『鬼滅の刃』流 強い自分のつくり方

未読
『鬼滅の刃』流 強い自分のつくり方
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『鬼滅の刃』流 強い自分のつくり方
出版社
出版日
2020年04月24日
評点
総合
3.2
明瞭性
3.0
革新性
3.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

『鬼滅の刃』という作品をご存知だろうか? 2019年のアニメ化をきっかけに人気が急上昇し、いまや社会現象となった作品である。2020年5月時点で、シリーズ合計の売上は6000万部を超えた。これは歴代のマンガで3番目の数字だ。

本書は『鬼滅の刃』を下敷きにしつつ、「強い自分のつくり方」についての著者の考えをまとめたものである。「自分を変えたい」「変わりたいと思っているが、なかなかうまくいかない」と感じているときに読めば、人生における大切なヒントが得られるはずである。以下にその特徴をまとめてみよう。

まず前述したように、なんといっても『鬼滅の刃』という大人気マンガを参照している点だ。『鬼滅の刃』は近年最も注目を集めた作品であり、マンガやアニメをご覧になった方も多いのではないか。本書は『鬼滅の刃』の登場人物のセリフや行動を紹介しつつ、彼らの生き方からどういう教訓を得るべきかを解説している。とくに原作ファンは楽しく読めるだろう。

また、キャリアカウンセラーとしての著者の専門知識にもとづいて書かれている点も強調したい。とはいっても専門用語はあまり登場せず、平易な言葉でわかりやすく書かれているため、読み切るのに苦労はしない。マンガのファンブックを読むようなつもりで、気軽に読んでみてほしい。

変わりたいけど変われない――そんな悩みを持っており、しかも『鬼滅の刃』に興味があるのであれば、なにも迷う必要はない。本書があなたを変えるためのきっかけとなってくれるだろう。

ライター画像
塩見航平

著者

井島由佳 (いじま ゆか)
大東文化大学社会学部社会学科助教
心理・キャリアカウンセラー
1970年東京生まれ。東京家政大学大学院家政学研究科人間生活学科専攻修了。博士(学術)。
専門は教育心理学、キャリア心理学。CDA、産業カウンセラー。
ライフキャリアとマンガに関する研究を行う。キャリアデザイン、チームビルディング、メンタルヘルスなどの専門家。自治体や企業等で研修講師を務める。学校教育において、キャリアデザインに関するテキスト作成と教員研修、キャリアカウンセラー養成講座を長年担当。大学のキャリアセンター長として、学生の就職支援も行う。また、キャリアデザイン授業のプログラムも開発している。『鬼滅の刃』や『ONE PIECE』、『NARUTO』などマンガを使った講義・研修・セミナーが人気。

本書の要点

  • 要点
    1
    「目標を達成したい」という強い思いがあると、人は前向きになれる。その思いが、目標を達成する可能性を高めてくれる。
  • 要点
    2
    人の言うことを聞くこと、相手の強さを素直に認めることは難しい。だからこそそれができたとき、人は強くなれる。
  • 要点
    3
    慈悲の心は人の心を動かし、自然と仲間を引きつける。そしてそれは、未来や自分自身を変えることにつながる。

要約

強い自分づくりに必要な心がけ

何事も積み重ねることがキホン

強い自分をつくるためには、目標を持つこと、そして壁に跳ね返されたとしても、何度でもあきらめずにチャレンジすることが大切だ。いまのやり方がダメだと思ったら、別の方法を考えてみる。特に大きな目標を達成しようとするとき、その道のりは長く困難なものになる。だが苦しい時期や鍛錬に耐えることで、人間は確実に成長できる。

『鬼滅の刃』の第6話で、主人公の竈門炭治郎(かまどたんじろう)が最終選別試に出た鬼の頸(くび)をはねることに成功し、自らの成長を実感したシーンがある。修行を積み重ねることで、技術が向上し、結果として精神力も強くなったのだ。

積み重ねた先の成功は、「自分はできる」という有能感を高めてくれる。何事も積み重ねることが基本である。

積み重ねれば次の課題が見える
oatawa/gettyimages

人生にはさまざまなライフステージがあり、次のステージに進むにつれて難易度は上がっていく。生きていくためにクリアしなければならないことは多く、時にはうまくいかないこともある。

悩みや苦しみの深さは、それをどう自分のなかで処理したかによって変わる。課題をひとつ解決すれば、次の新しい課題がかならず出てくる。簡単に解決できるものはひとつとしてない。前向きに捉え、すぐにまた別の方法を考えるしかないのだ。

壁にぶつかったときこそ、ポジティブに考えていくことが重要である。「三歩進んで二歩下がる」ぐらいに考えたほうが、人生うまくいくことも多い。

最終的に自分なりのやり方も身につく

ひとつのことに徹底すると、やがて自分なりの型が見つかる。

炭治郎の同期である我妻善逸(あがつまぜんいつ)は、師匠から伝授された「雷の呼吸」の6つの型のうち、結局「壱の型」しか使えなかった。だがその型を徹底的に磨き上げ、ついにはオリジナルである7番目の型を生み出し、因縁の敵を撃破することに成功する。

古くは茶道の「守破離」にも見られるように、ひとつのことに真剣に向き合えば上達するし、その先に独自の個性も生まれる。基本を覚えたら、まずトライしてみる。そしてうまくいかない経験から、原因と改善策を考える。こうして試行錯誤するうちに、自分なりのやり方が身につく。「強い自分になるには近道はない」ということだ。

強くなるには、折れない心が必要である

誰かのためにすることが自分を強くする
kieferpix/gettyimages

『鬼滅の刃』は、主人公の炭治郎が鬼になった妹の禰豆子(ねずこ)を人間に戻すため、鬼と戦う物語だ。誰かのためという思いを持って行動を起こすと、人はいつもより大きな力を発揮できる。しかも誰かのために何かを達成したときの方が、満足度も高い。心理学用語では、これを「向社会的行動」という。

自分のためにする娯楽と、他人のために行う慈善を比較した実験がある。それによると、後者の方が満足度は長続きしたという。日本人、とりわけ都会に住む人は、他人に無関心なことが多い。逆に言うと、他人のために行動できるような人は、多くの人よりも強い心を持てているということだ。

誰かの期待が自分を強くする

職場などで「この仕事は君に任せる」と言われたことがある人もいるだろう。そういった経験がなくても、幼い頃に親や周りの大人に期待をかけられ、「なんとかしなければ」という思いが芽生えた経験はないだろうか。

期待に応えたいと感じ、使命感や責任感を覚えることは、人の持つ本能のようなものである。

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要約公開日 2020.07.25
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