お金のむこうに人がいる

元ゴールドマン・サックス金利トレーダーが書いた 予備知識のいらない経済新入門
未読
日本語
お金のむこうに人がいる
お金のむこうに人がいる
元ゴールドマン・サックス金利トレーダーが書いた 予備知識のいらない経済新入門
著者
未読
日本語
お金のむこうに人がいる
著者
出版社
ダイヤモンド社

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定価
1,760円(税込)
出版日
2021年09月29日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.5
革新性
4.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

経済学は難解だ。専門に学んだ人でもなければ、マルクスやケインズ、フリードマンといった名だたる経済学者の著書を読み解き、その真髄をつかむという「苦行」に挑んだ人は少ないだろう。多くの人は教科書や解説書を読んで「労働力商品」「有効需要」「貨幣の中立性」といったキーワードを覚えて理解した気分になっているのではないだろうか。

本書は「お金のむこうに人がいる」というタイトルどおり、お金のむこうにいる、「働いて誰かを幸せにしている人」を中心に経済を読み解いている。すると、途端に経済はシンプルに考えられるようになるのだ。専門用語も予備知識も必要ない。それなのに、これまでピンと来なかったような経済の仕組みがすっと理解できる。著者のやさしい言葉づかいと、ユニークなたとえ話に導かれていくと、不思議と自分の頭で経済について考えられるようになってくる。

著者が提唱するのは、「お金中心の経済学」から「人中心の経済学」への転換だ。すべてのモノは「原価0円の天然資源」と「労働力」からつくられる。いくら紙幣を刷っても労働力不足やモノ不足は解消しない。経済をつきつめて考えると、「人」に行きつくのだという。著者のように、経済の目的が人を幸せにすることだと考えるのであれば、大事なのは「お金のむこう」にいる人だ。私たちはともに助け合って生きている。単なる方便ではなく、そのことを実感させてくれる本書は、経済に苦手意識を持っている人にこそ読んでいただきたい一冊だ。

ライター画像
ヨコヤマノボル

著者

田内学(たうち まなぶ)
1978年生まれ。東京大学入学後、プログラミングにはまり、国際大学対抗プログラミングコンテストアジア大会入賞。 同大学院情報理工学系研究科修士課程修了。2003年ゴールドマン・サックス証券株式会社入社。以後16年間、日本国債、円金利デリバティブ、長期為替などのトレーディングに従事。日銀による金利指標改革にも携わる。2019年退職。現在は子育てのかたわら、中高生への金融教育に関する活動を行っている。
本書が初の著書。

本書の要点

  • 要点
    1
    お金を払えば、他の人に働いてもらえる。しかしコミュニケーションをお金に任せると、徐々に人が見えなくなってしまう。お金のむこうに人がいて、誰かを幸せにするために働いている。
  • 要点
    2
    「お金には価値がある」というのは正確な言葉ではない。円貨幣が日本で普及し始めたのは、円貨幣で税金を納めないといけなくなったからだ。そのシステムにより、公務員などのみんなのために働く人が存在する。
  • 要点
    3
    お金のむこうで誰かを幸せにするために働いている人がいることを思い出すと、経済をシンプルに理解することができる。

要約

「社会」は、あなたの財布の外にある

紙幣そのものに価値はない

「わたしたちの暮らす社会は、一人ひとりが支え合っている」。そう聞いても、なかなか実感がわかない。むしろ生活を支えているのはお金だと思ってしまう。しかし、働く人がいなければ、お金に価値はない。蛇口をひねるだけで水が飲めるのは、水道代を払っているからではない。見知らぬ誰かが働いてくれているおかげだ。

自分の財布の中ばかり見ていては、社会と切り離されてしまう。安心した老後を送るには、お金さえ貯めておけばよいと考える人が多いが、そのままでは幸せな未来にはたどりつけない。「お金には価値がある」としか書かれていない「経済の羅針盤」では不十分なのだ。

かつて、紙幣は金(きん)と交換する約束の「預かり証」だった。両替商に金を預けた預かり証を、取引の支払いに使っていたのだ。後に、紙幣を発行できるのは日本銀行だけになり、貨幣制度の発達とともに、金と紙幣の交換義務はなくなった。いま紙幣を日本銀行に持ちこんでも、何かと交換してくれるわけではない。

それでも私たちが紙幣を欲しがるのはなぜか。じつは、「脅されている」のだ。紙幣を手に入れないと、刑務所に入れられてしまう。なぜなら税金は円貨幣(紙幣や硬貨)で払わなければいけないという法律があるからだ。

なぜ紙幣をコピーしてはいけないのか?
Nuthawut Somsuk/gettyimages

紙幣自体には価値がない。しかし、税金システムの導入によって、個人にとっては価値が生まれる。すると、政府から円貨幣をもらうために、一部の人たちが公務員としてみんなのために働くようになり、その他の人もお互いのために働くようになる。だから経済の羅針盤はこの2項目に書き換えられなければならない。「個人にとって、お金には価値がある」「社会全体にとって、お金自体には価値がない」。

もし、紙幣をコピーしてよいことになったらどうなるだろうか。納税から解放され、楽になると思うかもしれない。実際には、困るのは国ではなく、納税者たち自身だ。

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