2050年 世界人口大減少

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日本語
2050年 世界人口大減少
出版社
定価
1,980円(税込)
出版日
2020年02月24日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.5
革新性
4.0
応用性
3.0
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おすすめポイント

人類はこれまで進歩、発展を続けてきた。実際に科学や技術の力のおかげで、多くの人が豊かで安全な生活を送れるようになっている。その一方で、経済の拡大は環境に多大な負荷をかけており、貧富の格差も拡大した。20世紀以降、とりわけ世界人口の爆発的増加が、こうした傾向に拍車をかけている。地球上での人類および生物の持続可能性に対しては、悲観的な見解も目立つ。「このまま人口が増加し続ければ、人類の未来は破綻してしまう」と唱えるものも少なくない。

だが本書の著者ふたりは、世界人口の増加は21世紀なかばにピークを迎え、その後減少に転じると予測している。現実として、先進国の多くで少子化が問題となり、世界最大の人口を抱える中国でも一人っ子政策の反動が危惧されている。そうした背景に加え、今後人口が最多となる見込みのインドや、経済発展期を迎えるアフリカ諸国、宗教的な制約が多い中東諸国においても、出生率が低下していくという。世界的な傾向である都市化と女性の解放、および宗教的影響力の低下が、国連や学者たちの予想に反し、人口減少という結果を生み出すというわけだ。

人口減少による弊害を食い止めるための対策として、本書では移民の受け入れが提言されている。「移民は対立をかならずしも生むものではなく、受け入れ先の国民にとってもプラスになる存在」というのが著者たちの見解だ。とはいえそのためには多文化主義を受け入れる必要がある。多くの国、とりわけ日本のような国にとって、それは難しい選択肢となるだろう。

いずれにせよ少子高齢化と人口減少の両方を抱える「課題先進国」の日本に対して、重要な指摘を提示する一冊なのは間違いない。

ライター画像
大賀祐樹

著者

ダリル・ブリッカー (Darrell Bricker)
名門調査会社イプソスのグローバルCEO。世論調査と統計分析の専門家。現職で得られる豊富なデータに加え、中国、インド、アフリカ、南北アメリカ、ヨーロッパ、韓国など世界各国にてフィールドワークを敢行。EUの若いカップル、韓国のエリート女性、地方出身の中国女性、デリー、ケニア、サンパウロのスラム街の若い女性たちの生々しい証言も盛り込んで本書を執筆した。

ジョン・イビットソン (John Ibbitson)
カナダを代表する新聞社 The Globe and Mailのジャーナリスト。政治分析をテーマにしたダリル・ブリッカーとの共著書『The Big Shift』は同国内にてベストセラーを記録した。政治や国際関係を専門とするベテランジャーナリストとして、本書を共同執筆。

本書の要点

  • 要点
    1
    世界人口は2040年から2060年の間でピークに達し、その後は減少に転じる可能性が高い。その主な要因として、都市化や女性の解放がある。
  • 要点
    2
    日本人は「日本人であること」へのこだわりが強く、移民の受け入れに積極的ではない。だが少子高齢化による問題を解決するためには、移民の積極的な勧誘を選択するしかない。
  • 要点
    3
    中国が一人っ子政策の余波で急速に少子高齢社会となり国力を低下させる一方で、アメリカは移民の受け入れによって人口を増加させ、超大国の地位を維持するだろう。

要約

21世紀の世界人口

世界人口は減少に転じる
Aurisgettyimages

人類の歴史上でも決定的に重要といえる出来事が、いまから30年ほど先に起きるだろう。世界の人口が、ついに減り始めるのだ。人口はひとたび減少に転じると、二度と増加することなく減り続ける。私たちの目前にあるのは人口爆発ではない。人口減少である。

国連の主要な予測によると、人口は今世紀いっぱいまで増え続け、70億人から110億人になり、人口が横ばいになるのは2100年以降だとされている。だがこの予測に対して、「人口を多く見積もりすぎだ」と考える人口統計学者が、世界各地で増えつつある。そうした学者に言わせれば、世界人口は2040年から2060年の間に90億人となり、その後は減少に転じる可能性が高い。今世紀末には、世界人口が現在と同水準にまで戻り、その後は二度と増えることなく減少を続けるという。

豊かな先進国で人口が減っているのは、いまさら騒ぎ立てることではない。だが驚くべき点は、巨大な人口を抱える発展途上国でも出生率が下がっており、中国やインドでさえ近い将来に人口が減り始めるということだ。

人口変化の5つのステージ

人類は誕生直後から18世紀までずっと、幼児の死亡率が高く平均寿命も短い世界に生きていた。「人口置換モデル」において、これは人口増加のペースが遅く、増加と減少が繰り返される「第一ステージ」に位置づけられる。

その後ヨーロッパでは、食糧事情の改善による免疫力の向上や衛生状態の改善などによって、出生率は高いまま死亡率が次第に下がっていく「第二ステージ」に突入した。

だが19世紀から20世紀になると、先進国では死亡率がゆっくり低下しつつ、出生率も低下する「第三ステージ」に入る。その最も大きな要因は都市化だ。農場では子供も働き手となり得るが、都市生活では子育ての費用がかさみ、住宅費も余計にかかるので、子供は「負債」扱いされる。都市に住む人々は、自分たちの経済的利益にもとづき、子供を減らすのだ。

それと同時に、教育によって女性の知識が増え、男性と平等な権利を勝ち取るようになると、女性はあまり多くの子供を産まなくなる。この傾向はやがて、出生率が人口維持に必要な水準か、その近くまで下がった「第四ステージ」の社会をもたらす。そして出生率が人口置換率を下回りつつ、平均寿命が延び続けると、少子高齢化の「第五ステージ」へと至る。

世界人口の増加スピードはすでに安定期を迎え、ゆっくりとペースダウンしている。今後数十年かけて増加スピードはさらに落ち、人口減少に転ずるだろう。実際に発展途上国の多くが、すでに第三ステージへと突入しているどころか、第四ステージ、第五ステージへと突入しているのである。

出生率を減少させる要因
Katie_Martynova/gettyimages

経済学者のマルサスは『人口論』のなかで、世界人口がつねに幾何級数的に増加するのに対し、食糧生産は算術級数的にしか改善されないため、いずれ大きな困難が生じると主張した。マルサスだけでなく、いまも人口爆発による終末が訪れると考える論者は多い。しかし彼らの予想に反して、現在では農業の生産性が飛躍的に向上したこともあり、飢饉や貧困は減りつつある。

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