気持ちよく人を動かす

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出版社
クロスメディア・パブリッシング

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出版日
2021年09月01日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

人を動かすのは、難しい。だが私たちは、さまざまなシーンで人を動かさなければならない。部下に指示をする、同僚に何かを頼む、上司の承認を得る……仕事に限ったことではない。学校でも、同級生や先生に何かを頼んだり、部活で何らかの指示をしたりすることがあるし、夫婦間、親子間でも相手を動かすシーンはいくらでもある。

あなたはそんなとき、相手を言い負かしたり、一方的に指示してしまったりしていないだろうか。その状態で相手が動いてくれても、それは理想的な形ではない。納得し、気持ちよく動いてもらわなければ、期待するパフォーマンスは望めないだろう。

気持ちよく人を動かすとは、相手との間に共感を築き、気持ちのいい合意に至ることだ。では、共感のある合意に至るにはどうすればいいか。著者は「共に創るディスカッション」が大事だと主張する。そしてこれまでの著者の経験から築き上げてきた「共に創るディスカッション」のメソッドを、本書では余すことなく紹介してくれている。

本書の「おわりに」でも触れられているが、「気持ちよく人を動かす」と聞くと、「楽して人をコントロールする方法?」と誤解する人もいるかもしれない。だが本書はそのような本ではなく、気持ちよく合意し、プロジェクトをうまく進めていく方法を突き詰めてまとめたものだ。商談をうまく進めたい方やこれからリーダーになる方をはじめ、誰かにお願いをする場面が多い方に、ぜひ読んでほしい一冊である。

著者

高橋浩一(たかはし こういち)
TORiX株式会社 代表取締役。
東京大学経済学部卒業。外資系戦略コンサルティング会社を経て25歳で起業、企業研修のアルー株式会社に創業参画(取締役副社長)。事業と組織を統括する立場として、創業から6年で社員数70名までの成長を牽引。同社の上場に向けた事業基盤と組織体制を作る。2011年にTORiX株式会社を設立し、代表取締役に就任。これまで3万人以上の営業強化支援に携わる。コンペ8年間無敗の経験を基に、2019年『無敗営業「3つの質問」と「4つの力」』、2020年に続編となる『無敗営業 チーム戦略 オンラインとリアル ハイブリッドで勝つ』(ともに日経BP)を出版、シリーズ累計6万部突破。2021年『なぜか声がかかる人の習慣』(日本経済新聞出版)を出版。年間200回以上の講演や研修に登壇する傍ら、「無敗営業オンラインサロン」を主宰し、運営している。

TORiX株式会社 HP
https://www.torix-corp.com/

本書の要点

  • 要点
    1
    人は基本的に変化を嫌うため、メリットのある提案を受けても簡単には動かない。現状維持しようとする人に働きかけるときは、たとえ提案の質に自信があっても、一方的な押し付けは避けるべきだ。
  • 要点
    2
    疑問や反論を活かして結論を進化させるディスカッションには、想定する力、段取りする力、理解を深める力、見える化する力、思い込みを外す力、軸を動かす力、巻き込む力という、7つのスキルが必要だ。
  • 要点
    3
    ゴールを設定したら、最高の状況と最悪の状況の両方を想定しよう。そのためには、T字型の図を用いて「ゴール」「壁」「対応策」を考えるとよい。

要約

気持ちよく動いてもらうには

なぜ、正論だけでは人は動かないのか

あなたが試してうまくいった、画期的なダイエット法があったとする。お金も時間もかからないだけでなく、科学的にも効果が証明されている、すばらしいダイエット法だ。あなたは「このダイエット法なら必ず友人の悩みを救える」と考え、その方法を体重増加に悩む友人に伝える。だが当の本人は、あまりよい反応を示さない――。あなたはきっと、友人の反応にモヤモヤするだろう。

相手によい提案をしてもなかなか動いてくれないというのは、ビジネスシーンでもよくあることだ。その原因は「現状維持バイアス」にある。人は行動を変えることに抵抗感を抱くのだ。

現状維持しようとする人に働きかけるとき、多くの人は「よい解決策をプッシュする」というアプローチを選ぶ。企業が行うマーケティング活動、営業担当のセールストーク、メンバーに対するマネジャーの指導……いずれも「よい解決策をプッシュする」アプローチが中心だ。

だが相手を動かしたいなら「良い解決策」を一方的に押し付けてはならない。強引に押し切って相手を思い通りに動かしても、結局しこりが残ってしまう。その結果、相手が不満を抱いたり、人間関係が悪化したりする可能性が高くなる。

競争的な議論における3つの落とし穴

「よい解決策」は自分の正しさの押し売りでもある。相手と正しさを競うことになると、3つの落とし穴に陥りやすくなる。

1つ目の落とし穴は、相手の抵抗を生むことだ。自分の正しさを伝える行為は、相手が間違えているというメッセージにもなる。誰しも自分の間違いを認めるのはイヤなものだ。その結果、相手は動いてくれなくなる。

2つ目の落とし穴は、隙のない準備が議論を殺してしまうことだ。貴重な時間を使うのだから準備は必要だが、反論や突っ込みを恐れて隙なく準備すると、情報が膨らみ、本質的なポイントが隠れてしまう。かえって伝えたいことが伝わらず、コミュニケーションは一方的なものになるだろう。

3つ目の落とし穴は、強硬なコミュニケーションによって相手の心が折れてしまうことだ。人は相手を「正しさ」で上回れないとき、思考停止し、そのまま従ってしまうことがある。そのような関係性を含む組織は、提案や情報共有がなされない、働きづらいものだ。

気持ちよく動いてもらうための7つのスキル
クロスメディア・パブリッシング提供

本書では、競争ではなく共創、疑問や反論を活かして結論を進化させるディスカッションをめざす。共に創るディスカッションには、それを支える7つのスキルがある。

想定する力:ゴールに向かうなかで発生する壁に対応するスキル

段取りする力:双方向のコミュニケーションを進めながら、目的達成のための資料やアジェンダを組み立てるスキル

理解を深める力:相手を理解し関係を深めるスキル

見える化する力:情報をビジュアル化して場を前進させるスキル

思い込みを外す力:相手の先入観や固定観念を特定して認知の枠組みを再定義するスキル

軸を動かす力:相手の「割に合わない」という感情を取り除くために意思決定の軸を動かすスキル

巻き込む力:アクション遂行まで熱量を維持し、相手と一体になって推進していくスキル

要約ではこのうち、「想定する力」と「理解を深める力」、そして「見える化する力」を取り上げる。

【必読ポイント!】想定する力:「壁」への対応をシミュレーションする

最高と最悪を想定しておく
クロスメディア・パブリッシング提供

「想定する力」とは、めざすゴールを設定し、疑問や反論などといった壁を想定して、対応方法をシミュレーションするスキルだ。気持ちのよい合意をして相手が動く「最高の状況」と、相手との関係が崩壊する「最悪の状況」、その両方を想定して準備しておく。そうすれば臨機応変に対応でき、安心して共に創るディスカッションができるはずだ。

最高と最悪の両方に備えるためには、T字型の図を用いて「ゴール」「壁」「対応策」を考えるとよい。

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要約公開日 2021.10.25
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