テクノロジーが予測する未来

web 3、メタバース、NFTで世界はこうなる
未読
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web 3、メタバース、NFTで世界はこうなる
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テクノロジーが予測する未来
出版社
SBクリエイティブ

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出版日
2022年06月07日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

革新的なテクノロジーが次々と生まれる現代、人類は果たしてどこへ向かうのか――。本書は、不確定な時代を生きている私たちの現在地と、未来の社会へと続く旅の地図を手にした気分にさせてくれた。

著者であるMITメディアラボの元所長、伊藤穰一氏はITデジタル分野きっての碩学の人物として知られる。

本書は世界中でブームが巻き起こっているweb3、NFT、メタバースの現状を、決して一過性ではなく、長期的な変化の潮流における一事象として捉えている。200ページ余りの新書でありながら、読み応え十分だ。

抽象的で難解な用語、略語が飛び交うテック業界の今を、豊富な具体例とともに紹介しつつ、未来に起こりそうなことを地に足のついた説明で示してくれている。

「web3は馴染みの薄い用語などがたくさん登場する」と前置きしたうえで「入門的」として綴った序章は、50ページほどある。「すでに知っている人は読み飛ばしていい」と記されているが、本書のキーワードである「web3」、「メタバース」、「NFT」が端的にまとまっており、理解を助けてくれる。要約では冒頭、その序章のエッセンスに触れたうえで、本書の各章「働き方」「文化」「アイデンティティ」「教育」を紹介した。

伊藤氏は、インターネットブームが到来する前の1980年代から、デジタル分野に親しんできた。そんな著者だからこそわかる、過去からのトレンドの延長線上にある現在、そして未来への展望は、的確かつ示唆に富む。

「大変化の波は、あらゆる領域に及びます。誰も、逃れることはできません」――。本書はそう危機感を煽りつつも、その大変化の波を乗り切っていく羅針盤として、最適な一冊となるだろう。

著者

伊藤穰一(いとう じょういち)
デジタルガレージ取締役
共同創業者 チーフアーキテクト
千葉工業大学変革センター長
デジタルアーキテクト、ベンチャーキャピタリスト、起業家、作家、学者として主に社会とテクノロジーの変革に取り組む。民主主義とガバナンス、気候変動、学問と科学のシステムの再設計など様々な課題解決に向けて活動中。2011年から2019年までは、米マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボの所長を務め、2015年のデジタル通貨イニシアチブ(DCI)の設立を主導。また、非営利団体クリエイティブ・コモンズの取締役会長兼最高経営責任者も務めた。ニューヨーク・タイムズ社、ソニー株式会社、Mozilla財団、OSI(The Open Source Initiative)、ICANN(The Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)、電子プライバシー情報センター(EPIC)などの取締役を歴任。2016年から2019年までは、金融庁参与を務める。これまでの活動が評価され、オックスフォード・インターネット・インスティテュートより生涯業績賞、EPICから生涯業績賞をはじめとする、様々な賞を受賞。「Earth shot世界を変えるテクノロジー」の番組共同MCを務め、ポッドキャスト「JOI ITO変革への道」では定期的にNFTに関する話題を取り上げている他、web3コミュニティの試験的な開発に取り組んでいる。主な著書に、『デジタル・キャッシュ』(中村隆夫氏との共著、ダイヤモンド社)、『9プリンシプルズ』(ジェフ・ハウ氏との共著、早川書房)、『教養としてのテクノロジー』(アンドレー・ウール氏との共著、NHK出版)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    web3が持つ、Web1.0、2.0との決定的な違いは「分散的=非中央集権的」という点だ。それを象徴するのが「DAO」(分散型自律組織)である。
  • 要点
    2
    web3では、個人の働き方は「組織ベース」ではなく「プロジェクトベース」になっていく。

要約

web3・メタバース・NFT

web3

web3にある多くの要素のうち、特筆すべきはブロックチェーンの新技術により、「非中央集権的」という方向性をふたたび目指すことになった点だ。

ウェブ黎明期には、Yahoo!などみずから情報を発信しようとした人々は、自分の手でWWWサーバーを立ち上げた。中心はなく、分散的なサーバーが世界中に点在する世界だ。次第に大企業や大組織、各国政府も参入し、すでにある情報の閲覧が主目的になっていった。これがWeb1.0である。

Web2.0は、ブログなどを通じ、ふたたび個人による情報発信が試みられた。やがてSNSも流行りだし、参加人数の増加に伴い、これらの場を提供する企業、プラットフォーマーが強大化した。

気付けば、黎明期にネットの美点だった非中央集権的な構造が、数少ないプラットフォーム企業を中心に展開する中央集権的な構造になっていた。

そこでweb3が胎動した。

web3と、Web1.0、2.0との決定的な違いは、「分散的=非中央集権的」という点だ。ブロックチェーンなどの仕組みにより、金融システムや組織ガバナンスなど、あらゆる層で分散化(非中央集権化)が起こっている。

それを象徴するのが「DAO」(Decentralized Autonomous Organization=分散型自律組織)だ。特に影響度が大きく、新たな組織形態によってガバナンス、仕事、働き方を根底から変える可能性を秘める。

メタバース
photoman/gettyimages

メタバースのメガトレンドは、やはりバーチャルリアリティ(VR)だ。VRの世界で人と交流したり、アクションを起こしたりするアイデア自体は古くからある。しかし、ここへきてメタバースという言葉に置き換わって急激な盛り上がりを見せている。

背景にはコロナ禍がある。リモートワークが推奨される中、Zoomなどを使ったオンラインミーティングが普及し、人々が対面ではなく、オンラインで「会う」のが当たり前になった。バーチャル世界で「会う」ことへの身体的・心理的障壁が低くなったのだ。

VRを含むメタバースは、人間が己の身体性や属性から解放され、時空を超えて意思疎通できる場であり、自分たちのアイデンティティやコミュニケーションに大きな変化が起こることは確実だ。

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要約公開日 2022.06.23
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