数学的思考トレーニング

問題解決力が飛躍的にアップする48問
未読
数学的思考トレーニング
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数学的思考トレーニング
出版社
出版日
2021年01月07日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

仕事でもプライベートでも、正解のない問題に突き当たることはいくらでもある。むしろ正解のある問題のほうが希少だ。「正解探し」に疲れてしまったビジネスパーソンも多いだろう。

本書を読めば、そんな状況を打破することができる。売上低下の原因はどこにあるのか。できる営業パーソンになるにはどうしたらいいのか。休日の家族サービスや人間関係のあれこれで疲れてしまった。こうした「正解」のない問題にいかに答えを出すかを教えてくれるのが、本書のテーマである「数学的思考」だ。

「数学的思考」といっても、難解な理論が登場するわけではない。本書に出てくる数式は、「男+女=恋」のような四則演算を使ったシンプルなものばかりだ。逆に言えば、ぼんやりとした形のない事象を捉えて四則演算を使ってシンプルに表現できなければ、それをどう扱っていいのかわからず、答えを導き出すことはできないということなのだろう。本書では、「数学的思考」自体も四則演算でシンプルに表現され、演習問題を一緒に解きながらステップバイステップでその本質を理解できるようになっている。

著者曰く、「答えは探すものではなく自ら作るもの」。自分で出した答えが「正解」かどうかはわからない。しかし、ひとたび自分で納得のいく答えを出したなら、行動に移せる。行動できるということは、前に進めるということだ。「数学的思考」は、自ら答えを出さなければならない世界で生きる人のための良き案内役となるだろう。

ライター画像
金井美穂

著者

深沢真太郎(ふかさわ しんたろう)
ビジネス数学教育家。数学的思考ができるビジネスパーソンを育成する「ビジネス数学」を提唱し、延べ1万人以上を指導してきた教育の第一人者。日本大学大学院総合基礎科学研究科修了。理学修士(数学)。
予備校講師から外資系企業の管理職などを経てビジネス研修講師として独立。大手企業をはじめプロ野球球団やトップアスリートの教育研修を手がける傍ら、SMBC、三菱UFJ、みずほ、早稲田大学、産業能率大学などと提携し講座に登壇。その独特な指導法は「史上最強にわかりやすい」「数学的な人財に変身させる」と好評。さらに指導者育成を目的とし、「ビジネス数学インストラクター制度」をプロデュース。数字や論理的思考に強いビジネスパーソンの育成に努めている。
テレビ番組の監修やラジオ番組のニュースコメンテーター、ビジネス誌の記事監修などメディア出演も多数。著作は国内累計20万部を突破。実用書のほか作家として小説も発表しており、多くのビジネスパーソンに読まれている。

BMコンサルティング株式会社 代表取締役
一般社団法人日本ビジネス数学協会 代表理事
国内初のビジネス数学検定1級AAA認定者
国内唯一のビジネス数学エグゼクティブインストラクター

★ビジネス数学.com 〜深沢真太郎オフィシャルウェブサイト〜
https://www.business-mathematics.com/

本書の要点

  • 要点
    1
    本書における「数学的思考」の定義は、「数学をするときに頭の中でする行為」だ。数学的思考法を学ぶと、自分の納得のいく結論を出せるようになる。
  • 要点
    2
    「数学的思考」は5つの概念が組み合わさったものだ。数式で表すと、「数学的思考=[定義]×[分析]×[体系化]=[定義]×[(分解)+(比較)]×[(構造化)+(モデル化)]」となる。
  • 要点
    3
    数学は定義がなければ始まらない。定義が変われば議論は根本から変わってしまう。この考え方を応用すれば、定義次第で人生を大きく変えられる可能性もあることがわかる。

要約

人生を変える「数学的思考」

答えは探すものではなく作るもの

本書は、「自ら答えを出さなければならない世界」で生きる人が身につけておくべき数学的思考法を教えるものである。具体的には、数学的思考を「定義」「分解」「比較」「構造化」「モデル化」の5つの思考法に整理し、それぞれのトレーニング法を示す。

新型コロナウイルスの感染拡大により、社会は劇的な変化を余儀なくされた。成功法則がどんどん変わっていく時代において、「答え」は探すものではなく、自ら深く正しく考えることで作るものなのだ。

本書で数学の思考法(頭の使い方)を学ぶと、自分の納得のいく結論(答え)を作れるようになる。納得のいく結論が出せるようになった人は、行動に移せるようになり、豊かさを手にすることができるはずだ。

「数学的思考」とは何か
metamorworks/gettyimages

まず「数学的思考とは何か」という問いから始めよう。数学の最大の特徴は「定義をしないと始められない」ことにある。定義とは、「〇〇とは~~である」と言語化する行為だ。三角形を定義せずに三角形の面積を求めることはできないのと同様に、数学的思考を定義しなければ何も始まらない。

本書では、数学的思考を「数学をするときに頭の中でする行為」と定義する。数式で表すと、「数学的思考={定義}×{分析}×{体系化}={定義}×{(分解)+(比較)}×{(構造化)+(モデル化)}」となる。

この数式は、構造的には「154=2×7×11=2×(3+4)×(5+6)」と同じだ。154という数が、2、3、4、5、6という5種類の数の組み合わせからできているのと同様に、数学的思考も定義、分解、比較、構造化、モデル化という5種類の概念の組み合わせからできている。

では、「アルバイトの給与」は数学的にどう説明できるだろうか。まず「アルバイトの給与とは何か」という問いからスタートしよう。「アルバイトの給与」とは、アルバイトをすることで得られる報酬と「定義」でき、「時給」と「勤務時間」という2つの要素に「分解」できる。ここから「アルバイトの給与(Y)=時給(A)×勤務時間(X)」が導き出せ、「Y=AX」と「構造化」して説明できるようになる。

数学的思考とは、このような思考プロセスで答えを出す行為のことをいう。

【必読ポイント!】ステップ1──定義する

数学は定義が命

数学は、定義しないことには始まらない。定義とは、「〇〇とは~~である」と言語化することによって「そうであるもの」と「そうでないもの」をはっきり分類するルールを明文化することだ。

たとえば素数は、「1より大きい自然数で、1と自分自身以外に正の約数を持たない数」と明文化できる。これによって、2は素数(1と2が約数)だが、4は素数ではない(1と2と4が約数)ことがわかる。もし「素数であって素数でないもの」が存在するならば、素数を定義したことにはならない。数学的思考を身につけたいなら、まずは定義が命だという感覚を持とう。

物事は、最初に何をするかでほぼ決まる
Weedezign/gettyimages

定義が必要な理由は、定義しなければ共通認識ができないからだ。

あなたが会議の進行役だったとして、その会議を定義できていなければどうだろう。

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要約公開日 2021.02.14
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