勉強の哲学
来たるべきバカのために 増補版

未 読
勉強の哲学
ジャンル
著者
千葉雅也
出版社
定価
770円(税込)
出版日
2020年03月20日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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来たるべきバカのために 増補版
著者
千葉雅也
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定価
770円(税込)
出版日
2020年03月20日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
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レビュー

何のために勉強するのか。子供の頃は、受験で良い学校に合格するために勉強する。社会人になれば、資格取得やスキルアップのために勉強する。そうした勉強の目的は、良い企業に就職して、安定した生活を送ることだ。だが良い学校に合格して、資格をたくさん取得したからといって、必ずしも良い人生を送れるとは限らない。より良い生き方とは、自分なりの生きる楽しみ、すなわち享楽的こだわりを追究して実現すること、新たな享楽に出会って生まれ変わるような体験をすることではないだろうか。

本書は、いかに効率的に勉強して良い成績をとるかという、一般的な勉強論を提示するものではない。それどころかノリが悪くなること、「バカ」になることを推奨しているので、一見すると軽薄な本のように感じられるかもしれない。だが決してそうではないのだ。本書の核心には、専門的な学問や研究への深い信頼があり、世間の人たちがなんとなく合わせてしまっている「当たり前」を疑うという、哲学的な批判的思考がある。そして平易な文体の背後には、著者の高く積み重ねられた専門知と、経験に根ざした深い省察がある。

現代において教養を深める大切さを説いた、きわめて良識的な書物だ。読み終わる頃には、きっと「勉強」がしたくなる。

ライター画像
大賀祐樹

著者

千葉雅也 (ちば まさや)
1978年栃木県生まれ。東京大学教養学部卒業。パリ第10大学および高等師範学校を経て、東京大学大学院博士課程修了。博士(学術)。現在は、立命館大学大学院先端総合学術研究科准教授。著書に『動きすぎてはいけない――ジル・ドゥルーズと生成変化の哲学』『意味がない無意味』『アメリカ紀行』のほか、小説『デッドライン』など。

本書の要点

  • 要点
    1
    人は周りのノリに合わせて生きている。しかし周りのノリとは違う新しいノリを手に入れるのが勉強だ。勉強とはノリが悪くなりキモくなること、新しいノリへ引っ越して、来たるべきバカになることである。
  • 要点
    2
    勉強にはツッコミ=アイロニーと、ボケ=ユーモアという2つの方法がある。前者は自分が置かれているノリを疑って根拠を突き詰めることであり、後者はそもそものノリからズレることを意味する。
  • 要点
    3
    勉強の範囲はキリがないため、有限化する必要がある。その範囲は、恒久的な「決断」ではなく、一時的な「中断」によって定めるべきだ。
  • 要点
    4
    中断によって仮固定された範囲を、さらなる比較によって広げていく積み重ねが、勉強を続けるということである。

要約

来たるべきバカになるための勉強

勉強するとノリが悪くなる
pictore/gettyimages

人は誰しも、生きていくのに必要なスキルを勉強する。その内容は、読み書き、計算、仕事のスキルなどさまざまだ。もちろん「深く」勉強をしなくても、生きていくことはできる。それは周りに合わせて動き、状況にうまく「乗れる」、ノリのいい生き方である。

逆に「深く」勉強することは、流れのなかで立ち止まることであり、いわば「ノリが悪くなる」生き方だ。いままでと比べてノリが悪くなる段階を通り、「新しいノリ」に変身するという、時間がかかる勉強法である。勉強を深めることで、これまでのノリでできた「バカなこと」がいったんできなくなり、人生の勢いがしぼんでしまう時期に入るかもしれない。しかしその先には、「来たるべきバカ」に変身する可能性が開けている。

勉強とは獲得ではなく、喪失することだ。それはみんなでワイワイやれる第一段階、いったん昔の自分がなくなるという試練を通過する第二段階、その先で来たるべきバカに変身する第三段階を経る。来るべきバカとは、たんに周りのノリに合わせるのではなく、その背後に小賢しさを畳み込むこと、自分の根っこにあるバカさを変化させ、別のしかたでバカになり直すこと、いわば新たな意味でのノリを獲得する段階のことなのである。

別のノリへと引っ越す

勉強とは、「自由になる」ための自己破壊だ。この深い勉強を、本書では「ラディカル・ラーニング」と呼ぶ。私たちは会社や家族や地元といった「環境」に属し、可能性を制限されている。環境のなかで行動は決まるので、「完全に自由にして良い」となったら次の行動を決められない。無限の可能性が有限になることで、はじめて行動できるようになる。

環境には、いつの間にか身につけた「こうするもんだ」がなんとなくある。それに合わせた生き方をしているとき、私たちはその環境のコードにノってしまっている。逆にコードにそぐわない行為を「やらかして」しまうのは、「ノリが悪い」ということであり、周りから「浮く」ということである。たいていの場合、こうした環境のノリと自分の癒着は意識されない。

勉強とは、ある環境のノリから抜け出し、別のノリへと引っ越しすることである。英語を学べば英語的なノリへ、社会学を学べば社会学的なノリへの引っ越しが起きる。しかし引っ越す途中での、2つのノリの「あいだ」で、私たちは自分が引き裂かれるような居心地の悪い思いをする。新しい環境では、ものの名前や専門用語、略語をわざわざ使わなければならず、これまでのノリならこんな言い方をしなかったと違和感を持つだろう。だがこの違和感を見つめることで、自分を言語的にバラせるようになり、自己破壊が生じるのだ。

このように言語を意識的に操作することは、どんな勉強にも共通して重要である。ラディカル・ラーニングとは、あえてノリが悪くて場違いな言葉の選び方を、意識的にできるようになることと言える。

いかにしてノリを悪くするか

わざとキモい自分を作り出す
sjharmon/gettyimages

勉強すると、「批判的になる」姿勢が身につく。批判的に今とは別の可能性を考えるということは、わざとノリが悪くなることを意味する。自由の余地は、この「ノリが悪い語り」や「キモい」語りに宿っている。勉強によって自由になるとは、要するにキモい人になることである。

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