武器としての「資本論」

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武器としての「資本論」
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武器としての「資本論」
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出版社
東洋経済新報社

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定価
1,760円(税込)
出版日
2020年04月23日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

カール・マルクスによる『資本論』に、はたして現代的意義はあるのだろうか。ソビエト連邦をはじめとした社会主義国が崩壊し、共産主義革命など歴史上のできごとになってしまった今、『資本論』も研究者のみが手に取る古典のひとつとなるのだろうか。

決してそうではない。新自由主義が世界中に蔓延し、豊かな者と貧しい者の格差がますます激しくなる今こそ、『資本論』を読むべきだ。本書は、そのための大きな補助線を引いてくれる。

なぜ私たちは、「スキルを身につけなければ、生きていけない」と考えるのか? 貧困に苦しむ人々を見て、「自己責任だ」と思うのか?

それは私たちの思考様式、ひいては魂までも資本主義社会に「包摂」されてしまっているからだと、著者は説く。資本主義の目的は利益を増殖させることであり、人々を豊かにすることではないのにもかかわらず。

苦しむ労働者を救う手段としてマルクスが説いたのが、労働者が資本家に対してさまざまな要求をする「階級闘争」だ。しかし新自由主義の現在では、富裕層の税率が一般労働者よりも低く抑えられるなど、資本家側に有利なさまざまな仕組みが作られている。

格差や貧困、ブラック企業などの問題がこのままで良いとは、誰も思わないだろう。しかし、どうすれば変えられるか見当がつかない。スキルがあるとかないとかではなく、誰もが豊かに生きる権利を持っているということを思い出さなくてはならない。本書は、そうした『資本論』からのメッセージで、私たちを奮い立たせてくれる。

ライター画像
ヨコヤマノボル

著者

白井聡(しらい さとし)
思想史家、政治学者、京都精華大学教員。1977年東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。一橋大学大学院社会学研究科総合社会科学専攻博士後期課程単位修得退学。博士(社会学)。3・11を基点に日本現代史を論じた『永続敗戦論 戦後日本の核心』(太田出版、2013年)により、第35回石橋湛山賞、第12回角川財団学芸賞などを受賞。その他の著書に『未完のレーニン』(講談社、2007年)、『「物質」の蜂起をめざして レーニン、〈力〉の思想(増補新版)』(作品社、2015年)、『属国民主主義論』(内田樹氏との共著、東洋経済新報社、2016年)、『国体論 菊と星条旗』(集英社新書、2018年)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    なぜ今、マルクスの『資本論』を学ぶのか。それは、私たちが生活の中で直面する不条理や苦痛の理由を知るためであり、生き延びるための武器とするためだ。
  • 要点
    2
    資本主義とは、あらゆるものを商品として売り買いする社会であり、労働力も「商品を生産する商品」として扱われる。
  • 要点
    3
    労働の場に機械が入っても、AIが入っても決して労働者は楽にならない。支払われる賃金は、生み出す価値にかかわらず、労働者が生き続けるために必要な最低限の額を目安に決まるからだ。

要約

現代にこそ蘇るマルクス

生き延びるための『資本論』

なぜ今、マルクスの『資本論』を学ぶのか。これまでも膨大な研究書や批評書があふれている『資本論』を見直すのは、これを生き延びるための武器とするためだ。

『資本論』のすごいところは、国際経済、グローバル資本主義といったマクロな話に関わることだけではない。上司がなぜイヤな態度をとるのかといった、きわめて身近で非常にミクロなところにも関わっていて、それらがすべてつながっていることを見せてくれる。

『資本論』を知ることで、苦しまざるを得ないような状況を甘受して生きることはバカバカしいことなのだ、と腑に落ちる人が増えれば、世の中は大きく変わるはずだ。

資本主義社会とは?
Andrii Yalanskyi/gettyimages

『資本論』の冒頭は、「資本主義的生産様式の支配的である社会の富は、『巨大な商品集積』として現れ」という言葉を頭に、「われわれの研究は商品の分析をもって始まる」と結ばれる。

なぜ『資本論』は「商品」の分析から始まっているのか。私たちの生きている社会では、必要な物の大半を「商品」で入手し、また自らも労働によって「商品」を生産しているからだ。実は労働力も、資本家が労働者から買う「商品」である。

つまり資本主義社会とは、労働力などの「商品による商品の生産」が行われる社会であり、さらに「富」と「商品」を同一視する社会と表現することができる。必要なものを自給自足していた社会では、「富」はあっても「商品」はなかった。この資本主義社会では、まだ商品となっていないものでもいずれは商品化されることになる。

商品はどこからやってくる?

マルクスは「商品」の生まれる過程について、「商品は、共同体の内部では発生しない」と言っている。たとえば、家族という共同体の中で物を売り買いすることはまずない。

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