日本文化の核心
「ジャパン・スタイル」を読み解く

未 読
日本文化の核心
ジャンル
著者
松岡正剛
出版社
定価
1,100円(税込)
出版日
2020年03月20日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
4.5
応用性
3.0
要約全文を読むにはシルバー会員またはゴールド会員への登録・ログインが必要です
本の購入はこちら
この要約を友達にオススメする
日本文化の核心
日本文化の核心
「ジャパン・スタイル」を読み解く
著者
松岡正剛
未 読
書籍情報を見る
ジャンル
出版社
定価
1,100円(税込)
出版日
2020年03月20日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
4.5
応用性
3.0
本の購入はこちら
レビュー

「日本文化の核心は何か?」――そう聞かれて、自信を持って即答できる日本人はほとんどいないのではないだろうか。たしかに能、歌舞伎、茶の湯は間違いなく日本文化である。また著者が指摘するように、『君の名は。』もサンドウィッチマンの漫才も、コンビニのおにぎりも日本文化といえるだろう。では、それらの「日本文化」に共通するものは何か? はたまた、共通するものなどそもそもあるのだろうか?

こうした問いに対し、日本文化に共通するものは「ある」と、著者は力強く断言する。しかしそれは到底、一言であらわせるものではない。なぜなら日本文化はハイコンテキストで、わかりにくい文脈や表現にこそ真骨頂があるからだ。

とはいえ「日本文化はワビ・サビの文化だ」といわれても、「多神教の日本文化は多様性を大切にしている」といわれても、何か物足らない感じがする。私たちが知りたいのは、その「ワビ・サビ」や「多様性」の本質は何かという点である。

本書はこの疑問に明快な答えを示すべく、日本文化の核心、その正体に迫っていく。日本文化を理解するための「視点」とも「補助線」ともいえる「ジャパン・フィルター」という概念を手がかりに、日本開闢(かいびゃく)の神話から新型コロナウィルスの問題まで、日本の歴史や社会問題を縦横無尽に駆け巡る。本書を読めば、新しい「日本」のあり方が浮かび上がってくるに違いない。

しながわ

著者

松岡正剛 (まつおか せいごう)
編集工学研究所所長、イシス編集学校校長。日本文化、芸術、生命哲学、システム工学など多方面におよぶ思索を情報文化技術に応用する「編集工学」を確立。また日本文化研究の第一人者として「日本という方法」を提唱し独自の日本論を展開している。著書に『知の編集術』(講談社現代新書)、『花鳥風月の科学』(中公文庫)、『日本流』(ちくま学芸文庫)、『日本という方法』(NHKブックス)、『多読術』(ちくまプリマー新書)、シリーズ「千夜千冊エディション」(角川ソフィア文庫)、共著に『日本問答』(田中優子、岩波新書)、『読む力』(佐藤優、中公新書ラクレ)ほか多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    「ジャパン・フィルター」とは、日本独自の哲学や美の核心を知るための手がかりのことである。
  • 要点
    2
    仮名(かな)の発明や神仏習合に見られるように、リミックスやエディティング(編集)という方法は、日本文化をあらわす重要なコンセプトだ。
  • 要点
    3
    「ジャパン・スタイル」とも呼ぶべき日本文化の正体は「変化するもの」にあり、これは面影や「うつろい」を通してやってくる。

要約

日本文化の正体は「変化するもの」にある

ジャパン・フィルター
AzmanJaka/gettyimages

結論を先にいえば、日本文化の正体は、日本人が信じる神や仏、日本人が愛してきた和歌や国文学そのものにあるのではない。日本文化の正体は「変化するもの」にある。すなわち歌舞伎、日本画、セーラー服やアニメが「変化するところ」に、日本文化の核心があらわれる。

したがって、紋切り型の「ワビ・サビ」の説明や、「フジヤマ・巨人の星・スーパーマリオ」などの表面的な解説だけでは、日本文化の真髄を捉えることは決してできない。いったんは日本神話や昭和歌謡、劇画などに目を凝らし、そこに浸って日本の歴史文化の「変化の境目」をよく知る必要がある。

日本文化の正体、すなわち日本独自の哲学や美の核心を知るためには、そのための切り口が必要となる。これを「ジャパン・フィルター」と呼ぶ。ジャパン・フィルターという手がかりによって、私たちは日本文化をよりよく理解できるのである。

日本の神は「ゲストの神」だった

「柱の文化」から始まる古代日本

重要なジャパン・フィルターのひとつとして、「客神(きゃくしん)フィルター」がある。古来、日本における神は客神、すなわち「ゲストの神」と考えられてきた。これはユダヤ・キリスト教の「神は唯一神であるとともにホストの神である(そのため、彼らは「主よ」と祈る)」とは真逆の思想である。日本の神々は常世から「やってくる神」であり、そのあとさっさと「帰っていく神」である。すなわち客として「迎える神」であり、「送られる神」であった。

ではなぜ日本人は、客神という独特の思想を持つに至ったのか。そのルーツとして、古代日本が「柱の文化」であったことに注目したい。日本人は神のことを「御柱(みはしら)」と読んだり、神の数を「柱」で数えたりしてきた。こうしたことからもわかるとおり、神と柱には切っても切れない関係がある。

そもそも日本人は、何かを始めるときに「柱を立てる」ことを大事にしてきた。村をおこすときも、その中心に一本の柱を立てることからはじめた。これを「村立て」と呼ぶ。『古事記』『日本書紀』などの神話の世界では、日本の天地開闢のいきさつは「国立て」という行為で説明されている。

現代でも、建築工事を始める際には地鎮祭を行う。地鎮祭はその土地の一角の四隅に四本の柱を立て、そこにしめ縄を回して祝詞(のりと)を奏上することで、工事中の無事を祈る。ここに日本の「はじまり」についての考え方が再現されているといえよう。

このように日本人にとって「柱を立てる」という行為は、「村立て」から「国づくり」に至るまで、何らかの共同体をはじめるにあたって不可欠なものであった。

客として迎えられる神
GCShutter/gettyimages

地鎮祭のように四本の柱を立ててしめ縄を回すことで、その場所を新たなスタートの儀式で示すことを「結界する」という。古代の日本人は、結界することによってその中に神を呼び込もうと考えた。だから四方四界を区切るために柱を立てた。だがそこには結界があるばかりで、ほかにはなにもない。そしてなにもないからこそ、そこに神々が降臨すると考えたのだ。

つまり日本人にとっての神は、定位置にいる神でも常在する神でもなく、結界された場所に迎えられ、送られる神であった。このように日本の客神という考え方は、「柱を立てる」という共同体の原点と綿密に関係している。

どのように海外文化を受容してきたか

仮名の出現という文明的大事件

歴史上、日本のコンセプトの多くが「和漢の境(さかい)」をまたぐことによって成立してきた。中国(漢)と日本(和)の交流が融合するなかで、日本独自の表現や認知様式が形成され、独特な価値観をつくってきたのである。

たとえば1万~2万種類もあった漢字を輸入した際も、

要約全文を読むにはシルバー会員またはゴールド会員への登録・ログインが必要です
「本の要約サイト flier(フライヤー)」は、多忙なビジネスパーソンが本の内容を効率的につかむことで、ビジネスに役立つ知識・教養を身につけ、スキルアップに繋げることができます。具体的には、新規事業のアイデア、営業訪問時のトークネタ、ビジネストレンドや業界情報の把握、リーダーシップ・コーチングなどです。
この要約を友達にオススメする

一緒に読まれている要約

一億三千万人のための『論語』教室
一億三千万人のための『論語』教室
高橋源一郎
未 読
リンク
豊田章男
豊田章男
片山修
未 読
リンク
ブランディング・ファースト
ブランディング・ファースト
宮村岳志
未 読
リンク
養生訓
養生訓
前田信弘
未 読
リンク
こころの相続
こころの相続
五木寛之
未 読
リンク
両利きの組織をつくる
両利きの組織をつくる
加藤雅則 チャールズ・A・オライリー ウリケ・シェーデ
未 読
リンク
感染症の世界史
感染症の世界史
石弘之
未 読
リンク
レイシズム
レイシズム
ルース・ベネディクト 阿部大樹(訳)
未 読
リンク

今週の要約ランキング

1
習慣超大全
習慣超大全
BJ・フォッグ 須川綾子(訳)
未 読
リンク
2
超加速経済アフリカ
超加速経済アフリカ
椿進
未 読
リンク
3
ストレスの9割はコントロールできる
ストレスの9割はコントロールできる
鎌田敏
未 読
リンク

おすすめ要約診断

イチオシの本

7月30日は「システム管理者感謝の日」
7月30日は「システム管理者感謝の日」
2021.07.28 update
リンク
未来屋書店“フライヤー棚”で売れた今月のベスト3(2021年6月~7月)
未来屋書店“フライヤー棚”で売れた今月のベスト3(2021年6月~7月)
2021.07.26 update
リンク
出版社のイチオシ#057
出版社のイチオシ#057
2021.07.23 update
リンク
【三笠書房×flierフェア】今すぐ生かせる良書の知恵
【三笠書房×flierフェア】今すぐ生かせる良書の知恵
2021.07.16 update
リンク

インタビュー

福岡市市長が、「福岡市から日本を変える」ことにこだわるワケ
福岡市市長が、「福岡市から日本を変える」ことにこだわるワケ
2021.07.22 update
リンク
コロナ禍の今こそ響く成功者たちの苦節
コロナ禍の今こそ響く成功者たちの苦節
2021.06.29 update
リンク
〈対談〉その失敗、本当に異文化のせい?
〈対談〉その失敗、本当に異文化のせい?
2021.06.22 update
リンク
あなたの咲くべき場所はそこじゃない?
あなたの咲くべき場所はそこじゃない?
2021.06.09 update
リンク
1
習慣超大全
習慣超大全
BJ・フォッグ 須川綾子(訳)
未 読
リンク
2
超加速経済アフリカ
超加速経済アフリカ
椿進
未 読
リンク
3
ストレスの9割はコントロールできる
ストレスの9割はコントロールできる
鎌田敏
未 読
リンク
新しいことを学びたい!足りないのは時間?それともやる気?
新しいことを学びたい!足りないのは時間?それともやる気?
2021.06.21 update
リンク
出版社のイチオシ#051
出版社のイチオシ#051
2021.04.16 update
リンク
誰もが「水を得た魚」になれる場をデザインする
誰もが「水を得た魚」になれる場をデザインする
2021.03.23 update
リンク

この要約をおすすめする

さんに『日本文化の核心』をおすすめする

保存が完了しました

新機能「学びメモ」誕生!
要約での「学び」や「気づき」をシェア! アウトプットの習慣づけに役立ちます。
みんなのメモが見れる!
新しい視点で学びがさらに深く!
「なるほど」「クリップ」ができる!
みんなの学びメモにリアクションしたり、保存したりできます。
ガイドライン
「学びメモ」をみなさんに気持ちよくご利用いただくために、ガイドラインを策定しました。ご確認ください。
「学びメモ」には自分自身の学び・気づきを記録してください。
要約や書籍の内容を読まずに「学びメモ」を利用することはご遠慮ください。
要約や書籍に対しての批評や評点をつける行為はご遠慮ください。
全文を見る
新しい読書体験を
お楽しみください!
ご利用には学びメモに記載されるユーザー名などの設定が必要です。
ユーザー名・ID登録(1/3)
ユーザー名 ※フライヤーでの表示名
ユーザーID
※他のユーザーが検索するために利用するIDです。
アカウントの公開や検索設定は次の画面で設定できます。ご安心ください。
後で登録する
ユーザー名・ID登録(2/3)
アカウント公開
すべてのユーザーにマイページを公開しますか?
はい 許可した人だけ
マイページを全体に公開したくない方は「許可した人だけ」を選択して、次ページにお進みください。

※登録内容の編集画面からいつでも変更できます
ユーザー名・ID登録(3/3)
検索設定
ID検索を有効にしますか?
はい いいえ
友達と繋がるには、ID検索を有効にしてください。マイページを全く公開したくない方は「いいえ」を選択してください。

※登録内容の編集画面からいつでも変更できます
登録完了しました!
まずは他のユーザーをフォローして学びメモをチェックしてみよう!
flierの利用に戻る