自分をコントロールする力

非認知スキルの心理学
未読
日本語
自分をコントロールする力
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非認知スキルの心理学
未読
日本語
自分をコントロールする力
出版社
定価
990円(税込)
出版日
2019年11月20日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

将来の目標のために、目の前にある抗いがたい誘惑を乗り越える力は、程度の差こそあれ誰にとっても必要なものといえるだろう。著者の森口佑介氏は、このような自分をコントロールする力は「頭の良さ」とは別の能力だとする。

知識の量や、問題を速く処理する能力などは、専門的には「認知的スキル」と呼ばれている。一方、自信や真面目さ、社交性などは、認知的スキルとは異なる能力として、「非認知スキル」と呼ばれている。本書ではその非認知スキルの1つとして、目標を達成するために自分の欲求や考えをコントロールする能力である、「実行機能」の重要性を主張している。子どものときにこの機能が高いと学力や社交性が伸び、大人になってからも経済的な成功をおさめ、健康状態もよくなることが示されているそうだ。

そう聞くと、子どもをもつ人は我が子の実行機能を鍛えてやりたいと思うのではないだろうか。結論を言ってしまえば、実行機能に悪影響を与えるものははっきりと本書にも書かれている。それを避けることが肝要だ。一方で、実行機能に良い影響を与えるものについては、残念ながらよくわかってはいない。

しかしそれは裏を返せば、自分をコントロールするための神業的な方法論は見つかっていないということだ。「わかっていない」のにもかかわらず無根拠な方法論を説いているものが、世の中にあまりにあふれている。そうした眉唾ものの情報に振り回されない視点を、ぜひ本書から身につけていただきたい。

ライター画像
池田明季哉

著者

森口佑介(もりぐち ゆうすけ)
福岡県生まれ。京都大学大学院文学研究科修了。博士(文学)。現在、京都大学大学院教育学研究科准教授。専門は、発達心理学・発達認知神経科学。著書に、『自己制御の発達と支援』(編著、金子書房、2018年)、『おさなごころを科学する:進化する乳幼児観』(新曜社、2014年)、『わたしを律するわたし:子どもの抑制機能の発達』(京都大学学術出版会、2012年)など。
Twitter:@moriguchiy

本書の要点

  • 要点
    1
    健康な社会生活を営むためには、自分の欲望を抑えたり、物事を計画的に実行したりするための「実行機能」が重要な役割を果たす。
  • 要点
    2
    実行機能には、目標のために欲求や感情をコントロールする「感情の実行機能」と、目標のためにくせや習慣をコントロールする「思考の実行機能」の2つがある。
  • 要点
    3
    子どもの頃の実行機能の高さは、その後の人生の状況に多岐にわたって影響を与える可能性がある。
  • 要点
    4
    子どもの実行機能を十分に発達させるためには、養育者との心身のつながり、家庭環境が特に重要であると考えられている。

要約

人生に大きな影響を与える「実行機能」

人は毎日我慢して生きている
fizkes/gettyimages

どんな人でも、毎日さまざまな誘惑と戦い、我慢している。例として、ある会社員の一日を見てみよう。朝から配偶者に嫌味を言われ、甘いものが食べたくなったが血糖値を気にして糖分控えめのパンに。満員電車を耐え忍び、会社では上司に別の仕事を優先してほしいといきなり言われ、出かかった文句の言葉を抑える。ランチも好きなものではなくカロリーオフの食事にし、節約のためにコーヒーは我慢。夜には眠気をこらえながら残業だ。

人は高頻度で何らかの欲求を感じ、それを抑え込んでいるということが、ある研究でも示されている。もっとも感じやすい食欲、睡眠欲だけでなく、性欲や、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)での承認欲求などもある。

すべての欲求に打ち勝つことができない場合を想像してみよう。自分の欲求や考えをコントロールする能力、すなわち「実行機能」が、健康な社会生活を営むうえで欠かせないものであることがわかるだろう。これは、目の前にある誘惑に抵抗し、将来的に利益を得られる方法を選択するための力となる。

また実行機能は抑制だけでなく、物事に優先順位をつけて計画的に進めるためにも重要な能力だ。実行機能の低い上司は、うまく仕事の管理ができないとも言われている。

実行機能が十分な人は仕事がこなせて、さらには肥満になりにくいなど健康的な生活を送れる可能性が高い。となると、この能力を身につけることは多くの人にとって重要なことだといえるだろう。

IQだけでは足りない

子どもの将来にとって重要な能力として、IQがあげられることは多い。しかし、知識が豊富で頭の回転が速くても、社会に出た後に遅れをとる人もいる。このような差を生むのは「非認知スキル」だ。言うなれば、自分を大事にしながら他人ともうまく付き合っていく能力である。

IQが生涯を通じてあまり変化しないのに対して、非認知スキルは教育や子育ての仕方によって変化する可能性がある。

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