GIVE&TAKE 「与える人」こそ成功する時代

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GIVE&TAKE 「与える人」こそ成功する時代
出版社
三笠書房
定価
1,980円(税込)
出版日
2014年01月08日
評点
総合
4.5
明瞭性
5.0
革新性
4.0
応用性
4.5
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おすすめポイント

成功をおさめる人々には「やる気」「能力」「チャンス」という3点に加えて、「ギバーである」という共通点が挙げられるようだ。

「ギバー」は自分が受け取る以上に他人に与える人のことを指す。一方、「テイカー」は常に自分の利益を優先する。また、多くの人はギバーでもテイカーでもなく、与えることと受け取ることのバランスを取る「マッチャー」である。一見すると、自分よりも他人を優先するギバーは成功を掴み取れそうにない。しかし本書によれば、最も成功しているのも、また失敗しているのもギバーなのだそうだ。

本書は、成功をおさめることができるギバーはどのような性質を持っているのか、という疑問を事例とデータを用いて解き明かしている。例えば、売上トップの営業マンの条件は、ギバーであることだった。その秘訣はギバー特有の、質問を介して相手を知る「ゆるいコミュニケーション」にあるのだが、なぜそうしたコミュニケーションが顧客との信頼関係を築くことができるのか、という点に著者は深く切り込んでいる。

さらに、ギバーは失敗も犯しやすいという点にも着目し、失敗するギバーがどんな罠に陥りがちなのかを明らかにしている。単なるお人好しに終わってしまわないようにするにはどうしたら良いかは、しっかりと理解しておいた方が良いだろう。

ギバーやテイカーというのは生まれ持った性質ではなく、人としての在り方を指す。本書を読めば、テイカーやマッチャーの方はギバーに、ギバーの人はよりギバーであろうとするに違いない。

著者

アダム・グラント
ペンシルベニア大学ウォートン校教授。組織心理学者。1981年生まれ。同大学史上最年少の終身教授。『フォーチュン』誌の「世界でもっとも優秀な40歳以下の教授40人」、『ビジネスウィーク』誌の「Favorite Professors」に選ばれるなど、受賞歴多数。「グーグル」「IBM」「ゴールドマンサックス」などの一流企業や組織で、コンサルティングおよび講演活動も精力的に行なう

楠木 建
一橋大学大学院国際企業戦略研究科(ICS)教授。経営学者。1964年東京生まれ。専門は競争とイノベーション。

本書の要点

  • 要点
    1
    ギブ・アンド・テイクの関係には、「ギバー」「テイカー」「マッチャー」という3種類が存在する。調査によれば、成功から最も遠いのがギバーであるが、同時に最も成功しているのもギバーである。
  • 要点
    2
    ギバーが成功しやすいのは、独自のコミュニケーション法を用いることで、長期的な人脈を築き、利益のパイを増やす働き方をし、他者の才能を信じ育て、信望を元にした影響力を発揮することができるからだ。
  • 要点
    3
    ギバーが成功するためには、他者につくすだけでなく自分の利益にも関心を持つこと。また、人によってギブ・アンド・テイクのやり方を使い分けることが重要である。

要約

あなたは、まだ「ギブ&テイク」で人生を決めているのか

「ギブ・アンド・テイク」のバランスが人生を決める

大きな成功を収める人々には3つの共通点がある。それは「やる気」「能力」「チャンス」だ。これに加えて、どのように「ギブ・アンド・テイク」するかに成功は大きく左右される。

ギブ・アンド・テイクの関係には、3つの種類が存在する。「テイカー」は常に、与えるより多くを受け取ろうとし、自分の利益を優先する人のことを指す。「ギバー」はギブ・アンド・テイクの関係を相手の利益になるようにもっていき、受け取る以上に与えようとする人のことだ。ほとんどの人が、家族や友人に対しては打算なしで相手の役に立とうとする「ギバー」になるが、仕事においては、与えることと受け取ることのバランスを取ろうとする「マッチャー」になる。

最も成功するのも、最も失敗するのも「ギバー」
Robert Churchill/iStock/Thinkstock

与えることにはいつの時代も変わることのない特徴がある。それは、生きるうえでの基本方針を考えてみれば、人はたいてい「与えたい」と思うものであるということだ。世界70カ国以上で「富・権力・快楽・勝利」と「援助・責任・社会主義・同情」のどちらの価値を評価するかという質問に対し、全ての国で「与えること」こそもっと大切な価値だと認められていることが分かった。

調査によれば成功から最も遠いのはギバーであるが、それと同時に、最も成功しているのもギバーである。なぜ、ギバーが最も成功するのだろうか。それを理解するには、ギブ・アンド・テイクの関係に目を向けてみることだ。成功しているギバーは「人脈づくり」「協力」「人に対する評価」「影響力」で独自のコミュニケーション法を用いているのである。

「名刺ファイル」と「フェイスブック」を見直せ

ギバーは長続きする人脈を築くことができる

エンロンのCEO、ケネス・レイは、慈善活動を目的とする財団を設立し、25億円以上を寄付していた。しかし、彼はギバーを装ったテイカーだった。ご存知のとおり、エンロンは2001年に経営破綻し、捜査によってエンロンは収益を水増しして損失を隠していたことや、エネルギー・電力市場を操作し、違法な賄賂を贈っていたことが判明する。

レイのように、ギバーではなくテイカーが成功できたのは、彼が非常に幅広い人脈を作り、それを自分の利益のために利用したからだった。

ギバーもテイカーも幅広い人脈をつくれるという点では同じであるが、テイカーは上司や利益のある人にだけギバーを装う。一方、本当のギバーは相手のことを考えて行動するため、そのネットワークを通じてはるかに長続きする価値をつくることができる。実際、レイの逮捕が明らかになると、かつての支持者はいっせいに彼から距離を置こうとした。

テイカーを見破る方法とは?

テイカーはギバーやマッチャーを装い、相手のネットワークの中に入り込もうとする。レイは親切にしたり寄付をしたりして人の心証を良くし、新たな人脈を築いてきた。だが、テイカーを見破るのはそんなに難しいことではない。

テイカーは自分のことで頭がいっぱいなので、

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要約公開日 2014.10.28
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