教養としての茶道の表紙

教養としての茶道

世界のビジネスエリートが知っている


本書の要点

  • 茶道や、茶道に密接に関わる禅の教えは、松下幸之助やスティーブ・ジョブズなど、名だたるエリートたちを魅了してきた。

  • 現在に伝わる茶道は、千利休が「茶の湯」として完成させた。その基本となる「わび・さび」の精神は、足りないことを美しさとして見出す日本独特の美意識だ。

  • 総合伝統文化と呼ばれる茶道は、日本文化の縮図である。

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茶道はグローバル社会での必須教養

外国人が一番感動するのは「日本のおもてなしの心」

Stefan Tomic/gettyimages

外国人が日本に来て一番感動するのは、「日本のおもてなしの心」だそうだ。期待を上回る心遣いに驚かされるのだ。究極のおもてなしは「茶道」にあるともいわれる。茶道では、お客様をおもてなしする際、何日も前からお茶室の内外や道具、菓子、花などを丹念に準備する。お客様との一期一会を大事にする心を表現するのが、茶道のおもてなしだ。お客様を思い、入念な準備をする茶道の心は、仕事や生活で活かしてこそのものだ。外国のVIPでも茶道に興味を持つ方は多い。著者は、ブルネイ国の国王の「即位50周年を祝う会」で、茶道を披露する機会があった。渡航前に、どのような抹茶を持っていったら喜んでもらえるかを徹底的にリサーチした。ブルネイには緑茶を飲む習慣がなかったので、苦味が少なくて甘みのあるブルネイブレンド茶を用意した。抹茶を一口飲んだ王女は「このお抹茶は今まで飲んだどのお茶より美味しいですね」とお気に召したご様子だった。お茶の葉だけでできているのでハラルフードであるとお伝えすると、最後の一滴まで召し上がった。相手を想い、事前の準備をすることの大切さを再認識した出来事だった。初来日したエストニア首相がお茶室にいらした際には、多忙な首相に少しでもリラックスしていただくために、お茶会の設えやコンセプトを考えた。大所帯でいらした首相に、お手前をご覧いただいた後、首相ご自身にもお茶を点てていただいた。「お茶を点てている間は、目の前のお抹茶だけに集中して、心が静かになった」と、リラックスして喜んでいただくことができた。

ほとんどの日本人は茶道を学んだことがない

外国人のお客様からの質問で一番多いのが「お抹茶はどのように作られるのですか」というものだ。煎茶と抹茶を混同している方も多いが、日本人でもこの違いを説明できる人は少ない。

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要約公開日 2021.12.11
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