超訳 アンドリュー・カーネギー 大富豪の知恵 エッセンシャル版

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出版社
ディスカヴァー・トゥエンティワン

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出版日
2022年06月25日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

石油王ロックフェラー(1839-1937)、そして本書の著者である鉄鋼王カーネギー(1835-1919)。この2人は、19世紀後半、南北戦争後に急拡大した米国資本主義の黄金期に君臨したオーナー経営者である。20世紀初頭の当時、世界最大の大富豪であり、獲得した資産額は現在にいたるまで米国史上1位と2位をキープし続けている。

カーネギーといえば、いまも音楽の殿堂となっているニューヨークの「カーネギー・ホール」を想起する人も多いだろう。また、その名前は「カーネギー・メロン大学」や、シンクタンク「カーネギー国際平和基金」などにも残されている。本国では、その名は図書館と密接であり、寄贈した公共図書館は2500館を優に超えているという。貧しい家庭に生まれたカーネギーは、図書館のおかげで知識と教養を身につけることができたことから、その感謝の念をこのような形にして表したのだ。

ビジネスでは、当時の成長産業であった鉄鋼業にすべてのリソースを注ぎ、大成功を納めた。その流儀は、「よい卵は全部1つの籠に入れて、割れないように目を離さない」という理念に基づいていた。

自身は、1901年にビジネスからは完全にリタイアし、以降は膨大な資産を活用した慈善事業に専念した。その姿勢は、「金持ちのまま死ぬのは、恥ずべきことだ」という言葉にも表れている。カーネギーのユニークネスは、金の稼ぎ方というよりは、なんといってもその使い方にあった。したがって要約では、その部分を中心に紹介する。

ライター画像
しいたに

著者

アンドリュー・カーネギー(Andrew Carnegie)
カーネギー鉄鋼会社を創業し、成功を収めて「鉄鋼王」と称された。立志伝中の人物であり、ジョン・ロックフェラーに次ぐ史上2番目の富豪とされる。事業で成功を収めた後、教育や文化の分野へ多くの寄付を行ったことから、慈善活動家(フィランスロピー)としてよく知られ、1889年に著した『富の福音』はフィランスロピーを志す人々への啓蒙書となっている。1870年代にピッツバーグでカーネギー鉄鋼会社を創業、1890年代には同社が世界最大で最も高収益な会社となり、事業で得た富でカーネギー・ホールなどを建てている。積極的に慈善活動を行い、図書館建設、世界平和、教育、科学研究などに多額の寄付をした。ニューヨーク・カーネギー財団、カーネギー国際平和基金、カーネギー研究所、カーネギーメロン大学、カーネギー教育振興財団、カーネギー博物館などの創設に資金を提供した。

本書の要点

  • 要点
    1
    人としての最初の義務は、資産を形成して財政的に独立することである。次いで、形成した資産を活用して、すこしでもより良い世の中にすることだ。
  • 要点
    2
    富める者の義務とは、自身と家族が控えめな生活に必要とするもの以外、余剰の富はすべて社会からの預かりものと考えることである。
  • 要点
    3
    少額のバラマキは、食欲をみたすためだけに浪費されるだけだ。慈善(フィランスロピー)精神に富んだ金持ちは、勤勉で野心があり、自助努力で事をなそうとしている人たちに援助することで、かれらのチャンスを拡げられる。

要約

成功と失敗をわけるもの

志を高くもて!

ビジネスの世界で成功したいと願う若者には、志を高くもつこと、そして事業分野を絞り込んで精通すること、この2点をまずは伝えておきたい。

「志を高くもつ」とは次のようなことだ。あなたが、すでに雇われの身としてまずまずのスタートを切ったとしよう。しかし、どのような会社であろうと、与えられた権限がどんなに大きかろうと、目指すべきなのは管理部門や現場の部長、ジェネラル・マネジャーといった肩書ではない。雇われ人としての地位に満足してはならない。「他人の指図にしたがっている限り、狭い世界で生きているに過ぎない」のだ。「自分自身の主人」は自分なのである。

そしてそれだけでは十分ではない。成功要因は、人によっても場所によっても大きな違いがあるはずだ。一方で、失敗要因はほぼ共通している。飲酒・投機・保証人になることの3つだ。これはビジネスにおける「3つの危険」である。

飲酒は最大の危険
Nastco/gettyimages

飲酒は、もっとも誘惑的で、多くの若い人たちを破壊してしまう。ビジネスキャリアも失敗に終わる。

一方で、酒の誘惑から逃れるのはほぼ不可能だろう。だからせめて、飲み過ぎない。できればまったく手に触れない。それが難しいのなら、食事の席以外では酒にまったく手をつけないと決心する。夕食の一杯程度に収め、すすんで酒場に足を運んではいけない。

次の危険は、「投機」である。「投機家と実業家は、まったく異なる存在だ」。投機家は、「運命の急変に翻弄される」。いくら大金持ちでも、明日には破産していることだってある。「信用に値する人生」を送れないだけでなく、コミュニティにとっても役立たない。

一方で実業家は、長年にわたる忍耐のうえで、よく考えられた必然的な手段によって他者に繁栄をもたらし、その結果として自身の報酬を得る。

「だからこそ、絶対に投機家にはならないと、決意しなくてはならない」。

保証人にはなるべきではない

「裏書き保証」は、将来性ある若者のキャリアと友情を破壊してきた。友だちを思うあまり名前を貸しても、その友だちが債務不履行に陥れば、保証人としてその債務を肩代わりしなくてはならない。

すでに事業活動のために誰かからお金を借りていた場合、それに加えて自分の支払能力を超えた金額を裏書き保証してしまうと、あなたを信用してお金を貸してくれた人にまでリスクを負わせることになる。これはまさに、信用を破壊する行為だ。安易に保証人にならず、自分の名前を大事にすべきだ。

もっとも、次の2つの質問の答えがともにYESなら、友人の願いを聞き入れてあげてもよいだろう。まずは、自分が友人に保証した全額を、無理なく支払える資産が自分にあるか? つぎに、保証した全額を、友人のために失ってもかまわないか? どちらか一方でもNOであるならば、保証人はやめるべきだ。名前を貸すくらいなら、いっそ全額あげてしまったほうがよい。

1つの籠に全部の卵を入れる

投資の世界には「卵は全部1つの籠に入れるな」という有名な格言がある。しかし、真に正しい方針は、「よい卵は全部1つの籠に入れて、割れないように籠から目を離さない」ことである。

どんな分野だろうと、成功にいたるにはその分野を完全にマスターすること以外にない。「自分がもっているリソース(=資源)は、バラバラに分散してはいけない」のだ。多くの事業にかかわっていながら成功した人は、とくに製造業では皆無であった。

コーヒーの事業なら、コーヒーに専念する。砂糖を扱うのであれば、コーヒーのことは放っておく。鉄鋼を製造するなら鉄鋼に専念して、その他の鉱物、特に金銀については避ける。

「1つの事業だけに完璧に精通しなくてはならないのであり、有能な人はそれしかしない」。細分化と専門化が求められているのだ。

富をつくる知恵

貧しい家に生まれたことの幸せ
ProNamy/gettyimages

貧乏は悪いことだと思われがちだ。だが、貧しくとも心安らぐ家庭は、大富豪の邸宅よりはるかに満足感が大きく、子どもたちは真っ当な人生を送れるだろう。

貧しい家庭における、模範であり守護者となる両親は、人生において代えがたい貴重な財産となる。それは、召使いに囲まれた富裕層の子どもたちでは決して得られない。

むしろ贅沢こそ、世の中からなくすべきだと真剣に考えなくてはならない。

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要約公開日 2022.09.02
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