Apple Car
デジタル覇者vs自動車巨人

未 読
Apple Car
ジャンル
著者
日本経済新聞・日経クロステック合同取材班
出版社
定価
2,420円(税込)
出版日
2021年08月19日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
3.5
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デジタル覇者vs自動車巨人
著者
日本経済新聞・日経クロステック合同取材班
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定価
2,420円(税込)
出版日
2021年08月19日
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4.0
革新性
4.0
応用性
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おすすめポイント

自動車業界に、劇的な変化が訪れている。EV市場ではテスラが躍進し、自動運転技術の重要性は高まり、クルマの付加価値はハードウエアからソフトウエアにシフトする。日本を代表するモノづくり企業であるトヨタ自動車は、「ソフトウエアファースト」の方針を打ち出した。自動車業界を中心とした製造業への依存度が高い日本にとっては、産業界全体を揺るがす破壊と創造がもたらされるかもしれない。

かつて日本が世界を席巻したものづくりの能力は、多くの商品でコモディティ化し、その存在感を示すことが難しくなってきた。それでも、高い技術力が求められるクルマは、日本がその強みを発揮できる数少ない領域だ。ITの巨人であるアップルの自動車産業への参入は、ものづくり大国日本にとって脅威だ。トヨタ自動車社長の豊田章男氏は、「生きるか死ぬか」の瀬戸際の戦いだと、危機感をあらわにしている。

いま、自動車業界で何が起こっているのか。本書はその現状や展望を、丁寧かつ膨大な取材に基づいて詳らかにしている。加えて、テスラの完成車を分解したり、さまざまな有識者のインタビューを掲載したりするなど、生々しい情報が満載だ。

本書を通じ、新しい産業へと生まれ変わろうとする自動車産業の未来に触れていただきたい。

ライター画像
香川大輔

本書の要点

  • 要点
    1
    アップルに代表される異業種の自動車産業の参入は、従来の産業構造を破壊する可能性を持つ。
  • 要点
    2
    自動運転技術の向上で、クルマの付加価値はハードウエアからソフトウエアに移り、分業体制を構築する必要に迫られる。
  • 要点
    3
    アップルは、クルマの価値を再定義するかもしれない。ハード中心の垂直統合型ビジネスモデルが変革され、スマートフォンに代表されるようなソフトが競争力の源泉となるだろう。

要約

【必読ポイント!】アップルがもたらした衝撃

アップルによる自動車市場参入の衝撃
Prykhodov/gettyimages

2020年末、アップルが電気自動車(EV)の生産を目指し、関連技術の開発を進めていると報じられた。アイフォンとの連携を含めたユーザー体験で差別化を図るとみられる。

すでにアップルは、車載情報器とアイフォンを連携させて「マップ」や「ミュージック」のアプリを表示する「カープレイ機能」を提供している。加えて、アイフォンやアップルウォッチをデジタルキーとして利用できる「カーキー」も展開している。

自動運転の技術開発を手掛ける米アルファベット(Alphabet)傘下のウェイモ(Waymo)など競合の背中はまだ遠いものの、同分野にも力を入れている。

詳細は明らかにされていないが、2021年1月には、韓国・現代自動車がアップルとの交渉を発表してその後に撤回、公然の秘密となった。アップルはいつもの秘密主義を貫いている。車の付加価値が、ハードウエアからソフトウエアに移りつつある中、その両方の開発能力が高いアップルには、既存の常識を打ち破る価値を提供する“何か”があるとうかがわせる。

アップルが電気自動車の開発に踏み切った背景には、テスラの躍進が大きいとみられる。無線通信によるソフト更新で発売後に機能を高めるオーバー・ジ・エア(OTA)により一定の成功を収めているからだ。

アップルも、OTAでアップルカーのアプリを更新するなどして、アイフォンの「勝利の方程式」をEVで実現させようとしているのだ。

崩れる産業構造

アップルに代表される異業種の自動車分野への相次ぐ参入により、従来の産業構造が壊れ始めた。自動車メーカーを頂点に、企画から設計、生産まで一貫して担う「垂直統合」モデルから、スマホのように設計や製造を分担する「水平分業」化が広がる可能性がある。

実際に、自動運転の基本ソフトウエアやEVプラットフォームを普及させるための業界団体が立ち上がり、自動運転EV生産への参入障壁が下がる可能性が出てきた。アイフォンの生産を担う台湾の鴻海精密工業は、中国や米国を念頭に新興メーカーのEV受託生産の準備を進めている。伝統的な自動車メーカーも、CASEの進展ですべてを自前で開発する事業モデルは困難になっている。

部品メーカーにも、戦略転換が求められる。OTAによって常に機能を最新の状態にできるプラットフォームが構築されることにより、ハードウエアを売ったら終わりという従来のサプライヤーの常識が大きく覆ろうとしているのだ。

クルマの価値や構成する主要技術が変われば、部品を供給する側の勢力図も一変する。今まで通り自動車メーカーの下請けのままなのか、立場が対等のパートナーになるのか、今が分岐点であるといえるだろう。

一方、自動車業界が次世代車両への対応を急ぐ中、部品メーカー各社はエンジン車市場の残存者利益を狙う選択肢もある。スケールメリットを出すための業界再編が加速する可能性もある。

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