スタンフォードのストレスを力に変える教科書

未 読
スタンフォードのストレスを力に変える教科書
ジャンル
著者
ケリー・マクゴニガル 神崎朗子(訳)
出版社
定価
880円(税込)
出版日
2019年10月10日
評点
総合
4.2
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.5
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スタンフォードのストレスを力に変える教科書
著者
ケリー・マクゴニガル 神崎朗子(訳)
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定価
880円(税込)
出版日
2019年10月10日
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総合
4.2
明瞭性
4.0
革新性
4.0
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おすすめポイント

本書は「ストレス」の正しい捉え方、付き合い方について書かれたものだ。なかには従来の考えとは異なる内容も含まれており、にわかには受け入れがたい部分もあるかもしれない。だがさまざまな科学的調査や実験データに裏付けられており、説得力が感じられる。

本書はPart 1とPart 2に分かれている。「ストレスを見直す」と題されたPart 1では、「マインドセット(考え方)が体に影響を与える」という研究の紹介から始まる。その後、ストレスを感じたときの反応の種類、ストレス研究の歴史などが紹介される。興味深いことに、ストレス源と生きがいは重なることが多い。実際、ストレスが多い人のほうが、より人生に充実感を覚えているという調査結果もある。

続く「ストレスを力に変える」と題されたPart 2では、ストレスを味方につけるためのマインドセットが語られる。強いストレスを感じた際、どのようにしてストレスをパフォーマンス向上に役立てるか、バーンアウト(燃え尽き)しないように働くにはどう目標設定すればいいのか、逆境を克服するにはどうしたらよいかなど、実験データや調査結果、具体事例などとともに明かされるのがポイントだ。

さらにストレスに強くなるための「エクササイズ」が、本書ではいくつも紹介されている。「読んで終わり」ではなく、具体的に実践できるわけだ。しかも一度これらのエクササイズをやるだけで、一生ストレスを味方につけることができるという。これはやってみるしかないだろう。

ライター画像
河合美緒

著者

ケリー・マクゴニガル (Kelly McGonigal)
ボストン大学で心理学とマスコミュニケーションを学び、スタンフォード大学で博士号(健康心理学)を取得。スタンフォード大学の心理学者。心理学、神経科学、医学の最新の知見を用いて、人びとの健康や幸福、成功、人間関係の向上に役立つ実践的な戦略を提供する「サイエンス・ヘルプ」のリーダーとして、世界的に注目を集める。メディアでも広く取り上げられ、「フォーブス」の「人びとを最もインスパイアする女性20人」に選ばれている。TEDプレゼンテーション「ストレスと上手につきあう方法」は900万回超の再生回数を記録。著書に、20カ国で刊行され日本でも60万部のベストセラーとなった『スタンフォードの自分を変える教室』をはじめ、『DVDブック 最高の自分を引き出す法』(ともに大和書房)、“The Neuroscience of Change”(オーディオブック/未邦訳)などがある。大学での講義のほか、活発な講演活動のかたわら、心身相関を重視する立場から、グループフィットネス、ヨガなどの指導も行っている。

本書の要点

  • 要点
    1
    強いストレスの有無だけでは、死亡リスクに影響はない。だがストレスを受け、さらに「ストレスは健康に悪い」と考えていると、死亡リスクが高まる。
  • 要点
    2
    ストレス反応には、よく知られている「闘争・逃走反応」の他にも、「チャレンジ反応」「思いやり・絆反応」がある。
  • 要点
    3
    一般に信じられていることとは異なり、ストレスホルモンの分泌量が多い方が、パフォーマンスは上がる。また、ストレスの効果に自覚的な方が、ストレスの効果を利用しやすい。

要約

ストレスを知る

ストレスそのものが有害なわけではない
fizkes/gettyimages

健康心理学者である著者は、長い間、授業や研究などで「ストレスは有害である」と述べてきた。しかしある研究結果をきっかけに、それまでの考え方を見直しはじめた。その研究結果は、1998年にアメリカで3万人の成人を対象に得られたものだった。まず参加者に対して、「ストレスを感じたかどうか」、「ストレスは健康に害をもたらすか」という質問が行われた。そして8年後の追跡調査で、参加者のうち誰が亡くなったかを確認した。その結果、死亡リスクが高まっていたのは、強度のストレスを受けた参加者のなかでも、「ストレスは健康に悪い」と考えていた人たちだけであった。

ストレスそのものではなく、ストレスをどう捉えているかが、健康状態を左右する――こうした考え方は、従来の考え方と異なるものであった。一方で健康心理学者である著者は、ものごとに対する考え方が健康と寿命に関係するということを、他の事例を通して認識していた。たとえば「年齢を重ねることをポジティブに考えている人は、ネガティブに考えている人よりも長生きする」、「他人を信用できると考えている人は、信用できないと考えている人よりも長生きする」といったことはわかっていた。

そこで著者は、過去30年間の科学的研究と調査の内容を詳細に調べ、データを見直した。そして最終的に、それまでのストレスについての考え方を改め、「ストレスを受け入れることが正しいストレスマネジメントである」という結論に達した。

マインドセットは身体反応に影響する
SIphotography/gettyimages

最近の研究で、マインドセットは長期的な健康や幸福感、成功に影響するという事実が明らかになってきている。

また、簡単な介入実験に1回参加するだけで、マインドセットは変えられることもわかった。ここでは心理学者アリア・クラムによる、ストレスに関するマインドセットの実験を紹介したい。参加者は2種類のビデオ映像のどちらかを観たあと、模擬面接を受けた。どちらのビデオも実際の研究事例を引用したものだが、一方はストレスによるパフォーマンスの向上など、ストレスのよい点を語り、もう一方はストレスが健康を害するなど、ストレスの悪い面を語っているものであった。その後、被験者の唾液を分析することで、ストレス反応を確認した。

ストレスを感じた際に分泌されるホルモンとして、コルチゾールとデヒドロエピアンドロステロン(DHEA)がある。コルチゾールは代謝を助け、ストレス負荷がかかっているときにはあまり重要でない、消化や生殖などの生物的機能を抑える働きを持つ。一方でDHEAは脳の成長を助ける男性ホルモンで、治癒力と免疫機能を高める働きを持つ。

双方とも重要なホルモンだが、長期的なストレスに対してはDHEAの割合が高い方が、ストレスに関するさまざまなリスクが減った。コルチゾールに対するDHEAの割合は、ストレス反応の「成長指数」と呼ばれており、成長指数が高いほど、ストレスに負けずに対応できるようになる。

模擬面接が始まると、どちらのグループの被験者も、コルチゾール値が上昇した。しかし面接前に「ストレスにはよい効果がある」というビデオを観た被験者は、「ストレスは健康に悪い」というビデオを観た被験者に比べてDHEAの分泌量が多く、「成長指数」が高かった。「ストレスが役に立つ」と考えたことによって、生理的状態が変化したのだ。

ストレス反応

ミスマッチ理論

現在参照されているストレス研究のほとんどは、人間ではなく実験動物を対象に行われていたものだ。

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