DX進化論

つながりがリブートされた世界の先
未読
日本語
DX進化論
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出版社
エムディエヌコーポレーション

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定価
1,650円(税込)
出版日
2021年09月17日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

本書は尾原和啓氏、宮田裕章氏、山口周氏ら3人の気鋭の論客による対談録だ。読後の率直な感想は、「突飛だった」の一言に尽きる。無茶苦茶という意味ではない。「そんな考え方もあるのか」と唸らされる斬新な提案が数多くあった。

たとえば「民主主義は何千年もイノベーションが起きていない。今の時代に合わせてアップグレードすべきである」という主張は、壮大だが説得力があった。簡単に言うと、従来はテクノロジーの限界のために、数年に一回の選挙で代議士を選び、彼らにコミュニティの運営を委ねるしかなかった。しかし、今ではデータを収集するコストが下がり、リアルタイムに社会の状況を数値化し、運営に反映できる仕組みが整いつつある。それなのに民主主義は前例を踏襲し、ずっと同じようなやり方を続けている。いざ、アップグレードする時が来ている、というわけだ。

この提案のように、本書を読むと「テクノロジーは進化しているのに、それを使う私たち人間の考え方が以前と変わっておらず、うまく使いこなせていない現状」を理解できる。DXに伴い、私たちの考え方もアップグレードする必要がある。

型にとらわれない3人の主張には数多くの発見があった。要約では、3人のうち誰の発言、主張であるかを明示しながら、対談のエッセンスをまとめた。今後のビジネスや社会の方向性を考える上で、多くの示唆を与えてくれる1冊である。

著者

尾原和啓(おばら かずひろ)
1970年生まれ。京都大学大学院工学研究科応用システム専攻人工知能論講座修了。マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、NTTドコモのiモード事業立ち上げ支援、リクルート(2回)、ケイ・ラボラトリー(現:KLab、取締役)、コーポレイトディレクション、サイバード、電子金券開発、オプト、 Google、楽天(執行役員)の事業企画、投資、新規事業に従事。経済産業省対外通商政策委員、産業総合研究所人工知能センターアドバイザー等を歴任。著書に『アフターデジタル』(共著、日経BP)、『ITビジネスの原理』(NHK出版)、『モチベーション革命』(幻冬舎NewsPicks book)、『プロセスエコノミー』(幻冬舎)など多数。山口周氏との共著に『仮想空間シフト』(MdN新書)がある。

宮田裕章(みやた ひろあき)
1978年生まれ。東京大学医学部健康科学科卒業。慶應義塾大学医学部医療政策・管理学教室教授。専門はデータサイエンス、科学方法論。2003年、東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻修士課程修了。同分野保健学博士(論文)。2015年より現職。専門医制度と連携したNCD、LINE×厚生労働省「新型コロナ対策のための全国調査」など、科学を駆使し社会変革を目指す研究を行う。2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)テーマ事業プロデューサーのほか、厚生労働省 保健医療2035策定懇談会構成員、厚生労働省データヘルス改革推進本部アドバイザリーボードメンバーなど。著書に『共鳴する未来』(河出新書)、『データ立国論』(PHP新書)がある。

山口周(やまぐち しゅう)
1970年生まれ。慶應義塾大学文学部哲学科、同大学院文学研究科修士課程修了。独立研究者、著作家、パブリックスピーカー。電通、ボストン・コンサルティング・グループ、コーン・フェリーヘイグループで企業戦略策定、文化政策立案、組織開発に従事。現在、株式会社ライプニッツ代表、株式会社中川政七商店、株式会社モバイルファクトリー社外取締役。『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』(光文社新書)でビジネス書大賞 2018準大賞、HRアワード2018最優秀賞(書籍部門)を受賞。その他の著書に、『ニュータイプの時代』(ダイヤモンド社)、『ビジネスの未来』(プレジデント社)、『自由になるための技術』 リベラルアーツ(講談社)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    DXのコアであるネットの本質は「遠くをつなぐこと」と「多様なものを最適につなぐこと」である。
  • 要点
    2
    データの利活用により、ひとりひとりに寄り添いながら、「個別化」や「包摂」を実現する新たな社会システム「データ共鳴社会」を目指す。
  • 要点
    3
    データがリアルタイムで取得できるようになった今、旧態依然とした民主主義をアップグレードする時期に来ている。
  • 要点
    4
    個々人のデータがどう監視され、使われるのか、データ・ガバナンスの在り方について考えねばならない。

要約

【必読ポイント!】 DXは世界をどう変えたか

DXの本当の変革とは
Blue Planet Studio/gettyimages

本書は、尾原和啓氏と宮田裕章氏、山口周氏の鼎談形式で構成されている。

尾原氏はDX(デジタル・トランスフォーメーション)にはさまざまな定義があるとしたうえで、ネットとAI(人工知能)が中心的な役割を持っていると語る。

ネットの本質は、あらゆるものを細分化し、遠くにあるものをつなげることだ。AIの本質は、自動で認識・識別・予測し、多様なものを最適なものにつなげることにある。

現状のDXは、初期段階の全体最適と自動化が着目されている。しかしこれからは、DXのコアとして、ネットの本質の「遠くをつなぐこと」と「多様なものを最適につなぐこと」がテーマとなってくるだろう。

DXの本質とは

宮田氏によると、DXという言葉はビジネスの文脈では浸透しつつあるが、その本質である「体験価値を問い直すこと」はまだ道半ばの状態にある。

宮田氏はDXの実践のきっかけとして「ひとりひとりの価値を捉え、個別化と包摂を実現する体験を提供すること」を強調している。

医療分野におけるDXの実践例としては「医療の価値を高めるためのデータ利活用・共有」「自然災害時に被災者をケアするために医療データを使用」「感染症患者のデータを流行防止のために使用」などが挙げられる。

さらに宮田氏は、新たな社会システムとして、「データ共鳴社会」を提唱している。データの利活用によって誰ひとり取り残さず、ひとりひとりに寄り添いながら、「個別化」や「包摂」を実現する社会だ。

「一回性」の社会からの転換
patpitchaya/gettyimages

宮田氏は、データの利活用により「最大多数の最大幸福」ではなく「最大“多様”の最大幸福」を目指す社会システムを打ち出した。

これに関連し、尾原氏は中国の現状を説明する。昔の中国ではタクシーに乗ると、乗車拒否や遠回りをしてメーターを稼いだり、目を離した隙にメーターをいじったりするドライバーがたくさんいた。

これは一回性の中で物事を考えているからこそ起きることである。サービスがひどかったとしても二度目は大抵ない。サービスを提供する側としてはモラルを捨て、短期的な利益を重視する方が、長期的な儲けが大きくなる。「一回だけ勝てばオッケー」という環境において、人間はエゴな振る舞いをしやすい。

しかし、DiDiのようなタクシーの配車サービスが登場し、「ドライバースコア」といった概念が出てくると状況は変わる。ドライバースコアが高ければ、さらに報酬が高くなる仕組みができた。

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