世界のビジネスエリートが知っている

教養としての茶道

未読
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教養としての茶道
出版社
自由国民社

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出版日
2021年08月27日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

ビジネス書を読んでいると、日本の文化の代表として「茶道」の話がよく出てくる。興味を持ってはみたものの、何から学べばよいかわからず、ましてや茶道の門をたたくにはハードルが高すぎる。そんななか出会ったのが本書であった。

本書の著者は、多くの国賓をもてなし、国内外でお茶会を多数実施している、茶道のプロフェッショナルだ。そんな著者が、ビジネスパーソンにとって親しみやすく、わかりやすい題材をピックアップして、知っておくべき教養としての茶道を紹介している。松下幸之助が大切にしていた「素直な心」と茶道の関係にはじまり、スティーブ・ジョブズの禅への想い、茶道で学ぶ精神性のビジネスへの応用、マインドフルネス、外国人から見た茶道など、興味を引かれる話題が満載だ。お茶会の作法についても、プロの視点で、初心者に必要なことが端的にまとまっている。これから茶道を知ろうとする人には、かゆいところに手が届く一冊である。

さらに、英語で茶道について説明するための文例集や、日本語でも説明しづらい「わび・さび」の美意識の解説も掲載されている。海外のお客様に日本の文化を説明する機会のある人には特に役立つ内容だ。

本書を読むと、茶道が日本の伝統文化と広く関連していることがよくわかる。今流行のマインドフルネスも、茶道と密接に関わる禅の精神から来ているのだから、ビジネスパーソンにとって、茶道の基礎を学ぶことは大いに役に立つはずだ。自国の文化について教養を身につけたいという方に、広くおすすめしたい。

著者

竹田理絵(たけだりえ)
株式会社 茶禅 代表取締役
一般社団法人 国際伝統文化協会 理事長
日本伝統文化マナー講師 茶道裏千家教授
和の教養や精神を身につけて、世界で活躍したいビジネスパーソンに対して、日本の伝統文化や茶道、和の作法で支援するグローバル茶道家。神楽坂生まれの3代目江戸っ子。
青山学院大学文学部卒業後、日本IBMに入社。退社後、日本の伝統文化の素晴らしさを伝えたいと株式会社茶禅を創設。
銀座と浅草に敷居は低いが本格的な茶道を体験できる茶室を開設。
茶道歴40年、講師歴25年。年間世界30ヵ国の方々に日本の伝統文化を伝え、延べ生徒数は30000人を超える。
ブルネイ国王即位50周年のイベントにて茶会披露。各国首相や大使館、官庁、VIP、一部上場企業からの信頼も厚くお茶会を多数実施。
千利休から学ぶビジネス研修は、経営者が注目し、企業研修に取り入れられる。
ハーバード大学など、茶道を取り入れた教育・教養研修実績多数。
おもてなしが評価され、2017年「おもてなしセレクション」を受賞。日経おとなのOFF・ヒルナンデス・スッキリ・あさチャン!・JAL国際線機内誌「SkyWard」・日本経済新聞・読売新聞・朝日新聞・毎日新聞、その他国内外メディアから取材多数。
昨今はニューヨーク、パリ、ロンドン、ミラノなど海外へ日本の伝統文化、茶道マインドを普及する第一人者として広く発信している。

本書の要点

  • 要点
    1
    茶道や、茶道に密接に関わる禅の教えは、松下幸之助やスティーブ・ジョブズなど、名だたるエリートたちを魅了してきた。
  • 要点
    2
    現在に伝わる茶道は、千利休が「茶の湯」として完成させた。その基本となる「わび・さび」の精神は、足りないことを美しさとして見出す日本独特の美意識だ。
  • 要点
    3
    総合伝統文化と呼ばれる茶道は、日本文化の縮図である。

要約

茶道はグローバル社会での必須教養

外国人が一番感動するのは「日本のおもてなしの心」
Stefan Tomic/gettyimages

外国人が日本に来て一番感動するのは、「日本のおもてなしの心」だそうだ。期待を上回る心遣いに驚かされるのだ。究極のおもてなしは「茶道」にあるともいわれる。茶道では、お客様をおもてなしする際、何日も前からお茶室の内外や道具、菓子、花などを丹念に準備する。お客様との一期一会を大事にする心を表現するのが、茶道のおもてなしだ。お客様を思い、入念な準備をする茶道の心は、仕事や生活で活かしてこそのものだ。

外国のVIPでも茶道に興味を持つ方は多い。著者は、ブルネイ国の国王の「即位50周年を祝う会」で、茶道を披露する機会があった。渡航前に、どのような抹茶を持っていったら喜んでもらえるかを徹底的にリサーチした。ブルネイには緑茶を飲む習慣がなかったので、苦味が少なくて甘みのあるブルネイブレンド茶を用意した。抹茶を一口飲んだ王女は「このお抹茶は今まで飲んだどのお茶より美味しいですね」とお気に召したご様子だった。お茶の葉だけでできているのでハラルフードであるとお伝えすると、最後の一滴まで召し上がった。相手を想い、事前の準備をすることの大切さを再認識した出来事だった。

初来日したエストニア首相がお茶室にいらした際には、多忙な首相に少しでもリラックスしていただくために、お茶会の設えやコンセプトを考えた。大所帯でいらした首相に、お手前をご覧いただいた後、首相ご自身にもお茶を点てていただいた。「お茶を点てている間は、目の前のお抹茶だけに集中して、心が静かになった」と、リラックスして喜んでいただくことができた。

ほとんどの日本人は茶道を学んだことがない

外国人のお客様からの質問で一番多いのが「お抹茶はどのように作られるのですか」というものだ。煎茶と抹茶を混同している方も多いが、日本人でもこの違いを説明できる人は少ない。

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要約公開日 2021.12.11
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