道は開ける

あらゆる悩みから自由になる方法
未読
道は開ける
道は開ける
あらゆる悩みから自由になる方法
未読
道は開ける
出版社
新潮社
出版日
1999年10月01日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
5.0
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おすすめポイント

カーネギーの著書のなかでも双璧をなす『人を動かす』と『道は開ける』。『人を動かす』は、人から好かれたり、人を変えるためには、まず己の言動や考え方を改めることが出発点となることを述べた一冊であった。すなわち、自分が変わることで、他人の行動を変えることができるということだ。

本書『道は開ける』も同様に、自分が変わることを出発点とした問題解決を目指している。但し、本書で取扱うのは周囲の人間ではなく、不安や悩みという自身の感情だ。自分の行動を変えることで、不安や悩みを軽減させたり、なくしてしまおうというのである。

このように書くと、そもそも自分を変えることができないから悩んでいるのだ、と思う方もいらっしゃるかもしれない。確かに、悩みに真摯に向き合うこと、そして悩みをなくすために行動することなく、「道を開く」ことはできない。

だが、原著が刊行されてから70年近くもベストセラーになっている理由を考えてみていただきたい。それは、本書が本当の意味で不安解消のツールとして有効だからではないか。本書で紹介されているのは、実際に心の問題の克服に成功した処方箋ばかりなのだ。その効力たるや、インターネット上に溢れる体験談を読んでいただければ十二分に実感できるはずだ。

また、本書は『道は開ける』の原著のなかから重要な部分を選んで見やすいレイアウトに再編集されている新訳版であり、一度カーネギーの著作に挫折した人にもぜひ読んでいただきたい一冊である。

あなたがこの本を読んで不安や悩みを取り去り、幸せな生活を送れたら、これに勝る喜びはない。

ライター画像
苅田明史

著者

D・カーネギー
1888‐1955。アメリカ・ミズーリ州に生れる。セールスマンなどの仕事を経て、YMCAの夜間学校で「話し方」についての講座を持つ。講座用のテキストとして書いた『人を動かす』(1936年)や、『道は開ける』(1948年)が世界的ベストセラーになり、今も売れ続けている。

本書の要点

  • 要点
    1
    不安を取り除くためには、明日のことを思いわずらうことなく、今日だけを見て生きるべきだ。
  • 要点
    2
    困難な状況を脱するには、起こりうる最悪のことを受け入れるべきだ。そうすれば失うものは何もなく、問題に集中できる状態になる。
  • 要点
    3
    不安を克服するには、何か前向きなことに集中することだ。どんな人間でも一度に一つのことしか思考できないからである。
  • 要点
    4
    私たちは持っているもののことは滅多に考えず、持っていないもののことを考えてしまう。体の一部や家族に値段をつけられないことを考えると、自分には計り知れない価値があることが分かる。

要約

この本を読む前に

9つの約束

デール・カーネギーの歴史的名作である『道は開ける』。本書はアメリカで見つかった初版本から、重要な部分をセレクトして再編集した新訳版である。7章構成になっていて、不安や悩みを消すための24個のMaxims(格言)が紹介されている。ハイライトでは、その格言のなかからいくつかを選び紹介していきたい。

また、本書にはこの7章に入る前に、「この本を最大限に活用するために不可欠なこと」として「9つの約束」が記載されている。不安や悩みを克服するという強い決意を持つこと、何度も読み返すこと、読むだけでなく「行動」すること、などがそれに当たる。

ハイライトを読んだことをきっかけに本書を手に取る方は特に、この決意と実践を忘れずに本書とともに悩みと向き合っていただきたい。

【必読ポイント!】 不安と悩みが消えない人へ

昨日のことは忘れよう。明日のことに思い悩むな。
IvelinRadkov/iStock/Thinkstock

本書で最初に紹介されている言葉がこの言葉だ。

1871年の春、ウィリアム・オスラーという医学生が試験に悩み、将来に悩み、進路に悩み、開業手段を心配し、この先食べていけるのか不安になっていた。

だが彼は、後にジョンズ・ホプキンス医科大学を設立し、大英帝国での医師の最高名誉オックスフォード大学欽定医学教授にして、ナイト叙勲者となった。彼はトーマス・カーライルの「遠くのはっきり見えないものを見るな。目の前の明白なことをやれ」という言葉によって、人生から不安を取り除くことができたのだという。

サー・ウィリアムの成功の秘訣は、「今日だけを見て生きる」ことだった。明日の準備をする必要がないというわけではない。今日やるべきことにすべての知性と情熱を注ぐこと、それが明日に備える最高の方法である。

イエス・キリストも「明日のことを思いわずらうな」と説いている。明日のことを周到に考え、計画し、準備することは構わない。だが、思いわずらうことはない。

本書では、「明日のことを思いわずらうな」というイエスの言葉と、「今日だけを見て生きる」というサー・ウィリアムの言葉を心に留めておくだけで、神経や精神疾患の患者の多くは幸せで充実した生活を送れるはずだ、と述べている。

古代ギリシアの哲学者ヘラクレイトスは弟子たちに「すべては変化する。誰も同じ川に、二度と足を踏み入れることはできない」と言った。人が足を踏み入れようとする間に、川の流れは刻々と変化する。人生もまた、絶え間なく変化する。唯一確かなものは今日という日だけだ。今日生きる楽しさを、なぜ未来の問題を解決しようとして台無しにするのだろうか。未来は不確実で絶え間なく変化しており、見ることも予知することもできないというのに。

最悪の状態を受け入れたとき奇跡が始まる。

困った状況を、確実かつ、あっという間に解決するテクニックとして、本書で紹介されているのが、カーネギーがエアコンの発明者ウィルス・キャリア氏から聞いたという「最悪の状態を受け入れる」というものだ。キャリア氏は、若い時に仕事で2万ドルの損失を招いてしまったが、悩まずに問題に対処する方法を考えた。そのときに使ったテクニックは、次の3つのステップで行われた。

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要約公開日 2014.04.04
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