ムダな努力を一切しない最速独学術

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ムダな努力を一切しない最速独学術
出版社
出版日
2021年09月28日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

突然自社の公用語が英語になった。縁のないデジタルマーケティングの知識が急に必要になった。今の働き方に不安があり新たなスキルを身につけたいと思うが、学習が捗らない――。変化が激しく、アンラーニングが重要視される現代、こうした悩みを抱える読者も多いのではないだろうか。そんなときこそ、「学び方を学ぶ」という原点回帰をおすすめしたい。本書はあなたの人生を切り開くために、伴走してくれる心強い一冊だ。

著者は、英語・デジタル教育事業を展開するトライオン株式会社の社長、三木雄信氏だ。25歳でソフトバンクに転職し、孫正義社長の秘書を務めた経歴がある。常に最短最速で学び続ける必要があり、そのなかで「学び方」の重要性に気づいた。最終的には「学び方さえ知っていれば、生まれ持った能力や置かれた環境には関係なく、誰もが賢い人になれる」という結論に辿り着いたという。

三木氏の手掛ける英語コーチングプログラム「TORAIZ」は、これまでに6000人もの受講生の夢やキャリア実現のサポートをしてきた。本書を読むと、科学的な研究やTORAIZで実証された独学のノウハウが、体系的に理解できる。まるで学び方のコーチングを受けているような気分を味わえるだろう。

人生100年時代では、新たなスキルの習得はますます重要になる。「学び方を学ぶ」という原点に立ち返りたいのなら迷わず本書をお読みいただきたい。

著者

三木雄信(みき たけのぶ)
トライオン(株)代表取締役社長三菱地所(株)を経てソフトバンク(株)に入社。27歳で同社社長室長に就任。孫正義氏のもとで「ナスダック・ジャパン市場開設」「日本債券信用銀行(現・あおぞら銀行)の買収案件」「Yahoo!BB事業」などにプロジェクト・マネージャーとして関わる。英会話は大の苦手だったが、ソフトバンク入社後に猛勉強。仕事に必要な英語だけを集中的に学習する独自のやり方で、「通訳なしで交渉ができるレベル」の英語をわずか1年でマスター。2006年にはジャパン・フラッグシップ・プロジェクト(株)を設立し、同社代表取締役社長に就任。同年、子会社のトライオン(株)を設立し、2013年に英会話スクール事業に進出。2015年には1年で英語をマスターできる英語コーチングプログラム『TORAIZ』(トライズ)を開始し、日本の英語教育を抜本的に変えていくことを目指している。著書に、『海外経験ゼロでも仕事が忙しくても「英語は1年」でマスターできる』『孫社長にたたきこまれたすごい「数値化」仕事術』(ともにPHP研究所)ほか多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    大人が最短最速で目標を達成するためには、個別最適化された学習プログラムをデザインすることが重要だ。インストラクショナル・デザインにもとづく「7つのステップ」で、学習を個別最適化することができる。
  • 要点
    2
    学習計画の前に人生計画を立てるようにしたい。将来達成したいゴールから逆算して、達成のための学びを重ねることが大事だ。
  • 要点
    3
    学習目標のABCDモデルと自分に合ったテストを活用して、学習のゴールを明らかにしよう。
  • 要点
    4
    「必要学習時間」と「学習可能時間」を知り、学習ロードマップに落とし込むことで、学習計画を視覚化できる。

要約

科学的に証明された、誰もが成功する「学び方」

個別学習の効果を証明する2つの科学的根拠
alvarez/gettyimages

受験のように一律の目標を持つ学生と異なり、大人の学習目的は千差万別だ。では、大人が最短最速で目標を達成するためには、どんな学び方をすればいいか。それは、「自分自身のゴールを達成するために、個別最適化された学習プログラムをデザインする」ことである。個別学習の効果を証明する科学的根拠は2つある。

1つ目の根拠は「ブルームの2シグマ問題」と呼ばれる研究だ。研究者のベンジャミン・ブルームは、学生被験者を3グループに分け、習熟度をテストで測定した。

(1)教室の講義のみの学習方法

(2)教室での講義に加え、習熟度アプローチを取り入れ、前の課題を習得しなければ次の課題へと進まない学習方法

(3)チューターの個別指導で学習する方法

結果、(2)のグループの得点は(1)のグループよりも標準偏差(σ=シグマ)の分だけよくなり、(3)のグループでは成績が(1)のグループに比べて2σよくなっている。つまり、それぞれのグループ間において偏差値で10もの差が生じたのだ。この研究結果から、適切な学び方をすれば生まれ持った能力や置かれた環境にかかわらず、誰もが「できる人」になれるのだとわかる。

もう1つは「キャロルの時間モデル」である。言語学および心理測定学の専門家ジョン・B・キャロルは、「学習率(学習達成度)=(学習可能時間×根気強さ)÷(必要学習時間×指導の質×理解能力)」という式を提唱した。

ここで注目すべきなのは、必要学習時間と学習可能時間の2点だ。日本では、「学習できるかできないか」は本人の理解力や根気強さで決まると考えられている。だが、それだけでは重大なことを見落としてしまう。本人や指導者の資質だけにとらわれず、「必要学習時間」を把握し、スケジュールの中でどうすれば100%の「学習可能時間」を配分できるかを考えるプランニングが重要だ。

学習を個別最適化する「インストラクショナル・デザイン」

本書では、個別最適化された学習プログラムを作るために「インストラクショナル・デザイン」を提唱する。この手法は、「学習目標」「学習内容」「評価」の3つの基本要素を相互補完的に組み合わせ、このサイクルを回しながら改善していく構造だ。要するに「ビジネスにおけるPDCA」と同じである。ビジネスではPDCAの実践が常識になっているにもかかわらず、学習ではその観点が抜け落ちてしまい、非効率な学習に苦しむ人が多い。学習も仕事と同様に、計画を実行するためのデザイン、つまり「学び方のプロジェクト・マネジメント」が重要となる。

インストラクショナル・デザインに基づく学びのプロジェクト・マネジメントは、次の「7つのステップ」で構成される。

ステップ1:人生計画を立てる

学習計画の前提となる人生計画を決めていく。自分が何を成し遂げたいのかを明確にし、自分が将来達成したいゴールから逆算して「登る山」を決めよう。

ステップ2:学習目標をクリアにする

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要約公開日 2021.12.13
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