ノーコードシフト

プログラミングを使わない開発へ
未読
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ノーコードシフト
出版社
インプレス

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出版日
2021年06月21日
評点
総合
3.8
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

日々の生活の中で、ふと、「こんなアプリがあれば便利かもしれない」と思いつくことがあったとする。しかし、ほとんどの場合、アプリを自分で作るなどと考えることもなく、誰かが作ってリリースしてくれるのを待つばかりになってしまうはずだ。

「ノーコード」とは、コーディングを必要としないこと、つまり、プログラミングをせずに、さまざまなアプリやシステム、ウェブサイトを作ることである。本書では、なぜ今、ノーコードがブームになっているのかという点だけでなく、具体的にどんなツールがあり、どのような実用例があるのかという点についても、詳細に説明されている。本書を読んでいると、自分もこんなアプリやシステムを作ってみたいと、創作意欲をかき立てられることだろう。

本書が指摘しているように、専門家が独占していた領域に、非専門家が参加できるようになるということは、アプリやシステムの開発、制作が「民主化」されるということでもある。多様な人びとが対等に社会参加できるようになっていくことで、社会全体に活力が生まれたように、プログラミングの民主化によって、多様なアイデアが実現していくこととなるはずだ。

ビジネスへの活用という側面だけでなく、今後の社会がどのように変わっていくのかを考えるためにも、本書が提示する新しいビジョンから得られるものは大きいだろう。

ライター画像
大賀祐樹

著者

安藤昭太(あんどう しょうた)
ノーコードコンサルタント/合同会社sowacana代表
大学卒業後、富士通入社。独立後、エンジニア経験を活かし、社会課題をITで解決する会社を立ち上げ、さまざまな社会課題の解決にエンジニアとして関わる。その後、エンジニア人材育成事業を経て、ノーコード事業を開始。大学機関や企業、NPOなど社会性の高い事業をメインにノーコードによる新規事業開発や業務改善のプロジェクトに参画している。自身でも数社のCTOとしてノーコードによるサービス開発を行う。

宮崎翼(みやざき つばさ)
愛媛県出身、東京都在住/国立工業高専卒業(新居浜工業高等専門学校)/NoCode×カスタマーサクセスマネージャー/法人向けIT導入支援
DMMで日本初のノーコード専門オンラインサロン「NoCodeCamp プログラミングを使わないIT開発」を運営するほか、CoderDojo稲城(こどものためのプログラミングサークル)など、イベントやコミュニティでも活動する。

NoCode Ninja(ノーコードニンジャ)
NoCodeエバンジェリスト
日本初&日本最大のノーコード専門オンラインサロン「NoCodeCamp プログラミングを使わないIT開発」を宮崎翼氏と運営(サロンの規模はノーコード専門として最大手Makerpad(ロンドン)に次ぐ世界2位)。SNSなどでノーコード情報を発信しており、note記事『プログラミング不要のNoCode(ノーコード)とは? どうやって学習するの?』は110,000PVを突破。NoCodeCampとしての受託開発やイベント主催、メディア出演、ネット授業、インタビュー登壇など多方面で活躍中。著書に『基礎から学ぶ ノーコード開発』(シーアンドアール研究所)がある。
Twitter: @nocodejp
note: https://note.com/nocodeninja
YouTube: https://www.youtube.com/channel/UCZg4yOkPIfbSc3f6FVS1x_g

本書の要点

  • 要点
    1
    プログラミングすることなく、アプリやウェブサイト、システムを作れるノーコードツールによって、わずかな費用と時間で、非エンジニアでも、さまざまなアイデアを形にできるようになった。
  • 要点
    2
    ノーコードの導入は、非エンジニアが自ら一部システムを管理・改善できるようになり、エンジニアが不要な業務から解放されることによって、経営資源を最適化できる。
  • 要点
    3
    誰もがアイデアを形にしやすくなることで、プログラマーに限らず、多様な属性を持つ人びとが開発に携われるようになり、多様性を包摂した、なめらかな社会を作れるようになる。

要約

なぜ、今ノーコードなのか

ノーコードの発展

ノーコードとは、非エンジニアがプログラミングすることなく、「ウェブアプリケーション(サービス)を作ることができる」、「提供されている機能を自由に拡張できることでテクノロジーの恩恵を受けられるようになる」ツールのことである。

1990年代には既にウェブサイトを簡単に作れるソフトウェアが販売されていたように、ノーコードという概念はインターネット黎明期からあった。

クラウド技術が普及したことで、ソフトウェアを一括購入するのではなく、利用した期間の分だけ使用量を支払うSaaS(サース)と呼ばれる形態が一般化した。複数のシステムの間で簡単にデータを連携できるAPIのシステムが発展したことが、現在のノーコードの大きなブームの技術的要因となっている。

ノーコードとニッチ市場
Funtap/gettyimages

現代社会は、多様性の広がりを踏まえ、さまざまな価値観を持つ小さな集団が無数に存在している状況だ。そのため、大量消費的な商品・サービスが受け容れられにくくなっている一方で、個人や小さな集団の個別の需要に合わせた「ニッチ市場」への対応が求められるようになった。

従来は、ニッチな需要に応えるサービスを開発しようにも、初期投資と成果が見合わず、リスクが大きかった。だが、ノーコードであれば、わずかな費用と時間ですぐにサービスを開発できる。リスクが少ないだけでなく、金銭的報酬を得られ、ニッチな需要を持つ人たちからは感謝されることだろう。多様化し、複雑化した社会において、課題や要望を自分たちで見つけ、アイデアを出して実現する社会への転換を、ノーコードが可能にしていくだろう。

専門的で高度な技術を持つIT人材を育成するのは時間もコストもかかる。しかし、データベースからデータを抽出して資料を作るといったシンプルな作業を、ノーコード化して誰もができるようになれば、エンジニアはそうした仕事から解放される。そしてデジタル・トランスフォーメーションの推進や技術開発など、本当に必要な作業だけに時間をかけられるようになるだろう。

こうした社会事情を背景に、現在ではノーコードを推進させようとするビジネスパーソンたちが、新しいコミュニティを形成し始めている。

ノーコードが担う役割

ノーコードが普及したとしても、プログラミング技術やエンジニアの存在が不要になるわけではない。C言語からPHPやRubyへの移行のように、プログラミング言語は、より多くの人が簡単に素早くプログラミングできるように進化してきた。プログラミングすることなく、アプリやサイトを作れるようになるノーコードの概念は、この進化の延長線上にある。

ノーコードで代替されるのは、データベースからデータを抽出してレポートを作ったり、メールの注文内容を受注管理システムにコピペ入力したりといった「定常的IT業務」と、インターネット広告のリンク先となるランディングページの設定など「定型化したプログラミング業務」である。

一方、非定常で非定型の業務は人間が担当しなければならず、代替されることはない。経営資源を最適化するためにも、定常的IT業務や定型化したプログラミング業務はノーコードに任せ、ITエンジニアには、技術開発や課題解決のためのシステムづくりといった、非定常で非定型の業務に専念してもらったほうがよいだろう。

【必読ポイント!】 ノーコードをいかに活用するか

ノーコードのメリット
3D_generator/gettyimages

ノーコードのメリットは、スピードの速さだ。例えば、メルカリの基本的な機能を備えたようなアプリの場合、ノーコードを使うと約1時間で実装できる。

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要約公開日 2021.11.14
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