マネジメントの基本

この1冊ですべてわかる
未読
マネジメントの基本
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マネジメントの基本
出版社
日本実業出版社
出版日
2012年02月28日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

ビジネスパーソンとして働いていく中で、「マネジメント」という言葉は至るところで耳に入ることだろう。具体的には以下のような会話が繰り広げられる。「メンバーをちゃんとマネジメントしておけよ!」、「競合他社のA社は、技術力は高いものの、マネジメントに弱みがある」、「現場の問題ではなくて、マネジメントの問題だ」、などがその会話の具体例となるのではないだろうか。

マネジメントと言えば、その本家ピーター・ドラッカーはマネジメントをどう定義しているか。その答えは、ドラッカー自身「マネジメントという言葉は奇妙なほど難しい言葉である(マネジメント上 ダイヤモンド社)」と語っており、実は簡潔明瞭な定義はなされていないのが実情であるが、ひとつあげるとすると、「組織に成果をあげさせるもの(マネジメント【エッセンシャル版】 ダイヤモンド社)」という言葉に収斂する。

本書においてもマネジメントの定義は上記を踏襲しているが、その説明の仕方がユニークなものである。本書は役職・階層別にどのようなマネジメントが求められるかを解説しており、その中身も物語を中心に据え、その物語の事例を包み込むようにマネジメントの概念が解説されている。具体的には、①チームリーダー、②ミドルマネージャー(部署)、③クロスファンクショナルリーダー(部署間)、④経営スタッフ、⑤経営者、という5段階に階層を分けている。ハイライトでは特にボリュームゾーンとなる①、②のマネジメントについて紹介させていただいた。

著者

手塚貞治
株)日本総合研究所 経営コンサルティング部(東京)部長/主席研究員。東京大学文学部社会学科卒業、東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(学術博士)、中小企業診断士。
NTTを経て日本総合研究所に入社。経営戦略策定、事業計画策定、IPO支援、IR支援、社員検討会プログラム支援などのコンサルティング業務に従事。
著書は『経営戦略パーフェクトセオリー』『戦略フレームワークの思考法』(日本実業出版社)、『ジュニアボード・マネジメント』『必ず結果を出す!フレームワーク仕事術』(ともにPHP研究所)、『経営戦略の基本がイチから身につく本』『株式公開を目指す企業のためのビジネスプラン策定マニュアル』(ともにすばる舎)、『「株式上場」を考えた時に読む本』(すばる舎リンケージ)ほか。『この1冊ですべてわかる 経営戦略の基本(日本実業出版社)』の監修も行っている。

本書の要点

  • 要点
    1
    チームリーダーはメンバーをコーチングする役割を担っている。コーチングの手法はメンバーの置かれている状況に合わせて柔軟にやり方を変えることが望ましい。特にやみくもに恫喝することはコーチングの観点からは望ましくない。
  • 要点
    2
    ミドルマネージャーは、①部署に向けられた期待を理解し、期待達成に必要な活動を考える、②部署のメンバーの活動を活性化する、③経営層と業務の最前線で働く部署のメンバーとをつなぐ、という3つがあるべき姿であり、それを達成するための9つの役割を担う。

要約

1章 メンバーを動かすチームリーダーのマネジメント

本章の位置付け

冒頭記した通り、本書は物語(ケース)を主軸に置きながらマネジメントのエッセンスが紹介される形式となっているが、ハイライトではそのエッセンスを一部抽出してご紹介する形式をとりたい。

本章では最少単位であるチームのマネジメント手法が解説されている。入社以来、初めてチームリーダーを任される深川さんが、性格の異なる3人の部下を持ち、そのチームマネジメントに思い悩むストーリーが主軸だ。

ここでは大きく8つのエッセンスが解説されているが、ここでは、そのひとつ「コーチングスキル」を紹介しよう。

メンバーのあらゆる状況に対応するコーチングスキル
iStock/Thinkstock

ここでは4つのタイプのメンバーに対して、チームリーダーがどのように接するべきかが解説されている。順を追って見てみよう。

1.なかなか自信がもてないメンバーへのコーチングスキル

リーダーは自信を失ったメンバーに対し、どのように接するべきか。いきなり叱責から入るのはコーチングの観点からはあまり望ましくない。この場合リーダーは、なぜメンバーが自信を失ってしまったのかの根本原因を探り、その克服方法を本人に気付いて実践してもらうことが肝要である。リーダーは具体的な方法論を示すのではなく、あくまでもメンバーが自力で解決可能な方法を示すことが役割だ。

2.ミスを繰り返してしまうメンバーへのコーチングスキル

ここでも単純に叱責するのではなく、リーダーはそのミスの根本原因を見極める必要がある。「このように考えれば答えが出るのではないか」というメンバー自身が成功する感覚を持たせながらも、自力で解決させるコーチング方法が望ましい。

3.積極性がないメンバーへのコーチングスキル

積極性がないこと自体を責めるのではなく、リーダーはメンバーに対して、必要な人材であることをしっかりと伝え、ちゃんとできている部分があることを認識してもらうのが第一歩である。メンバーの自己肯定感を醸成するのがリーダーの役割だ。

4.反抗的なメンバーへのコーチングスキル

このような場合、リーダーがメンバーに普段通り接していても、メンバーはその言葉をネガティブに捉えがちとなっているケースが多い。そんなときは、メンバーが明らかに忙しそうなときや不機嫌そうなときを外し、リーダーはできるだけにこやかに落ち着いて接する、ねぎらいの言葉や感謝の言葉をかけるなど、きめ細やかな対応をすることが望ましい。

以上が、本書で解説されているコーチングの基本だ。

【必読ポイント!】2章 部署の成果を上げるミドルマネージャーのマネジメント

本章の位置付け

マネジメントといえば、中間管理職のイメージを持つ人が多いと思うが、本章はそのミドルマネージャー(部や課の長)の役割が対象だ。ここでは、新しく10名の部署のマネージャーを任された山下さんが主役だ。山下さん以外の部署メンバーは、みな1年以上その部署で働いているため、経験も豊富で山下さんからの細かな指示は必要なさそうだ。山下さんは経営層から部署の売上前年比15%増のミッションを与えられている。早速、山下さんは売上15%増を達成する自分のアイデアを部署メンバーに共有するのだが、部署メンバーから早々に難色を示される、というよくある光景から物語はスタートする。

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要約公開日 2013.12.02
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