「超」勉強力

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出版社
プレジデント社

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出版日
2020年05月26日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

東大卒の脳科学者である中野氏と、東大を主席で卒業して財務省に勤務し、その後ニューヨーク州弁護士資格を取得した山口氏とが、それぞれの「勉強力」について考えた1冊である。大学を卒業してからも第一線で学び続ける2人が実践している、最強の勉強メソッドを紹介する。

脳科学者である中野氏は、脳科学の観点からみる最も効率的な勉強法を語る。山口氏は、ハーバード大学ロースクールの卒業も実現した、英語にも使える勉強法を解説している。最短距離学習派の中野氏と、じっくり努力派の山口氏という異なったスタイルの2人。本書を読めば、自分自身に合った方法を見つけることができるだろう。

また、この本は勉強法の紹介に終わらない。両氏がいかにして最難関大学を目指すようになり、そこに向けてどのような努力が必要となったのか。自分の性格、強み、弱みをきちんと問うたからこそ、現在の姿があることがよくわかる。いまも両氏が学び続けるのは、学びが人間にとっていかに大切かを知っているからだ。

なんらかの試験に向けて効果的な勉強法を探している方だけでなく、勉強する暇がないと感じている方にとっても、人生における「学び」を見つめ直すきっかけとなる本である。

新型コロナウイルスの蔓延などで、先を見通すことができない時代を迎えている。このような時だからこそ、好きなことをとことん突き詰めて、学ぶ喜び・楽しさを知り、学びを深め続けたい。それはきっと、自分が立つ場所を照らしてくれるはずだ。

ライター画像
木下隆志

著者

中野信子(なかの のぶこ)
脳科学者・医学博士・認知科学者。1975年、東京都に生まれる。東京大学工学部卒業後、同大学院医学系研究科修了、脳神経医学博士号取得。フランス国立研究所ニューロスピンに博士研究員として勤務後、帰国。現在は、東日本国際大学教授、京都芸術大学客員教授として教鞭を執るほか、脳科学や心理学の知見を活かし、マスメディアにおいても社会現象や事件に対する解説やコメント活動を行っている。レギュラー番組として、『大下容子 ワイド!スクランブル』(テレビ朝日系/毎週金曜コメンテーター)、『英雄たちの選択』(NHK BSプレミアム)、『ホンマでっか!? TV』(フジテレビ系)。著書には、『サイコパス』、『不倫』(ともに文藝春秋)、『人は、なぜ他人を許せないのか?』(アスコム)、『空気を読む脳』(講談社)などがある。

山口真由(やまぐち まゆ)
信州大学特任准教授・法学博士・ニューヨーク州弁護士。1983年、北海道に生まれる。東京大学を「法学部における成績優秀者」として総長賞を受け卒業。卒業後は財務省に入省し主税局に配属。2008年に財務省を退官し、その後、2015年まで弁護士として主に企業法務を担当する。同年、ハーバード・ロースクール(LL.M.)に留学し、2016年に修了。2017年6月、ニューヨーク州弁護士登録。帰国後は東京大学大学院法学政治学研究科博士課程に進み、日米の「家族法」を研究。2020年、博士課程修了。同年、信州大学特任准教授に就任。出演中の主な番組として『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)、『ゴゴスマ』(CBCテレビ/TBSテレビ系)など。主な著書に『いいエリート、わるいエリート』(新潮社)、『思い通りに伝わるアウトプット術』(PHP研究所)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    スキルを本気で身につけたいのならば、努力そのものを楽しむという罠にハマってはいけない。すべきことは、最短距離で能力を上げる戦略を実行することである。
  • 要点
    2
    記憶する上で大切なポイントは、ものごとを「自分ごと化」すること。「自分ごと化」するとは、疑似体験することである。体験して覚えたことは簡単には忘れない。
  • 要点
    3
    「知っていることが8割」のテキストを繰り返し読む。新しい分野ならば全てを読み通して、「知っていること」の割合をできるだけ早く増やしていく。

要約

それぞれの勉強マインド

多動力がないからできること(中野氏)
in-future/gettyimages

「無駄なことはできない」「体力を節約しなきゃ……」。疲れやすい体質で体力があまりなかったために、このような意識を小さい頃から持っていた。だからこそ、「なるべく無駄を省いて、ものごとの本質を効率良く掴みたい」と考えて生きてきた。多動的な人はトライアルの絶対量が多いから、失敗することはあっても成功例も増える。エネルギーが少ない人であれば、できるだけ考えてから行動する習慣を身につける。

このように、自分の体が語りかけてくることは、たいてい自分にとっての真実に近いものである。欠点に感じられても、とらえ方次第で自分の武器に変えていくことができる。

世の中には、このように自分の特徴や自分の置かれた状況を客観的にとらえられない人が多くいる。受験生の時にふと周りをみたら、成績の良かった人が途中からどんどん落ちていっていることに気づいた。そうした人たちは、勉強ができるようになることではなく、がんばること自体が楽しくなってしまったのだ。たしかに、そうして努力できることは信頼と評価につながる部分もある。しかし、成果につながらなければその努力には何の意味もない。

これは社会人の「学び」や資格取得でも同じである。スキルを身につけたいならば、努力そのものを楽しむという罠にハマってはいけないのである。むしろ、最短距離で能力を上げることに注力すべきなのだ。そして、「己を知ること」はこの学びの9割を左右する。

勉強は前進させてくれる(山口氏)
Ljupco/gettyimages

両親が共働きだったこともあり、小さい頃から、自分なりに段取りをして朝の準備を必死に覚え、それらを身に付ける必要があった。こうした環境で育つことで、子どもながらに「時間には限りがある」ことを自覚したのかもしれない。限られた時間の中でちゃんと自分の意志で決められなければ、次に進むことはできないという意識は芽生えていった。それでも、ひとつの時間にひとつのことしかできない子どもだった。

みんなはできることでも、自分はなぜかあまり上手くできなかった。それに、どんなに多忙でも頭と身体をフルに活用して、何ごとも乗り切れる万能な母親を間近で見ていた。だから、「わたしは母のようにうまくやれない」「自分は天才じゃない」と早いうちに自分の限界を意識してしまった。

そこで小学生なりに考えて出した答えは、人より時間をかければいい、というシンプルなものだった。ほかの人は無意識に無駄にしている移動時間や休憩時間、歯磨きの時間、5分程度の待ち時間といった隙間時間にフォーカスしていくようになったのだ。

何ごとにも要領が悪く人より多くの時間がかかったが、勉強だけは少し違った。自分で時間をつくり出しさえすれば、やればやるほど結果がついてきた。肝心の試験で点数が悪いことがあっても、最終的には自分は勉強ができるという謎の確信をもつようになった。隙間時間でも勉強し続けられたのは、それによって確実に「前へ進んでいる」感覚を得られたからだ。

【必読ポイント!】 中野氏の勉強法 自分ごと化して地図をつくる

自分ごと化すれば忘れにくい

学びで得た知識を活用して、自分で考え、自分のものにしていける力を身につけ、脳を喜ばせていく。この学習という行為は、長期的に繰り返されることで記憶が簡単には失われない状態になったことを指す。

記憶というと、教科書や単語帳をそのまま一語一句覚えること、というイメージを持つ人は多いだろう。

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要約公開日 2020.08.05
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