新時代を生き抜く越境思考

組織、肩書、場所、時間から自由になって成長する
未読
新時代を生き抜く越境思考
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新時代を生き抜く越境思考
出版社
技術評論社

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出版日
2022年04月07日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

近年、日本の大企業はこぞってイノベーションやDXをめざすようになったが、成功例はまだ限られているといってよい。その原因の1つは、過去50年にわたり優秀とされていた人が変化にブレーキをかけてしまう点だ。どうすれば日本の組織に広がる停滞した空気を変えられるのか? その1つの解となるのが本書のテーマ「越境」である。

著者は日産自動車・NTTデータを経て、現在は350以上の組織で働き方改革や組織変革を支援する組織開発のスペシャリスト、沢渡あまね氏だ。沢渡氏は、日本のビジネスパーソンの思考停止・行動停止問題について、強い課題意識を抱いているという。思考停止は法制度、組織文化、社会的通念、業務プロセス、それらによって培われるマインドセットによって引き起こされる。人の意識を変えるのは難しいということだ。

しかし、組織の景色を変えることはできる。そして、景色が変われば思考や行動が変わる人が必ず存在する。そこから徐々に組織文化が変わりはじめ、イノベーティブな風土を育んでいく。著者はそのような変化を全国各地で目の当たりにしてきた。

「越境」には複業、企業間留学、ワーケーションなどさまざまな形態がある。そして組織の景色を変え、人の意識と行動を変えていく。これまでのしがらみから解き放たれて真の力を発揮したい方、そんな組織やチームをめざす方に迷わず手に取っていただきたい一冊だ。

著者

沢渡あまね(さわたり あまね)
作家/ワークスタイル&組織開発専門家。あまねキャリア株式会社CEO/株式会社NOKIOO顧問/株式会社なないろのはな取締役 浜松ワークスタイルLab所長/ワークフロー総研フェロー。日産自動車、NTTデータなど(情報システム・広報・ネットワークソリューション事業部門などを経験)を経て現職。350以上の企業・自治体・官公庁で、働き方改革、組織変革、マネジメント変革の支援・講演および執筆・メディア出演をおこなう。著書は『バリューサイクル・マネジメント』『職場の問題地図』『仕事の問題地図』『働き方の問題地図』『システムの問題地図』『マネージャーの問題地図』『業務改善の問題地図』『職場の問題かるた』『仕事ごっこ』『業務デザインの発想法』『仕事は「徒然草」でうまくいく』(技術評論社)、『ここはウォーターフォール市、アジャイル町』(翔泳社)、『はじめてのkintone』『新人ガールITIL使って業務プロセス改善します!』(C&R研究所)ほか多数。趣味はダムめぐり。#ダム際ワーキング

本書の要点

  • 要点
    1
    現代は組織の中に答えを求めにくく、組織単独では勝てない時代だ。個人も組織も越境によって答えを導き出す必要がある。
  • 要点
    2
    複業は、それを行う個人のみならず、複業を受け入れる組織側にも多くのメリットをもたらす。
  • 要点
    3
    越境学習は価値観の揺らぎによって促進される。ワーケーションは景色の変化による価値観の揺らぎを促すものであり、越境学習の選択肢として有効だ。
  • 要点
    4
    DXの本質はXだ。他部門とのコラボレーション、つまり組織横断による越境が必要となる。

要約

なぜいま越境なのか?

スタンドアローンからクロスファンクション/クロスボーダーへ

著者はかつて、クロスファンクションの組織改革とマインド&スキルシフトによりV字回復を遂げた日産自動車に勤務していた。その経験から、日本の組織の停滞感や危機感を解消するための1つの解として、「越境」を提唱している。

越境はこれからの組織とそこで働く個人にとっての必須スキルといってもよい。越境は、組織や立場を越えてつながり、課題を解決する、あるいは新たな価値を創造することに役立つためだ。

ではなぜ、いまの時代に越境が必要なのか。それは現在が「過去に答えがない時代」であり、「組織の中に答えを求めにくい時代」「その組織単独で勝てない時代」であるためだ。労働人口の減少が加速する中、社内に答えや解決能力を持つ人がいるとは限らない。そんな時代においては、アイデアを持つ外の人とつながって解決できる能力、越境スキルが求められる。組織単独のスタンドアローンではもはや勝つことが難しい。組織も個人もクロスファンクション(組織横断)/クロスボーダー(越境)で答えを導き出すスタイルへと変容していく必要がある。

越境のきっかけとバリエーション
Deagreez/gettyimages

本書では越境のきっかけを3つの観点で整理している。

1つ目は「テーマでつながる」。組織風土を変えたい、ツーリングが趣味など、課題や関心事を通じて共感者とつながるアプローチだ。

2つ目は「立場でつながる」。課長同士や人事担当者同士など、近しい職位や職責を担う立場の人を見つけるアプローチだ。

3つ目は「ライフステージ/ライフスタイルでつながる」。育休者同士、パラレルワーカー同士など、同じ境遇やライフステージにある人とつながるアプローチだ。

越境の形態はさまざまであり、本書では12のバリエーションが紹介されている。異動、中途採用、複業人材・フリーランス登用、複業解禁、社内複業、クロスファンクションプロジェクト、プロジェクト型組織、「出島」、企業間留学・出向の「逆参勤交代」、海外研修、外部講座受講、社外プロジェクト・コミュニティ参画、ワーケーションの12種類である。それぞれの形態の特徴を理解し、組織の目標に応じた越境施策を選択するようにしたい。「複業」と「ワーケーション」については後ほど取り上げる。

複業・パラレルキャリアで組織の壁を越える

複業・パラレルキャリアのメリット

複業・パラレルキャリアは、個人が組織の壁を越えてアウェイな環境で活躍する越境スタイルだ。複業はそれを行う個人のみならず、複業を受け入れる組織にも多くのメリットをもたらす。

まず、個人が得られるメリットの一例は「下請けマインドからの脱却+エンプロイアビリティの向上」だ。他者とのコラボレーションが求められるいま、下請けマインドでいては致命的である。複業をすれば主体的に働く経験を得られる。そして、自ら働きかけ、解決に向けた行動ができる人は、エンプロイアビリティ(雇われうる力)が高まり、市場価値の高い人材になれるだろう。

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要約公開日 2022.04.15
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