点
    3
    仲間とともに「人生曲線」「EGAKU」「My Aspiration」という3つのワークを行なうと、チームビルディング効果と、自己肯定感の増幅効果、そして仲間から“志”を実行するための背中を押してもらえるという効果が期待できる。

要約

日本企業と日本人が直面している問題

このままではヤバい日本企業

いま世界は、VUCAと呼ばれる、予測不能で、ディスラプターがなぐり込みをかけてくる時代に突入している。しかし日本企業は、こうした環境に対応する力が極めて弱い。令和に入っても過去の延長戦のような経営を続けているからだ。

平成元年と平成30年の世界時価総額トップ10ランキングを比較してみよう。平成元年では10社中7社が日本企業であったが、平成30年ではトップ10はおろか、トップ50に入っているのも1社のみとなっている。

今こそ会社と社員の関係を抜本的に見直さなければならない。そうでないと、企業としての存在自体も危うくなってしまうだろう。

2つの本質的課題
AzmanL/gettyimages

日本企業の抱える問題点は2つある。リーダーシップの問題と社員個人の問題だ。

まず、リーダーシップの問題だ。VUCAの時代においては、未来の「ありたい姿」を構想し、現状と比較して本質的な課題を再定義する未来志向型経営が求められる。しかし多くの日本企業は、「ありたい姿」を構想できないまま、現状の延長線上の課題をファクト&ロジックで解いているだけである。

次に、社員個人の問題だ。日本企業はこれまで、日本的な雇用・人事制度を行なってきた。つまり、会社の論理が最優先で、社員はいかにそれを効率的に実現するかで評価されてきたのだ。

予測不可能な環境においては、こうした制度は会社に致命的なダメージを与える可能性がある。会社から指示されたことをそのまま実行するのではなく、個人個人が現場で起こっている変化の兆しを察知し、正しい課題設定をして解決していかなければならない。

【必読ポイント!】 リード・ザ・ジブン方程式

リード・ザ・ジブンの背景
takasuu/gettyimages

著者は20年以上にわたり、延べ数百のプロジェクトで戦略構築支援を行ってきた。しかし、その中で忸怩(じくじ)たる思いを感じることもあった。その理由は、コンサルタントとして自信満々で提言した戦略だとしても、大きな成果が出るケースはそのうちの半分にも満たなかったからだ。

一方で、戦略の質がイマイチであっても想像以上の成果をあげるケースもあった。クライアントがその戦略を巧みに「自分事化」して、すごいパワーで実行した場合だ。

成功するケースと失敗するケースは何が違うのか――著者はこの違いを長年考え続け、ある方程式を導き出した。

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