「嵐」に学ぶマーケティングの本質

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「嵐」に学ぶマーケティングの本質
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「嵐」に学ぶマーケティングの本質
著者
出版社
定価
1,870円(税込)
出版日
2021年06月21日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

グループとしての活動を休止している今も、テレビなどでメンバーを目にしない日はない。2020年12月31日に行われた活動休止前のラストコンサートは、オンライン配信の形をとったことで、本来の会場のキャパシティの何十倍ものファンが参加した。逆境を力に変え、最後まで「ファンファースト」を貫いたその姿は、ファン以外にも強い印象を残した――言わずと知れた超人気アイドルグループ「嵐」の話である。周りを見渡せば、家族に、職場に、友人に、一人は嵐のファンがいるだろう。どのファンも、ものすごい熱量で嵐を支持している。

本書はブランドやブランディング、マーケティングという視点から「嵐」を分析する一冊だ。どこまで意図的に行われていたかは不明だが、結果的に嵐はマーケティング理論的にも「正解」の方法でファンの心をつかみ、「嵐ブランド」を確立していた。商品やブランドを任されているビジネスパーソンからすれば、これだけ継続的にロイヤルティーの高い顧客を集め続けている「嵐ブランド」は憧れの的だろう。本書は「嵐ブランド」がなぜここまでの大成功を収めたのか、理論をもとに分析していく。

自身も嵐のファンであるという著者の文章は、嵐への愛にあふれており、読んでいて楽しい。だから嵐のことをよく知らないビジネスパーソンにも、ぜひ安心して本書を手に取ってほしいと思う。嵐のブランディングとマーケティングは工夫に満ちており、学ぶべきことばかりだとわかるだろう。

ライター画像
千葉佳奈美

著者

射場瞬(いば ひとみ)
IBAカンパニー 代表取締役
現在は、米国のデジタル技術やビジネスモデル、マーケティングの最新知見を活用し、企業の事業開発やDX戦略のコンサルティングを行う。マサチューセッツ州立大学にてMA、ニューヨーク大学スターン経営大学院にてMBA取得後、グローバル企業(Colgate- Palmolive、Kraft、American Express、Fila)の米国本社勤務を中心に、約15年間、マーケティングや事業開発のマネジメントを経験。その後、日本コカ・コーラ社マーケティング本部副社長を経て、2010年IBAカンパニー設立。嵐ファンクラブ歴は14年。初参加の07年ライブで魅力にはまり、現在に至る

本書の要点

  • 要点
    1
    ブランドが中長期的に愛されるには、存在理由と同時に、変化への柔軟性が必要だ。嵐は「オリジナルメンバーの5人であること」という核を守りつつ、デジタル化や音楽配信のスタート、SNS発信などといった新しい挑戦を続けた。
  • 要点
    2
    「嵐ブランド」のコアを成すのは、メンバー5人全員がそろっていなければ嵐ではないという「5人で嵐」、そして、ファンやスタッフも嵐を構成する一員であるという「6人目の嵐」である。嵐はこのメッセージを「継続的に・繰り返し」「時期・時間軸を変えて」「語り手を変えて」「五感に訴えて」伝えることにより、効果的な発信に成功した。

要約

ブランドを嵐に学ぶ

ブランドは人の「頭の中」に存在する

「嵐」は、2020年をもって活動を休止したトップアイドルグループである。圧倒的な熱量による支持と消費行動を生み出すその「ブランド」は、どのようにつくられたのだろうか。

現在、ブランドを考えるときには、4つのポイントが重要だ。1つ目は、ブランドは人の「頭の中」に存在するということである。ブランドは、そのブランドを信じ、好きになってくれる消費者(=ファン)の頭の中につくられる。ブランドとは、企業の広報発表や広告でアピールされる内容ではなく、消費者の「頭の中」につくり出されている感情やイメージ、言葉などのことなのだ。

ブランド側がメッセージやイメージを一方的に伝えても、それが消費者の頭の中に存在しないと意味がない。商品・サービス提供者は、ブランドのファンおよびファン予備軍を徹底的に理解し、その人たちに向けて情報発信をする必要がある。

「誰の」頭の中に存在するか
anyaberkut/gettyimages

2つ目は、「誰の」頭の中に存在するかが重要だということである。好みが多様化している現代においては、ブランドを考えるとき、対象者の選択は非常に重要だ。対象者の選択を誤れば、ブランドはまったく別物になってしまうだろう。

だからこそブランド側は、ほかならぬ「ファン」、そして「ファン予備軍」に向けたブランド構築を意識しなければならない。対象を絞り、貴重なマーケティング資源を集中的に投下するのだ。たとえば嵐のようなグループなら、男性アイドルが好きではない人や洋楽しか聴かない人がファンになってくれる可能性は低い。そうした人はあえてターゲットから外してみるのも戦略の一つとなるだろう。

共感できる「意味ある差異」が必要

3つ目は、共感できる「意味ある差異」が必要だということだ。ファンがファンであり続けてくれたり、ファン予備軍がファンになってくれたりするためには、「意味ある差異」への共感、つまり「このブランドでなければと思える違い」を強く感じることが欠かせない。

たとえば嵐なら、ファンに対して「嵐が他のアイドルと違うのはどんなところか?」「嵐のどんなところに共感する(心を動かされる)のか?」を尋ねると、意味ある差異がどのように存在するかを確かめられるだろう。自分のブランドのファンとファン予備軍を理解して、その人たちの共感を得られるような、意味ある差異をつくり出すことが重要だ。そうすれば、中長期的にファンをつなぎとめることができる。

変わらない「核」と変化への柔軟性を併せ持つ

4つ目は、中長期的に愛されるには、存在理由と変化への柔軟性が必要だということだ。ブランドとして譲れない部分はありつつも、ファンの気持ちや変化に合わせて柔軟に対応することがブランドを強くする。

嵐の場合、核となるのは「オリジナルメンバーの5人であること、その5人が強い絆で結ばれていること」だった。一方、デジタル化や音楽配信のスタート、SNS発信、英語を中心とした楽曲に挑戦することなど、新しいチャレンジも忘れなかった。この両方がそろっていたからこそ、長期的にブランドの価値を保つことができたのだ。

ブランディングを嵐に学ぶ

ブランドをつくれないままスタートした嵐
PeopleImages/gettyimages

嵐がグループとしてデビューしたのは1999年のことだが、当時のメンバーの頭の中には「嵐」としての存在意義や明確なイメージは存在しなかったと推測される。本人たちがその後さまざまな場で冗談まじりに語っているように、「たまたま嵐というグループ名でデビューしてしまった5人」として始まったのだろう。事務所を辞めて違う道に進むことを考えていたメンバーもおり、

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