考え続ける力

未 読
考え続ける力
ジャンル
著者
石川善樹
出版社
定価
760円 (税抜)
出版日
2020年05月10日
評点
総合
3.8
明瞭性
3.5
革新性
4.5
応用性
3.5
要約全文を読むにはシルバー会員またはゴールド会員への登録・ログインが必要です
本の購入はこちら
この要約を友達にオススメする
考え続ける力
考え続ける力
著者
石川善樹
未 読
書籍情報を見る
ジャンル
出版社
定価
760円 (税抜)
出版日
2020年05月10日
評点
総合
3.8
明瞭性
3.5
革新性
4.5
応用性
3.5
本の購入はこちら
レビュー

突然だが「考える」とは何だろうか? 上司からは「もう一度考えて」と企画書を突き返され、「ちゃんと考えないと、生き残っていけないよな」と同僚とぼやく。しかし、「考える」という言葉ほど曖昧なものはない。日々結果を求められるビジネスパーソンの中には、「新しいアイデアを出さなければ」と焦る気持ちに押され、結局「どこからどう考えていいのかわからない」という人も多いかもしれない。

本書は、若き気鋭の予防医学研究者・石川善樹氏による「思考シリーズ」第2弾である。前著『問い続ける力』(ちくま新書)では、考えるための「問い」にフォーカスした。今回はいよいよ本丸の「考える」ことに切り込んでいく。

まずは著者自身が目標とする「創造性のスタイル」が紹介され、さまざまな分野で創造性を発揮している5人の賢人たちと、知的刺激に満ちた対話を繰り広げていく。安宅和人氏、濱口秀司氏、大嶋光昭氏、小泉英明氏、篠田真貴子氏という豪華なメンバーだ。登場する賢人たちの共通項は、単一分野のスペシャリストではなく、異なる複数の分野で何度もイノベーションを起こしていることだ。1つだけなら、その分野の天才かもしれない。しかし複数になると、何かしらの再現可能な方法論を体得している可能性が高い。

イノベーターたちの実践する思考法には、「こんなことを出発点に考えているのか!」といった新鮮な発見が多々あるだろう。本書を読み終える頃には、あなたの背中に「思考の翼」が生えているかもしれない。

矢羽野晶子

著者

石川善樹(いしかわ よしき)
予防医学研究者。1981年、広島県生まれ。東京大学医学部健康科学科卒業、ハーバード大学公衆衛生大学院修了後、自治医科大学で博士(医学)取得。「人がよく生きる(Good Life)とは何か」をテーマとして、企業や大学と学際的研究を行う。専門分野は、予防医学、行動科学、計算創造学、概念工学など。主な著書に『フルライフ 今日の仕事と10年先の目標と100年の人生をつなぐ時間戦略』(News Picksパブリッシング)、『問い続ける力』(ちくま新書)等がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    あらゆることが考え尽くされた状況の中で、新しいアイデアを生み出すには「大局観」が不可欠だ。大量の情報を考え直し、視座を変えることで、誰もたどり着いていない「空白」を見つけることができる。
  • 要点
    2
    既存市場の中でどれだけ質を高めても、「新しく質の低いもの」には勝てない。まずは新しくして、それから質を高めるべきである。
  • 要点
    3
    人は誰しもバイアス(思い込み)を持っている。これを見つけて破壊することで、イノベーションが生まれる。

要約

Think Different

創造的に考えるとは何か?
BlackJack3D/gettyimages

本書のテーマは「創造的に考える、すなわち、Think Differentとは何か?」である。何かを「考える」時にはまず、「どこから考え始めるか?」から考えなければならない。

Think Differentの「Different」の語源をたどると、「離れたところに置く」とある。つまり、みんなが固まっているところから距離を置くという意味である。日本では、多くの人が同じようなことを考えているため、それと違うことを考えるのは簡単だ。しかし海外では、基本的にみんな考えていることがバラバラである。では、「みんな違う」という前提のもとで、さらに違うということは、どういうことなのか。

ビールを例にとろう。昔は数えるほどの商品しかなかったのに、今は相当な種類の商品がある。さらには、発泡酒や第三のビールまで販売されている。このような状況の中でイノベーションを起こすためには、さらに違うことを考えなければならない。今はビジネスでも研究でも、あらゆる分野でThink Differentが求められている。

松尾芭蕉のすごさ

歴史上、日本人で最もThink Differentしたのは松尾芭蕉だ。MITメディアラボのセザー・ヒダルゴ氏が考案した、歴史上の人物の影響力を点数化する「ヒストリカル・ポピュラリティ・インデックス(HPI)」という指標がある。具体的には、ある人物に関するWikipediaについて、「その人のページが何カ国語に訳されているか」「どれくらいのページビューがあるか」を計算する。すると、意外にも松尾芭蕉が1位であった。なお、2位以下は織田信長、昭和天皇、葛飾北斎、徳川家康と続く。

松尾芭蕉といえば、「古池や蛙飛び込む水の音」という俳句が有名だ。この句がなぜすごいのか。まず、「古池や」は「侘び」を表している。「古池」は「池」と違い、かつて池であったものをイメージするため「侘び」といえる。次に「蛙飛び込む」は「雅さ」と「下品さ」の象徴である。『新古今和歌集』以後、蛙の鳴き声は雅の象徴であった。しかし、その蛙を鳴かせずに飛び込ませるのは下品ということになる。そして最後の「水の音」は「寂び」を示す。「寂び」とは、物事の生命の本質がみずみずしく現れているということだ。つまりここで初めて池が死んでいなかったことがわかる。

「生命のいない白黒の世界」から「みずみずしい生命あふれるフルカラーの世界」へとドラマチックに展開する。そんな句を生み出せるのが、松尾芭蕉のすごさなのだ。

破壊的イノベーション
Magnetic-Mcc/gettyimages

では、芭蕉をThink Differentの観点から分析するとどうか。そもそも、新しいアイデアを生み出すには、論理、直観、大局観の3つが必要である。

中でも最も鍛えるのが難しいのは大局観だ。これまで考え尽くされた問題を解くためには、大局観が欠かせない。なぜなら、大量の情報を新しい方向から考え直し、誰もたどり着いていない空白地帯を見つけなければ、答えが出ないからだ。しかし、一見「やり尽くされている」ような事象も、視座の「軸」を変えることで「空き」を見つけられる。破壊的イノベーションは、アップグレード(質)とアップデート(新しさ)のように、「あちらを立てたらこちらが立たない」という「トレードオフ構造」を両立させたところに起こるのだ。

この前提をもとに、松尾芭蕉のすごさに関する分析に進もう。日本にはもともと貴族が詠んでいた「和歌」がある。俳諧は和歌のターゲットを変え、ふざけた要素を加えてアップデートしたものである。芭蕉はさらに、この俳諧に「侘び」「寂び」をとり入れてアップグレードした。つまり、芭蕉のすごさは「まず新しくした後に、質を高めた」ところにあるといえる。一方、既存顧客(貴族)に過剰適応した和歌は、新しいターゲット(庶民)に展開していくのが難しかった。先に質を上げると、「イノベーションのジレンマ」に陥ってしまう。既存の市場に順応し過ぎた結果、新参者の「質が低いが新しいもの」に駆逐されてしまうのだ。そのため、まずは質にこだわらず、一回新しくした後に質を高める。これこそが、私たちが芭蕉から学べるThink Differentの鉄則である。

考えるということ 安宅和人(あたかかずと)

思考の核心

ここからは、「全く異なる複数の分野で、何度も創造性を発揮している日本の達人」とともに、「創造的に考えるとは何か」を考察していく。ポイントは、「全く異なる複数分野」である。1つの分野だけなら、才能や偶然の産物かもしれない。しかし複数となれば、その背景に何かしらのスタイル(方法論)があるはずだ。本要約では、本書に登場する5名のうち2名を取り上げる。

まずは、慶應義塾大学環境情報学部教授、ヤフーCSOで脳神経科学者の安宅和人氏。安宅氏は、思考とは「入力(インプット)を出力(アウトプット)につなげること」だという。入力と出力をつなぐ能力が「知性」である。

要約全文を読むにはシルバー会員またはゴールド会員への登録・ログインが必要です
「本の要約サイト flier(フライヤー)」は、多忙なビジネスパーソンが本の内容を効率的につかむことで、ビジネスに役立つ知識・教養を身につけ、スキルアップに繋げることができます。具体的には、新規事業のアイデア、営業訪問時のトークネタ、ビジネストレンドや業界情報の把握、リーダーシップ・コーチングなどです。
この要約を友達にオススメする

一緒に読まれている要約

個人力
個人力
澤円
未 読
リンク
Think right
Think right
ロルフ・ドベリ 中村智子(訳)
未 読
リンク
稼ぐ人の「超速」文章術
稼ぐ人の「超速」文章術
中野巧
未 読
リンク
夢をかなえるゾウ4
夢をかなえるゾウ4
水野敬也
未 読
リンク
コンサル一年目が学ぶこと
コンサル一年目が学ぶこと
大石哲之
未 読
リンク
あなたの知らない あなたの強み
あなたの知らない あなたの強み
古野俊幸
未 読
リンク
「考える技術」と「地頭力」がいっきに身につく 東大思考
「考える技術」と「地頭力」がいっきに身につく 東大思考
西岡壱誠
未 読
リンク
思うことから、すべては始まる
思うことから、すべては始まる
植木宣隆
未 読
リンク

今週の要約ランキング

1
超雑談力
超雑談力
五百田達成
未 読
リンク
2
対話型マネジャー
対話型マネジャー
世古詞一
未 読
リンク
3
頭を「からっぽ」にするレッスン
頭を「からっぽ」にするレッスン
アンディ・プディコム 満園真木(訳)
未 読
リンク

イチオシの本

三洋堂書店“フライヤー棚”で売れた今月のベスト3(2020年8~9月)
三洋堂書店“フライヤー棚”で売れた今月のベスト3(2020年8~9月)
2020.10.30 update
リンク
「コミュニケーションの壁」を打破するための3冊
【〈連載〉ニューノーマル時代のコミュニケーション 第2回】 「コミュニケーションの壁」を打破するための3冊
2020.10.27 update
リンク
未来屋書店“フライヤー棚”で売れた今月のベスト3(2020年9~10月)
未来屋書店“フライヤー棚”で売れた今月のベスト3(2020年9~10月)
2020.10.26 update
リンク
出版社のイチオシ#039
出版社のイチオシ#039
2020.10.23 update
リンク

インタビュー

〈対談〉なぜ、いま攻めのCFOが求められているのか?
〈対談〉なぜ、いま攻めのCFOが求められているのか?
2020.10.28 update
リンク
〈対談〉『個人力』著者がおくる、ありたい自分に正直に生きる秘訣
〈対談〉『個人力』著者がおくる、ありたい自分に正直に生きる秘訣
2020.10.21 update
リンク
「あたりまえ」が揺らぐなかで問われる「個人力」とは?
「あたりまえ」が揺らぐなかで問われる「個人力」とは?
2020.10.15 update
リンク
〈対談〉「カルチャーづくり」をないがしろにしてはいけない
〈対談〉「カルチャーづくり」をないがしろにしてはいけない
2020.10.14 update
リンク
1
超雑談力
超雑談力
五百田達成
未 読
リンク
2
対話型マネジャー
対話型マネジャー
世古詞一
未 読
リンク
3
頭を「からっぽ」にするレッスン
頭を「からっぽ」にするレッスン
アンディ・プディコム 満園真木(訳)
未 読
リンク
『考える練習帳』
『考える練習帳』
2017.12.01 update
リンク
丸亀製麺はなぜうどん業界でトップになれたのか?
丸亀製麺はなぜうどん業界でトップになれたのか?
2018.11.07 update
リンク

この要約をおすすめする

さんに『考え続ける力』をおすすめする

保存が完了しました

保存した「学びメモ」はそのままSNSでシェアすることもできます。
新機能「学びメモ」誕生!
要約での「学び」や「気づき」をシェア! アウトプットの習慣づけに役立ちます。
みんなのメモが見れる!
新しい視点で学びがさらに深く!
「なるほど」「クリップ」ができる!
みんなの学びメモにリアクションしたり、保存したりできます。
ガイドライン
「学びメモ」をみなさんに気持ちよくご利用いただくために、ガイドラインを策定しました。ご確認ください。
「学びメモ」には自分自身の学び・気づきを記録してください。
要約や書籍の内容を読まずに「学びメモ」を利用することはご遠慮ください。
要約や書籍に対しての批評や評点をつける行為はご遠慮ください。
全文を見る
新しい読書体験を
お楽しみください!
ご利用には学びメモに記載されるユーザー名などの設定が必要です。
ユーザー名・ID登録(1/3)
ユーザー名 ※フライヤーでの表示名
ユーザーID
※他のユーザーが検索するために利用するIDです。
アカウントの公開や検索設定は次の画面で設定できます。ご安心ください。
後で登録する
ユーザー名・ID登録(2/3)
アカウント公開
すべてのユーザーにマイページを公開しますか?
はい 許可した人だけ
マイページを全体に公開したくない方は「許可した人だけ」を選択して、次ページにお進みください。

※登録内容の編集画面からいつでも変更できます
ユーザー名・ID登録(3/3)
検索設定
ID検索を有効にしますか?
はい いいえ
友達と繋がるには、ID検索を有効にしてください。マイページを全く公開したくない方は「いいえ」を選択してください。

※登録内容の編集画面からいつでも変更できます
登録完了しました!
まずは他のユーザーをフォローして学びメモをチェックしてみよう!
flierの利用に戻る