LIFE SHIFT(ライフ・シフト)2

100年時代の行動戦略
未読
LIFE SHIFT(ライフ・シフト)2
LIFE SHIFT(ライフ・シフト)2
100年時代の行動戦略
未読
LIFE SHIFT(ライフ・シフト)2
出版社
東洋経済新報社

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出版日
2021年11月11日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

人生100年時代のバイブル『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』の続編が登場した。長寿時代の生き方に不安を抱く方やより良い生き方を模索している方にとって有用な実践書である。

本書では、「技術的発明」と「社会的発明」が2大キーワードとなっている。人類が技術的発明の才能を遺憾なく発揮した結果、生活の質の向上や医療の進歩の帰結として長寿という恩恵がもたらされたわけだが、そうした変化に社会がまだ追いついていないという。そこで社会的発明が必要となる。著者らは、個人や企業、教育機関、政府がそれぞれどのように行動すべきなのかを鮮やかに提示してくれる。

「教育→仕事→引退」という生き方はレガシーと化し、「マルチステージ」の人生へ移行していった。ひと昔前とは比べものにならないくらい柔軟かつ多様な生き方が許されるようになったのに、なぜ不安や心配がつきまとうのか。それは、親世代の生き方が参考にならなくなり、誰も経験したことのない時代を歩きはじめたからにほかならない。

本書は、AIに仕事を奪われず、テクノロジーの進化と長寿化の恩恵を受けて生きていくための行動戦略をも提示してくれる。まずは未来に対する心理的不安を解消しよう。読後には、この先取るべき自分の行動を建設的に考えられ、前向きな気持ちになるにちがいない。

ライター画像
金井美穂

著者

アンドリュー・スコット(Andrew J. Scott)
ロンドン・ビジネス・スクール経済学教授、スタンフォード大学ロンジェビティ(長寿)センター・コンサルティング・スカラー。ハーバード大学とオックスフォード大学にも籍を置いていた。彼の研究や著作、教育は複数の賞を受賞しており、私たちの世界を再構築するような深層変化と、個人や社会のさらなる繁栄にとって必要な行動について、世界に向けて情報を発信している。さまざまな企業や政府機関の役員、顧問も務める。ロンジェビティ・フォーラム共同設立者であり、英国予算責任局のアドバイザリーボードと英国内閣府の栄誉委員会のメンバーも務める。邦訳された著書に『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』(リンダ・グラットンとノ共著)がある。

リンダ・グラットン(Lynda Gratton)
ロンドン・ビジネス・スクール経営学教授。2015年に同校の卓越教育賞(Excellence in Teaching Award)を受賞。彼女の担当する講座「フューチャー・オブ・ワーク」は高い評価を得ている。世界経済フォーラムの「新しい教育と仕事のアジェンダに関する評議会」の責任者を務めており、同フォーラムのダボス会議にも2013年から参加している。世界で最も権威ある経営思想家ランキングであるThinkers50では、世界のビジネス思想家トップ15にランクインしており、2018年には安倍晋三元首相から「人生100年時代構想会議」のメンバーに任命された。彼女の著作は20を超える言語に翻訳されており、『ワーク・シフト』や、アンドリュー・スコットとの共著『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』は日本でベストセラーとなった。

本書の要点

  • 要点
    1
    技術的発明により長寿化の時代を迎えたいま、老後資金の確保や医療システム、世代間の公平の問題解決において「社会的発明」が不可欠だ。
  • 要点
    2
    教育→仕事→引退という3ステージの生き方は過去のものとなった。これからはマルチステージの人生が当たり前となる。
  • 要点
    3
    探索と学習により移行を成功させるスキルの習得が欠かせない。テクノロジーに代替されにくい領域の能力獲得が重要となる。
  • 要点
    4
    企業や教育機関、政府には、柔軟なキャリアへの道筋や来るべき未来に備えるための支援の提供が求められている。

要約

技術的発明と社会的発明のギャップ

テクノロジーと人間の労働の代替

人類はこれまで技術的発明の才を存分に発揮し、驚異的な進化の歴史をたどってきた。さまざまなイノベーションにより生活水準は向上し、平均寿命が大きく伸びた。その恩恵は同時に経済と社会のあり方を様変わりさせ、私たちはいま、まったく新しいタイプの創意工夫、つまり「社会的発明」の必要性に迫られている。

AIとロボット工学の分野では、コンピュータの4つの法則(ムーアの法則、ギルダーの法則、メトカーフの法則、ヴァリアンの法則)が相互に影響し合い、指数関数的な技術的進歩を遂げてきた。自動運転車は普及するときが近づきつつある。また、製造現場のロボット導入はいっそう進むだろう。人間が生産ラインに立つと人間のスピードがボトルネックになるからだ。

人間が機械に勝てる領域を目指す
m-imagephotography/gettyimages

近年、機械学習(ML)により飛躍的進歩を遂げたAIは、その触手を人間の守備範囲ともいえる認知プロセスの領域にまで伸ばしはじめた。グーグル傘下のAI企業ディープマインドは、「アルファ・ゴ(Alpha Go)」を開発した。そしてこのプログラムに、囲碁の対局に勝つことを追求するよう指示した。すると、プログラムみずから目標に向かって判断して動き、囲碁の世界タイトル保持者に勝利を収めたのだ。

テクノロジーの進化はそれを活用する人々の仕事のあり方を変質させる。人間の労働との代替リスクはレジ係やトラック運転手のほか、弁護士や会計士などの専門職にも及ぶ。私たち人間が機械に勝てる分野はあるのだろうか。

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要約公開日 2022.07.17
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