「仕事ができる」とはどういうことか?

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「仕事ができる」とはどういうことか?
出版社
出版日
2019年12月10日
評点
総合
3.8
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

本書は、楠木建氏と山口周氏という気鋭の論者2人が、ビジネスにおける「センス」について縦横に語り合ったものである。センスの重要性はみな薄々感じているのに、「それはセンスだよ」と言ったとたんにそこで話が終わるようなところがあり、あまり正面から論じられてこなかった。本書はあえてその先に踏み込んでいる。

本書によれば、センスとは「具体と抽象の往復運動」である。個々の具体の問題を具体のままに終わらせることなく、抽象度の高いロジックにして頭の中の引き出しに入れておく。そして、場合に応じて引き出しから取り出す。この作業を繰り返すことで、具体の世界だけで考えている人から見ればあっと驚くような解決策を打ち出していく。周りからはセンスがよいとしか思えないが、その正体はロジックなのである。

ロジックだから、センスは後天的に身につけることができる。本書の後半では、その方法が紹介されている。一つは、センスのある人を徹底的に、一挙手一投足に至るまで視(み)ることである。「かばん持ち」のようなことができれば一番いい。もう一つは、「要するに」と、問題を抽象度を上げて考える習慣を身につけることだ。

センスとスキルは対となるものであり、そのどちらも大切である。ただし「役に立つ」ものではなく「意味がある」ものが求められる日本のマーケットでは、センスなくして価値のある仕事をすることが難しくなっている。本書を先導役として、私たち一人ひとりが、センスとスキルという二軸をしっかり意識することを出発点としたい。

ライター画像
しいたに

著者

楠木建(くすのき けん)
1964年東京都生まれ。89年一橋大学大学院商学研究科修士課程修了。一橋ビジネススクール教授。専攻は競争戦略。企業が持続的な競争優位を構築する論理について研究している。著書に『ストーリーとしての競争戦略 優れた戦略の条件』(東洋経済新報社)、『室内生活 スローで過剰な読書論』(晶文社)『すべては「好き嫌い」から始まる 仕事を自由にする思考法』(文藝春秋)など。

山口周(やまぐち しゅう)
1970年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部哲学科、同大学院文学研究科修士課程修了。独立研究者、著作家、パブリックスピーカー。電通、ボストン・コンサルティング・グループ、コーン・フェリー等で企業戦略策定、文化政策立案、組織開発に従事。現在、株式会社ライプニッツ代表、株式会社中川政七商店、株式会社モバイルファクトリー社外取締役、一橋大学大学院経営管理研究科非常勤講師。著書に『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」』(光文社新書)、『ニュータイプの時代 新時代を生き抜く24の思考・行動様式』(ダイヤモンド社)、『武器になる哲学 人生を生き抜くための哲学・思想のキーコンセプト50』(KADOKAWA)など。

本書の要点

  • 要点
    1
    センスはスキルとは異なり、示したり測ったりしにくく、標準的な習得の方法がないため、ビジネスでは後回しにされがちだ。
  • 要点
    2
    昨今では、「役に立つこと(スキル)」よりも「意味があること(センス)」が評価されるようになりつつある。
  • 要点
    3
    センスのいい人は、習慣的に「具体と抽象の往復運動」を行っている。それはすなわち、具体的な事象を抽象化して得られたロジックをストックしておき、問題に直面したときにその中から解決策を取り出すことだ。

要約

仕事ができる人はセンスがある

スキルとセンス
recep-bg/gettyimages

本書は、楠木建氏(以下、楠木氏)と山口周氏(以下、山口氏)の対談形式で構成されている。要約では、対談のエッセンスをまとめて紹介する。

そもそも仕事とは何か――本書はその定義から始まっている。著者(楠木氏)の定義では、「仕事」とは「趣味」でないものである。趣味は自分のためにやることで、自分が楽しければそれでいい。一方、仕事は「自分以外の誰かのためにやること」である。「自分以外の誰か」は、取引先だけではない。上司や部下、同僚など、組織の中にもあなたの仕事を必要としている人がいる。そのような人たちに価値を与えることができて初めて「仕事」になる。

「仕事ができる人」とは、「自分以外の誰か」に「頼りになる」「安心して任せられる」「この人ならなんとかしてくれる」、さらには「この人じゃないとダメだ」と思わせる人だ。一言で言えば「成果を出せる」人である。

この意味で、仕事の能力は「あれができる・これができる」というスキルを超えた「センス」だと言える。

役に立つか、意味があるか

センスとは何か。スキルは言語化・数値化して示せるが、センスは説明しにくい。またスキルは、正しい方法を選択し、時間を継続的に投入して努力すれば、間違いなく上達するものだ。TOEICやプログラミングがその例である。一方、センスは、努力と得られる成果の因果関係がはっきりしていない。

これまで、スキルはもてはやされてきた。金になったからだ。ところが昨今では、「役に立つ」ことが求められなくなり、「役に立つこと(スキル)」よりも「意味があること(センス)」が評価されるようになりつつある。実際、「役に立つモノ」よりも「意味があるモノ」のほうが高い値段で売られている。

例えば自動車の世界では、日本車のほとんどは「役に立つけど意味がない」ものだと言える。移動手段としては「役に立つ」が、そのクルマがあることで人生の豊かさや充実感が得られるわけではない。

一方、ランボルギーニやフェラーリはどうだろうか。車体は巨大なのに2人しか乗れず、悪路が走れないクルマなのに、数千万円の対価を支払ってでも欲しがる人が大勢いる。彼らは「意味的価値」にお金を支払っているのだ。

著者(山口氏)は、これを「近代の終焉」と表現している。日本企業の多くは「役に立つ」ことで評価されてきたのだから、「役に立つ」から「意味がある」への変化は、決して無視できない、大きな変化である。

直観か、論理か
MicroStockHub/gettyimages

仕事において、「直観(センス)」と「論理(スキル)」のいずれもが重要であることは言うまでもない。しかし、順番の問題としては、直観が論理に先行していなければならない。問題を発見・設定するためには直観が必要だからだ。

「分析(スキル)」と「綜合(センス)」についても同じようなことが言える。分析という作業には、「全体をどういうふうに分けるのか」という視点があるはずだ。その分け方にセンスが問われる。悪さの原因を直感的につかんでいなければ、「意味のある分け方」はできない。

分析をしても、これといった示唆や洞察が得られない人は多い。そういう人には、「スジのいい直観」がないのだ。

センスのある人の仕事ぶり

全体を相手にしている

もちろん、すべての仕事を一人でできるわけはない。それを前提として、センスのある人は、全部を相手にしている。

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要約公開日 2020.05.25
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