テックジャイアントと地政学

未読
テックジャイアントと地政学
テックジャイアントと地政学
未読
テックジャイアントと地政学
出版社
日本経済新聞出版

出版社ページへ

出版日
2023年03月08日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
要約全文を読むには会員登録ログインが必要です
ログイン
本の購入はこちら
書籍情報を見る
本の購入はこちら
おすすめポイント

いま日本中に激震が走っている。2022年11月から、米OpenAIが提供するAIチャットボット「ChatGPT」の話題で持ちきりだ。ChatGPTの元となる自然言語処理モデル のGPT-3は極めて自然な文章を生成したり翻訳したりすることができる。そして最新版GPT-4がChatGPT Plusに搭載され、生成する文章の精度はめざましく向上している。ChatGPTのインパクトについては、東京大学理事・副学長の太田邦史氏が「組換えDNA技術」の登場に匹敵する変革と述べたほどだ。要約者もChatGPT Plusを利用しはじめてから、仕事のあり方が変わると思ったし、「AIとどう協働していくとよいのか?」と自問せずにいられなくなった。

もちろん、これはテクノロジーに関する動きの一端である。2022年は日本でもメタバースとWeb3が広がり、イーロン・マスク氏のツイッター買収騒動が話題をさらった。一方で、Facebookを運営するメタやツイッターが人員の大量解雇を発表するなど、テックジャイアントの経営が曲がり角を迎えた。また、ウクライナ侵攻によって、テック業界の地政学リスクが一気に顕在化している。

こうしたテクノロジーの動向がビジネスにどんなインパクトをもたらすのか? シリコンバレーと日本を行き来するテクノロジーの伝道師である著者は、この点にフォーカスしてわかりやすい解説をしてくれる。これからの時代に必須の教養がつまった本書は、どんな職種の方にとってもインスピレーションの宝庫になるにちがいない。

ライター画像
松尾美里

著者

山本康正(やまもと やすまさ)
京都大学経営管理大学院客員教授
東京大学修士号取得後、三菱UFJ銀行米州本部にて勤務。ハーバード大学大学院で理学修士号を取得後、グーグルに入社し、フィンテックや人工知能(AI)などで日本企業のデジタル活用を推進。企業の新規事業やDX、ESG、SDGs、ベンチャー投資(CVC)の助言も行う。京都大学大学院総合生存学館特任准教授も兼務。著書に『次のテクノロジーで世界はどう変わるのか』(講談社現代新書)、『2025年を制覇する破壊的企業』(SB新書)がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    今後は、生成AIを使いこなすリテラシーが重要となる。人工知能研究の最先端を知るためには、英語を活用し、言語の壁を越えた学習が欠かせない。
  • 要点
    2
    企業は、生成系AIを利用すれば、自分たちの持つデータやアセットをもとに新しいビジネスモデルができないか仮説を立てることが必要となる。
  • 要点
    3
    デジタルテクノロジーは、欧米諸国による金融・経済制裁とともに、地政学への影響力を強めている。米中の緊張状態が続く一方で、経済的なメリットを考えた部分的な歩み寄りも見られている。

要約

【必読ポイント!】 ChatGPTが与える衝撃

生成AIの進化にどう向き合う?

2022年11月からChatGPTの話題が持ちきりである。自然に見える会話形式の応答で多くのユーザが魅了された。その普及のスピードを受けて、Microsoftが最大約1兆円を追加出資するという報道が駆け巡った。そこに、検索サービスが脅かされると報じられた直後、Googleが対抗馬としてBardを急きょ発表した。

ChatGPTの元となるGPT-3は、AI研究機関のOpenAIが2020年に発表した大規模言語モデルの1つである。大規模言語モデルとは、膨大なデータを学習し、人間が使う言葉を単語の出現確率でモデル化したものだ。そのためGPT-3は極めて自然な文章の生成や翻訳ができる。これを改良して、会話に最適化したのがChatGPTである(注:2023年4月時点では、さらにその発展形のGPT-4がChatGPT Plusとして提供されている)。

言語の壁を越えた学習がカギ
Mihaela Rosu/gettyimages

ChatGPTにもまだ不正確なところはあるが、後に改良され、クオリティーが上がっていくとされる。Googleの検索アルゴリズムの向上によりウェブサイトの情報の正確性が高まったのと同様の道筋をたどるだろう。

もっと見る
この続きを見るには...
残り3195/3721文字
会員登録(7日間無料)

3,400冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2023.05.14
Copyright © 2024 Flier Inc. All rights reserved.
一緒に読まれている要約
アルゴナウティカ
アルゴナウティカ
アポロニオス岡道男(訳)
未読
荘子 内篇
荘子 内篇
福永光司(訳)興膳宏(訳)
未読
イノベーションのジレンマからの脱出
イノベーションのジレンマからの脱出
株式会社みんなの銀行書籍プロジェクトチーム=永吉健一、中原淳一、吉冨史朗、市原幸子
未読
人間の解剖はサルの解剖のための鍵である 増補新版
人間の解剖はサルの解剖のための鍵である 増補新版
吉川浩満
未読
一気読み世界史
一気読み世界史
出口治明
未読
精神現象学 上
精神現象学 上
熊野純彦(訳)G.W.F.ヘーゲル
未読
コンヴィヴィアリティのための道具
コンヴィヴィアリティのための道具
イヴァン・イリイチ渡辺京二(訳)渡辺梨佐(訳)
未読
ESG格差
ESG格差
松岡真宏山手剛人首藤繭子
未読
法人導入をお考えのお客様