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出版社
SBクリエイティブ
定価
990円(税込)
出版日
2021年12月25日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

2021年11月9日、作家・僧侶である瀬戸内寂聴さんが亡くなった。女性の性愛や孤独を真正面から問う文筆活動や『源氏物語』の現代語訳の完成などで、日本文化に多大な貢献をされてきた。本書のもとになったインタビューは、寂聴さんが亡くなる3ヶ月ほど前、京都の寂庵で行われた。聞き手は寂聴さんの秘書を12年務めてきた瀬尾まなほさんだ。

本文は、「親愛なる先生へ」と題されたまなほさんの手紙から始まる。12年間寂聴さんを喜ばせ笑わせることばかりを考えていたというまなほさんの文章には、愛と悲しみがにじんでいる。本編へ移ると、随所から二人の強い絆が感じられ、寂聴さんがまなほさんを優秀な秘書として高く評価し、信頼していることがうかがえる。まなほさんの素朴でありながら鋭い質問へ、寂聴さんが仏教の思想をわかりやすく交えながら軽妙に切り返す。読んでいると、まるで自分も会話に参加しているかのような心地よさだ。きっとまなほさんが聞き手だからこそ、こんなにも愛のある語りになったのだろうと思わずにいられない。

まなほさんが「出逢った人の中で一番魅力的で優しくて、愛あふれる人」と形容する寂聴さんの眼差しは、深い愛に満ちている。まなほさんに向けられたであろうその視線は、本を通して読者へも注がれる。寂聴さんの最後の語り下ろしは、「今を生きるすべての人へ」のメッセージだ。

ライター画像
池田友美

著者

瀬戸内寂聴(せとうち じゃくちょう)
小説家、僧侶(天台宗大僧正)。1922年、徳島県生まれ。東京女子大学卒業。21歳で結婚し、一女をもうける。京都の出版社勤務を経て、少女小説などを執筆。57年に「女子大生・曲愛玲」で新潮同人雑誌賞を受賞、本格的に作家生活に入る。73年に得度し「晴美」から「寂聴」に改名、京都・嵯峨野に「曼陀羅山 寂庵」を開く。女流文学賞、谷崎潤一郎賞、野間文芸賞、泉鏡花文学賞など受賞多数。2006年、文化勲章受章。著書に『夏の終り』『美は乱調にあり』『花に問え』『場所』『風景』『いのち』『源氏物語』(現代語訳)など多数。2021年11月9日に逝去、享年99。

瀬尾まなほ(せお まなほ)
瀬戸内寂聴秘書。1988年、兵庫県生まれ。京都外国語大学英米語学科卒業。卒業と同時に寂庵に就職。3年目の2013年3月、長年勤めていたスタッフたち が退職し、66歳年の離れた瀬戸内寂聴の秘書になる。著書に『おちゃめに100歳! 寂聴さん』『寂聴先生、ありがとう。秘書の私が先生のそばで学んだこと、感じたこと』。困難を抱えた若い女性や少女たちを支援する「若草プロジェクト」の理事も務めている。

本書の要点

  • 要点
    1
    仏教では見返りを求める愛情を「渇愛」、求めない愛情を「慈悲」と呼ぶ。本当に好きならば、ダメなところも含めて好きになり、見返りは求めないはずだ。
  • 要点
    2
    「私なんか」と自分を卑下するのは、命を与えてくれた親や大いなるものに失礼だ。せっかく生まれてきたのだから「私こそは」と思って生きるべきだ。
  • 要点
    3
    ものごとはいいことも悪いことも、移り変わるものだ。つらいときも、耐え忍べば必ず終わりはくる。だから絶望してはいけない。

要約

【必読ポイント!】愛は見返りを求めません

「渇愛」ではなく「慈悲」の心で
PeopleImages/gettyimages

本編は、まなほさんのこんな語りから始まる。はじめは自分がしてあげたいという純粋な気持ちからやっていたことでも、続けているうちに見返りが欲しくなってしまう。これは人間として当たり前のことなのだろうか。

これに対して、寂聴さんは当たり前かもしれないが、そう開き直ってしまったら、関係は長く続かないだろうと答える。本当の愛情は「あげっぱなし、与えっぱなし」になり、それに見返りを求めるのはちょっと卑しい。見返りを求める愛情を、仏教では「渇愛」と呼び、強く戒めている。見返りやお返しを求めない愛情は「慈悲」だ。仏教の極意は慈悲に尽きる。「慈」とは人に楽を与えることで、「悲」は人の苦しみを抜き去ることだ。仏様は何の見返りも求めない。それこそが本当の愛情なのだと寂聴さんは説く。

人にわかってもらえないと感じたら、自分が相手のことをわかろうとすることが大切だといわれることがある。どうしたら相手が理解できるのかとまなほさんは尋ねた。

寂聴さんの答えは、「本当に好きな相手だったら、その人のことを理解しようとするまでもなくわかる」というものだ。本当に好きだったら、相手のイヤなところも許してあげられる。「どうしてわかってくれないのだろう」と思うのは、相手のことがそんなに好きではないのだ。好きになるというのは、ダメなところも含めて好きになるということだ。

まなほさんは、無理してわかってもらおうとするのではなくお互いが自然にわかり合える関係が「気が合う」ということなのだと納得する。恋人でも友人でも、気が合うとは、自然とそうなっているということなのだろう。

孤独な存在だから、人は互いを求め合う

まなほさんは寂聴さんに、恋愛について質問する。先生はよく「いくつになっても恋愛をしなさい」というが、それは人にとってどんな意味をもつのか、と。

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要約公開日 2021.12.30
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