考え続ける力

未 読
考え続ける力
ジャンル
著者
石川善樹
出版社
定価
836円(税込)
出版日
2020年05月10日
評点
総合
3.8
明瞭性
3.5
革新性
4.5
応用性
3.5
要約全文を読むにはシルバー会員またはゴールド会員への登録・ログインが必要です
本の購入はこちら
この要約を友達にオススメする
考え続ける力
考え続ける力
著者
石川善樹
未 読
書籍情報を見る
ジャンル
出版社
定価
836円(税込)
出版日
2020年05月10日
評点
総合
3.8
明瞭性
3.5
革新性
4.5
応用性
3.5
本の購入はこちら
おすすめポイント

突然だが「考える」とは何だろうか? 上司からは「もう一度考えて」と企画書を突き返され、「ちゃんと考えないと、生き残っていけないよな」と同僚とぼやく。しかし、「考える」という言葉ほど曖昧なものはない。日々結果を求められるビジネスパーソンの中には、「新しいアイデアを出さなければ」と焦る気持ちに押され、結局「どこからどう考えていいのかわからない」という人も多いかもしれない。

本書は、若き気鋭の予防医学研究者・石川善樹氏による「思考シリーズ」第2弾である。前著『問い続ける力』(ちくま新書)では、考えるための「問い」にフォーカスした。今回はいよいよ本丸の「考える」ことに切り込んでいく。

まずは著者自身が目標とする「創造性のスタイル」が紹介され、さまざまな分野で創造性を発揮している5人の賢人たちと、知的刺激に満ちた対話を繰り広げていく。安宅和人氏、濱口秀司氏、大嶋光昭氏、小泉英明氏、篠田真貴子氏という豪華なメンバーだ。登場する賢人たちの共通項は、単一分野のスペシャリストではなく、異なる複数の分野で何度もイノベーションを起こしていることだ。1つだけなら、その分野の天才かもしれない。しかし複数になると、何かしらの再現可能な方法論を体得している可能性が高い。

イノベーターたちの実践する思考法には、「こんなことを出発点に考えているのか!」といった新鮮な発見が多々あるだろう。本書を読み終える頃には、あなたの背中に「思考の翼」が生えているかもしれない。

ライター画像
矢羽野晶子

著者

石川善樹(いしかわ よしき)
予防医学研究者。1981年、広島県生まれ。東京大学医学部健康科学科卒業、ハーバード大学公衆衛生大学院修了後、自治医科大学で博士(医学)取得。「人がよく生きる(Good Life)とは何か」をテーマとして、企業や大学と学際的研究を行う。専門分野は、予防医学、行動科学、計算創造学、概念工学など。主な著書に『フルライフ 今日の仕事と10年先の目標と100年の人生をつなぐ時間戦略』(News Picksパブリッシング)、『問い続ける力』(ちくま新書)等がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    あらゆることが考え尽くされた状況の中で、新しいアイデアを生み出すには「大局観」が不可欠だ。大量の情報を考え直し、視座を変えることで、誰もたどり着いていない「空白」を見つけることができる。
  • 要点
    2
    既存市場の中でどれだけ質を高めても、「新しく質の低いもの」には勝てない。まずは新しくして、それから質を高めるべきである。
  • 要点
    3
    人は誰しもバイアス(思い込み)を持っている。これを見つけて破壊することで、イノベーションが生まれる。

要約

Think Different

創造的に考えるとは何か?
BlackJack3D/gettyimages

本書のテーマは「創造的に考える、すなわち、Think Differentとは何か?」である。何かを「考える」時にはまず、「どこから考え始めるか?」から考えなければならない。

Think Differentの「Different」の語源をたどると、「離れたところに置く」とある。つまり、みんなが固まっているところから距離を置くという意味である。日本では、多くの人が同じようなことを考えているため、それと違うことを考えるのは簡単だ。しかし海外では、基本的にみんな考えていることがバラバラである。では、「みんな違う」という前提のもとで、さらに違うということは、どういうことなのか。

ビールを例にとろう。昔は数えるほどの商品しかなかったのに、今は相当な種類の商品がある。さらには、発泡酒や第三のビールまで販売されている。このような状況の中でイノベーションを起こすためには、さらに違うことを考えなければならない。今はビジネスでも研究でも、あらゆる分野でThink Differentが求められている。

松尾芭蕉のすごさ

歴史上、日本人で最もThink Differentしたのは松尾芭蕉だ。MITメディアラボのセザー・ヒダルゴ氏が考案した、歴史上の人物の影響力を点数化する「ヒストリカル・ポピュラリティ・インデックス(HPI)」という指標がある。具体的には、ある人物に関するWikipediaについて、「その人のページが何カ国語に訳されているか」「どれくらいのページビューがあるか」を計算する。すると、意外にも松尾芭蕉が1位であった。なお、2位以下は織田信長、昭和天皇、葛飾北斎、徳川家康と続く。

松尾芭蕉といえば、「古池や蛙飛び込む水の音」という俳句が有名だ。この句がなぜすごいのか。まず、「古池や」は「侘び」を表している。「古池」は「池」と違い、かつて池であったものをイメージするため「侘び」といえる。次に「蛙飛び込む」は「雅さ」と「下品さ」の象徴である。『新古今和歌集』以後、蛙の鳴き声は雅の象徴であった。しかし、その蛙を鳴かせずに飛び込ませるのは下品ということになる。そして最後の「水の音」は「寂び」を示す。「寂び」とは、物事の生命の本質がみずみずしく現れているということだ。つまりここで初めて池が死んでいなかったことがわかる。

「生命のいない白黒の世界」から「みずみずしい生命あふれるフルカラーの世界」へとドラマチックに展開する。そんな句を生み出せるのが、松尾芭蕉のすごさなのだ。

破壊的イノベーション
Magnetic-Mcc/gettyimages

では、芭蕉をThink Differentの観点から分析するとどうか。そもそも、新しいアイデアを生み出すには、論理、直観、大局観の3つが必要である。

中でも最も鍛えるのが難しいのは大局観だ。これまで考え尽くされた問題を解くためには、大局観が欠かせない。なぜなら、大量の情報を新しい方向から考え直し、誰もたどり着いていない空白地帯を見つけなければ、答えが出ないからだ。しかし、一見「やり尽くされている」ような事象も、視座の「軸」を変えることで「空き」を見つけられる。破壊的イノベーションは、アップグレード(質)とアップデート(新しさ)のように、「あちらを立てたらこちらが立たない」という「トレードオフ構造」を両立させたところに起こるのだ。

この前提をもとに、松尾芭蕉のすごさに関する分析に進もう。日本にはもともと貴族が詠んでいた「和歌」がある。俳諧は和歌のターゲットを変え、ふざけた要素を加えてアップデートしたものである。芭蕉はさらに、この俳諧に「侘び」「寂び」をとり入れてアップグレードした。つまり、芭蕉のすごさは「まず新しくした後に、質を高めた」ところにあるといえる。一方、既存顧客(貴族)に過剰適応した和歌は、新しいターゲット(庶民)に展開していくのが難しかった。先に質を上げると、「イノベーションのジレンマ」に陥ってしまう。既存の市場に順応し過ぎた結果、新参者の「質が低いが新しいもの」に駆逐されてしまうのだ。そのため、まずは質にこだわらず、一回新しくした後に質を高める。これこそが、私たちが芭蕉から学べるThink Differentの鉄則である。

考えるということ 安宅和人(あたかかずと)

思考の核心

ここからは、「全く異なる複数の分野で、何度も創造性を発揮している日本の達人」とともに、「創造的に考えるとは何か」を考察していく。ポイントは、「全く異なる複数分野」である。1つの分野だけなら、才能や偶然の産物かもしれない。しかし複数となれば、その背景に何かしらのスタイル(方法論)があるはずだ。本要約では、本書に登場する5名のうち2名を取り上げる。

まずは、慶應義塾大学環境情報学部教授、ヤフーCSOで脳神経科学者の安宅和人氏。安宅氏は、思考とは「入力(インプット)を出力(アウトプット)につなげること」だという。入力と出力をつなぐ能力が「知性」である。

この続きを見るには...
この要約を友達にオススメする
一緒に読まれている要約
個人力
個人力
澤円
未 読
リンク
Think right
Think right
ロルフ・ドベリ 中村智子(訳)
未 読
リンク
稼ぐ人の「超速」文章術
稼ぐ人の「超速」文章術
中野巧
未 読
リンク
夢をかなえるゾウ4
夢をかなえるゾウ4
水野敬也
未 読
リンク
コンサル一年目が学ぶこと
コンサル一年目が学ぶこと
大石哲之
未 読
リンク
「わがまま」がチームを強くする。
「わがまま」がチームを強くする。
青野慶久(監修) サイボウズチームワーク総研(著)
未 読
リンク
鈍感な世界に生きる敏感な人たち
鈍感な世界に生きる敏感な人たち
イルセ・サン 枇谷玲子(訳)
未 読
リンク
思うことから、すべては始まる
思うことから、すべては始まる
植木宣隆
未 読
リンク
今週の要約ランキング
1
ほっこり
ほっこり
伊藤裕
未 読
リンク
2
やらかした時にどうするか
やらかした時にどうするか
畑村洋太郎
未 読
無 料
リンク
3
経営12カ条
経営12カ条
稲盛和夫
未 読
リンク
おすすめ要約診断
イチオシの本
未来屋書店“フライヤー棚”で売れた今月のベスト3(2022年8月~9月)
未来屋書店“フライヤー棚”で売れた今月のベスト3(2022年8月~9月)
2022.09.26 update
リンク
出版社のイチオシ#080
出版社のイチオシ#080
2022.09.16 update
リンク
「説明術本」のテッパン3冊
「説明術本」のテッパン3冊
2022.09.13 update
リンク
「ばかげたことを!」罵倒するジョブズを変えたのは誰?
【ベストセラーのポイント解説】 「ばかげたことを!」罵倒するジョブズを変えたのは誰?
2022.09.09 update
リンク
インタビュー
『攻殻機動隊』は未来の予言書だった?
『攻殻機動隊』は未来の予言書だった?
2022.09.20 update
リンク
DX推進の立役者が語る、未来を先取りする読書術
DX推進の立役者が語る、未来を先取りする読書術
2022.09.15 update
リンク
「哲学的ゾンビ」が、私の世界を変えた
「哲学的ゾンビ」が、私の世界を変えた
2022.09.08 update
リンク
ダイエットに何度も失敗する人は「因数分解」してみよう
ダイエットに何度も失敗する人は「因数分解」してみよう
2022.09.05 update
リンク
1
ほっこり
ほっこり
伊藤裕
未 読
リンク
2
やらかした時にどうするか
やらかした時にどうするか
畑村洋太郎
未 読
無 料
リンク
3
経営12カ条
経営12カ条
稲盛和夫
未 読
リンク
人生の目標を見つけたい! 必要なのはやっぱりお金?
人生の目標を見つけたい! 必要なのはやっぱりお金?
2022.08.23 update
リンク
夏休みまでもう少し! お疲れのあなたに効く本、集めました
夏休みまでもう少し! お疲れのあなたに効く本、集めました
2022.08.08 update
リンク
ダイエットに何度も失敗する人は「因数分解」してみよう
ダイエットに何度も失敗する人は「因数分解」してみよう
2022.09.05 update
リンク
この要約をおすすめする
さんに『考え続ける力』をおすすめする
保存が完了しました