最高のパフォーマンスを引き出す習慣術

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出版社
フォレスト出版

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出版日
2020年08月23日
評点
総合
3.5
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

要約者はこれまで、いろいろな本に「朝食は必ず食べた方がよい」と書いてあるのを読んできた。しかし一方で、睡眠を優先して、長年、朝食抜きの生活をしてきた。そんな要約者だが、本書を読んでから、朝食を食べる習慣を持ち始めた。というのも、人間の原始的な働きに逆らって生きることが、パフォーマンスを大きく下げてしまうと理解したからである。「腹時計」「3日坊主」といった日常的に使われている言葉も、単なる比喩ではなく、実際に身体の中のリズムとリンクしているそうで、時間医学がいかに私たちの生活に影響を与えているかがわかった。

睡眠についても、新たな発見があった。「睡眠中に脳の老廃物が洗い流されているということ」「天才の脳を分析すると、睡眠中に活発化する細胞が他人より多かったこと」などを知り、自分に合った睡眠時間を取ることこそが、パフォーマンスを上げる上で重要だということを実感した。

本書は、単に医学的見地にそった規則正しい生活を提唱するだけでない。24時間のリズムを守るのが難しい現代人に対して、どのように時間医学を利用して、パフォーマンスを上げていくべきかが書かれており、無理なく実行できる工夫が示される。

本書を読んで、「こういった知識を持てば、効率よく、身体を味方につけることができるだろう」という実感を得た。忙しい現代人に、ぜひ読んでいただきたい一冊である。

ライター画像
河合美緒

著者

大塚邦明(おおつか くにあき)
1948年生まれ。東京女子医科大学名誉教授。ミネソタ大学ハルバーグ時間医学研究センター特任研究員。東京女子医科大学特定関連施設戸塚ロイヤルクリニック所長。九州大学医学部卒業。高知医科大学を経て、1998年、東京女子医科大学東医療センター総合内科教授、2008年、同大学東医療センター病院長に就任。専門は循環器内科学、高齢者総合内科学、睡眠医学、時間医学。日本自律神経学会会長、日本時間生物学会会長、日本循環器心身医学会会長、世界時間生物学会会長などの要職を歴任。ミネソタ大学との共同研究で開拓したクロノミクス・メディシンを取り入れた総合的内科学/老年学診療の開拓実践に取り組んでいる。『睡眠と体内時計を科学する』『時間内科学』『健やかに老いるための時間老年学』など著書多数。日本における体内時計(時間医学)の第一人者。

本書の要点

  • 要点
    1
    生物には、「体内時計」が備わっている。また、それとは独立した、食事によって動く「腹時計」がある。「腹時計」の影響は、「体内時計」より大きい。
  • 要点
    2
    1日のパフォーマンスを上げるために、起床後1時間の過ごし方は非常に重要だ。「日光を浴びる」「瞑想をする」「軽い運動をする」「朝食をとる」の4つを心がけよう。
  • 要点
    3
    より効率的に働くために、勤務開始までの時間にできることは、自律神経力・ホルモン力・免疫力を高めることだ。

要約

体内時計について知る

親時計と子時計
metamorworks/gettyimages

人間の体内には「体内時計」が備わっている。時計というのはもちろん比喩で、脳の視床下部にある部位のことだ。体内時計は、24時間という周期を規則正しく刻んでいる。

実は、約5億年前のカンブリア期以前から、地球上の生物はほとんど同じ機能をもっている。昼や夜、夏や冬など、時間の周期的な変動に応答しつつ、からだとこころを最適な状況に微修正するとともに、予期せぬ自然環境の変化にも適応してきた。

体内時計には、親時計と子時計がある。脳にある親時計は、体内の細胞が持つ子時計に指令を出し、私たちの心・技・体のエネルギーバランスをバージョンアップしている。親時計をシンフォニーの指揮者とすれば、子時計は奏でるプレーヤーたちに例えられるだろう。両者が連携すれば、メリハリをつけてからだの細胞を操ることができ、パフォーマンスは大きく上がる。

腹時計とこころの時計

人間は、「腹時計」という時計も備えている。腹時計の影響は親時計よりも強く、通常は脳に操られているはずの体温や運動、脈拍数のリズムすら、腹時計によって変化することがあるほどだ。なぜなら、餌が豊富でなかった古代においては、生体リズムに則って食事をとっていたのでは、生き延びることはできなかったからだ。

また私たちは、「体内時計」と「腹時計」に加えて、「こころの時計」も持ちあわせている。これは、10秒後や60秒後、あるいは6時間後や8時間後を予測する仕組みだ。「朝4時に起きよう」と目覚まし時計をセットして寝ると、4時数分前に目を覚ますことがあるだろう。これは、こころの時計が無意識のうちに働いた結果である。氷河期の人類が、マンモスに寝込みを襲われないように、危険の到来を予知し回避するために作り上げた仕組みである。

体内時計の仕組み
recep-bg/gettyimages

活動を開始したときに光を浴びると、生体リズムの位相は1時間前進する。その一方で、休息開始の時間帯に光を浴びると、生体リズムの位相は1時間後退する。

多くの人は、活動開始の時間帯(すなわち朝)に光を浴びる。すると、生体リズムの位相が1時間前進し、25時間の生体リズムが24時間に修正されて、地球の自転周期に合致するのだ。

実験動物の親時計を壊すと、睡眠のリズムや体温のリズムなど、生命活動のリズムが消えてしまう。ところが、その動物に毎日決まった時刻に餌を与え続けると、その時刻の前後の活動量が増える。さらには、その約12時間後に活動量が最も低下する(休息する)という、新しいリズムが現れることもわかっている。つまり、腹時計のリズムが親時計のリズムを作るのだ。また、食事を与えるタイミングと量を変化させる実験によって、「朝食をしっかり取る」ということが、体内時計の時刻合わせを行い、調和がとれた生体リズムを刻む上で大きな効果をもたらすということもわかっている。

時を刻む仕組みが壊れると、人は病気になってしまう。不規則な生活が続くと糖尿病やがんを発症しやすくなるほか、体内時計の不調が免疫力を低下させることも明らかになっている。

【必読ポイント!】パフォーマンスを上げるために

起床後1時間の過ごし方

一日のパフォーマンスは、起床後1時間の過ごし方で決まる。

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要約公開日 2021.02.06
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