終止符のない人生

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出版社
定価
1,760円(税込)
出版日
2022年07月21日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

2021年10月に開催された世界最高峰のピアノコンクールである「ショパン国際ピアノコンクール」で、日本人が2位を獲得した。本書の著者で、今世界が最も注目するピアニストの一人である反田恭平氏だ。日本人としては内田光子氏以来51年ぶりの快挙であった。初の自伝である本書には、彼の生い立ちから現在までの歩み、そして未来の展望まで余すところなく叙述されている。

反田氏が脚光を浴びている理由は、その卓越した才能はもちろんだが、革新的な思考や活動にもある。音楽家であると同時に起業家・経営者の顔をもつ彼は、まさにクラシック音楽界の「二刀流」。オーケストラの株式会社化、自身のレーベルの設立、オンラインサロンの開設、SNSを駆使したマーケティングなど、“業界の常識”を覆す型破りな動きは「革命的」とすら評されている。プレイヤーの枠に留まらず、クラシック音楽界全体を見渡す視座は非常に高い。彼の多角的な思考は、起業を目指す人やビジネスパーソンにも大いに刺激を与えてくれることだろう。

本要約では、反田氏の生い立ちからショパンコンクールとの出会い、ショパンコンクール挑戦の舞台裏、そして現在の活動を中心にピックアップした。コンクールに臨むにあたっての緻密な戦略には、人生をかけた熱意と凄みを感じる。

その他のエピソードについても濃密で読み応えがあり、すべてを紹介できないのが残念だ。ぜひ本書で実際に「音楽界の寵児」の軌跡を堪能していただきたい。その素顔に共感できる人は多いはずだ。

ライター画像
矢羽野晶子

著者

反田恭平(そりた きょうへい)
1994年9月1日、北海道札幌市生まれ。ピアニスト、指揮者。2012年、高校在学中に日本音楽コンクールで第1位に。2014年、チャイコフスキー記念国立モスクワ音楽院に首席で入学。2015年、イタリアの「チッタ・ディ・カントゥ国際ピアノ協奏曲コンクール」古典派部門で優勝を果たす。2016年1月のデビューリサイタルでは、2000席のサントリーホールでチケットを完売。2017年より、ポーランドのフレデリック・ショパン国立音楽大学(ワルシャワ音楽院)に在籍。2021年10月、第18回ショパン国際ピアノコンクールで第2位に輝く。2023年以降はドイツ・カナダ他、世界各国でのリサイタルが控えている。オンラインサロン「Solistiade」を主宰し、奈良を拠点にジャパン・ナショナル・オーケストラ株式会社を運営するなど、多彩な活動を展開している。

オフィシャルサイト
https://www.kyoheisorita.com
Twitter公式アカウント
@kyohei0901
Instagram公式アカウント
@kyoheisorita
YouTubeチャンネル
反田恭平 – Kyohei Sorita –
オンラインサロンSolistiade
https://solistiade.jp/

本書の要点

  • 要点
    1
    本書は2021年のショパン国際ピアノコンクールで、日本人として51年ぶりに2位を獲得したピアニスト反田恭平氏の自伝である。
  • 要点
    2
    幼少期はサッカーに熱中していたが、12歳のときにフルオーケストラで指揮棒を振った経験を境に、「自分は音楽の世界で生きていく」と決意した。
  • 要点
    3
    ショパンコンクールへの挑戦にあたっては、過去大会の分析、肉体改造、セルフイメージの創出、ストーリー性を意識したプログラム構成など、入念な準備と戦略で臨んだ。
  • 要点
    4
    いまだ旧態依然としたクラシック音楽業界は、DX革命によってファンの裾野を広げるべきだ。

要約

「ピアニスト反田恭平」の誕生

1枚のチラシが運んだピアノとの出会い
AMR Image/gettyimages

著者がピアノに出会ったのは3歳のときだった。転勤族として名古屋で暮らしていたとき、社宅に1枚のチラシが投げ込まれた。ヤマハ音楽教室のチラシであった。

それから半年ほどして東京への転勤が決まったとき、音楽教室の先生は母にこう言った。「この子はとんでもなく耳が良すぎます。東京に行ってからも、必ず何か音楽を続けてくださいね」。このときは音あてクイズでちょっとしたズルをしていただけのつもりだった。しかし、東京で通い始めた、子どもに絶対音感を教える「一音会ミュージックスクール」で、耳に入ってきた音をそのまま再現できる能力が特殊なものであることに気づいた。

一音会では、スパルタではなく「音を楽しむ」ことを教えてくれる先生から、ピアノのレッスンを受け始めた。

反田ファミリーは音楽とは無縁の一家であった。家系にピアニストやプロの音楽家は一人もおらず、特に父親は音楽にまったく関心がなかった。著者当人も「本業はサッカー」というほどのサッカー少年で、ピアノはあくまで「趣味」であり、音楽の基礎をまったくわかっていないほどだった。

しかし、11歳のときにサッカーで右手首を骨折したことをきっかけに、サッカー選手になる夢を断念する。そして「近所にあるから」というだけの理由で、桐朋学園大学音楽学部附属「子供のための音楽教室」に入学した。その当時の著者は教室の底辺層であった。しかも、2021年のショパン国際ピアノコンクールで4位に輝いた小林愛実さんも通っていた。小林さんはその当時すでに「天才少女」と全国で有名な存在だった。著者とは家族ぐるみの付き合いをしていた仲の良い幼なじみであり、ともに切磋琢磨をしていったライバルでもあった。

「音楽の世界で生きていく」と決める

音楽にシフトチェンジした理由には、オーケストラの指揮者へのあこがれもあった。音楽教室が主催した「子どものための指揮者のワークショップ」で、プロのフルオーケストラの前で指揮棒を振る機会を得たのだ。

著者はこのときの衝撃を今も忘れられないという。指揮台に立ったときの重圧と張り詰めた緊張感、そして指揮棒で合図をした瞬間に全身にぶつかってくる金管楽器のものすごい音圧。きらびやかで豊穣な音楽の世界がそこにあった。12歳の夏、「自分はこの世界で生きていこう」と肚を決めた。

ワークショップの後、指導をしてくれた指揮者の曽我大介先生に「どうしたら先生のような指揮者になれますか?」と質問をした。すると先生は、まずピアノを極めることを勧めたのだった。

ショパン国際ピアノコンクール

著者がショパンコンクールを強く意識したのは12歳のときだ。NHKのドキュメンタリー番組を観て、「ピアニストの世界にも、ワールドカップのようなすごい大会があるのか」と興味を持った。

それから10年後の2015年、小林愛実さんがショパンコンクールに出場してファイナル(最終審査)まで勝ち進んだ。当時、留学先の国立モスクワ音楽院でくすぶっていた著者は「うらやましい、自分も出たい」と本気で思った。

しかし、そこには葛藤もあった。

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