リーダーシップの旅
見えないものを見る

未 読
リーダーシップの旅
ジャンル
著者
野田智義 金井壽宏
出版社
光文社
定価
858円(税込)
出版日
2007年02月20日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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見えないものを見る
著者
野田智義 金井壽宏
未 読
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ジャンル
出版社
光文社
定価
858円(税込)
出版日
2007年02月20日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
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レビュー

リーダーシップとはどのようなものだろうか。多くの人は、リーダーシップは偉人たる人が発揮する力であり自分とは縁遠いものと考えがちだろう。しかし、それはあくまで「リーダー幻想」であり、実はどんな人にでもリーダーとなり得る資質はあるのだ。リーダーシップとは「見えないもの」を見る旅である。「見えないもの」とは、現実にはないビジョンや理想の実現に向けて行動を起こすことであり、旅の途中で賛同者が現れ目標に向かって共に歩む結果、当初行動を起こした人はリーダーと呼ばれるようになり、リーダーシップという現象が生じるのだ。

本書は、リーダーシップ塾を主宰するNPO法人理事長の野田氏と組織行動論の研究者である金井氏が、「リーダーシップとは」というテーマに沿ってそれぞれ意見を交わしていく体裁になっている。また、本書は単なるノウハウ本ではなく哲学的にリーダーシップの在り方を問う内容となっており、リーダーシップに関する他の書籍とは一線を画す書である。

野田氏はリーダーシップ塾を主宰している立場からリーダーシップの実情や現場を把握した上での理論展開となっており、金井氏は研究者という立場から様々な専門家の理論を引用しつつ論理的に話を展開している。リーダーシップという一つのテーマに関し、リーダーシップ論を取り扱う立場の違う二人が行う議論展開が興味深く、バランスの取れた内容の一冊だ。

著者

野田智義(のだともよし)
1959年京都生まれ。NPO法人アイ・エス・エル(ISL)理事長。東京大学法学部卒業後、日本興業銀行勤務、ロンドン大学・INSEAD経営大学院(フランス)助教授を経て、ISL(http://www.isl.gr.jp)を創設。数百人の支援者とともに、次世代リーダー輩出に取り組んでいる。MIT経営学修士、ハーバード大学経営学博士。INSEADでは、最優秀教授賞を3年連続受賞。

金井壽宏(かないとしひろ)
1954年神戸生まれ。京都大学教育学部卒業、神戸大学博士課程前期課程修了後、MIT経営大学院博士課程修了。現在、神戸大学大学院経営学研究科教授として、経営管理と組織行動の科目を担当。

本書の要点

  • 要点
    1
    「リーダーは偉大だ」と思うのは幻想に過ぎない。リーダーやリーダーシップはあらかじめ準備されたものでなく、ある一人の人間が新たな境地を目指して冒険を始めるものだ。そして、目標や考え方に共感した賛同者が現れた時に、最初に行動を起こした人はリーダーとなる。
  • 要点
    2
    リーダーシップ論を企業に当てはめるのは難しい。何故なら、企業内には既にヒエラルキーが存在し、リーダーは地位や権威を用いたマネジメント要素を多分に求められるからである。
  • 要点
    3
    リーダーシップの旅を続ける途中で困難に直面した場合それをどう乗り切るか。成功の鍵を握るのは、「夢と志」があるかどうかだ。また、リーダーの資質として必要な「構想力」、「実現力」、「意志力」、「基軸力」、そして「人間力」を磨き成長を続けることが重要だ。

要約

【必読ポイント!】リーダーシップの旅

Huntstock/Thinkstock
旅から帰還し、結果としてリーダーになる

なぜ人々は「リーダーは偉大だ」と感じてしまうのか。それは成功後に後付けされた偉人としてのイメージ像に理由があり、自分とはかけ離れた存在だと錯覚してしまう。コア・コンピタンスという概念は、どのように企業が成功するかを確認するには有効だが、どのような組織能力を持っていれば成功するかといった過程の分析には無力である。

これと同様に、リーダーになる過程を重要視せず後付けの分析や議論に頼るがために、リーダーに対する誤った認識を持ってしまっているのだ。この傾向を払拭するため、本書ではリーダーとなるプロセスに注目すべく「旅」になぞらえて考察していく。

一方、成功を踏まえて業績を讃える後付けの評価は事実に基づく評価であり、まやかしでないのも事実だ。リーダーの考え方に賛同したフォロワー達がリーダーシップによる成果だと評価した時、リーダーに対しリーダーシップが帰属されるという考え方は、ワシントン大学のT・R・ミッチェル氏などにより「リーダーシップの帰属理論」として構築されている。リーダーシップとはリーダーの中に存在する概念ではなく、リーダーとフォロワーの間に構築される社会的現象、共振現象でありダイナミックなプロセスなのだ。

「見えないもの」を見ようとする意思

昔話「桃太郎」にも見られるように、初めからリーダーたる自覚でリーダーシップが生まれてくるものではない。英雄が旅に出るのではなく、旅に出てから英雄になるのだ。リーダーシップの旅は、「リード・ザ・セルフ」、「リード・ザ・ピープル」、「リード・ザ・ソサエティ」と段階を踏み変化していく。

リード・ザ・セルフ、つまり、夢や希望など人を駆り立てる要素は様々だが、前人未到の地を進むことは大きなリスクを伴う。それでも前に進むには、「内なる声」を聴き、自分自身を突き動かす原動力として本当に旅に出たいと思う気持ちがあるかどうかだ。一人称で見えないものを見たいと思う強い気持ち、これがリーダーシップを発揮するプロセスを理解する上で最も重要である。

一方、組織におけるリーダーに上記の定義を当てはめるのはやや困難だ。組織は管理系統があり肩書やポジションが伴うからだ。ペンシルバニア大学のR・J・ハウスはリーダーを①自然発生的なリーダー、②選挙でえらばれたリーダー、③任命されたリーダーの3タイプに分類し、これらが峻別されてこなかったためにリーダーシップ論が紛糾してしまうと指摘している。本書では、リーダーシップの本質を捉えているという点で①自然発生的なリーダーを基本に発想していく。

なぜリーダーシップが必要なのか

Fuse/Thinkstock
フォロワーの視点でリーダーシップを見る

組織内のリーダーシップとマネジメントを混同しがちな人は多い。リーダーとは部下を従え同じ信念の下求められる方向に導くものと考えがちだが、組織というヒエラルキーの下では部下は上司に従うのが前提にあるため、部下が上司の信念に賛同しているかどうかは疑問だ。組織においてはマネジメントが日常的に機能する。その点だけに注視した場合、リーダーシップとしての本質、つまり、「見えないもの」を見て人を巻き込み各自が自発的に動く、という旅の前半のプロセスを見落とす恐れがある。

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