一気読み世界史

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一気読み世界史
出版社
出版日
2022年11月21日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.5
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

彗星のごとく現れた、対話型AI「ChatGPT」。AIの脅威はかねてから指摘されていたが、想像をはるかに越えたスーパーAIの登場に、世界中が揺れている。私たちは今、時代の転換期にいることは間違いない。

歴史を振り返ると、過去にも転換点はいくつかあったが、直近では産業革命がそれに当たる。18世紀、連合王国(イングランドとスコットランド)で起こった技術革新は瞬く間に産業構造を変え、同国を“太陽の沈まない国”に押し上げた。それに伴い社会変革が連鎖的に起こり、近代の幕開けとなった。「イノベーション」は予測のつかない未来をもたらし、現在の形を否応なしに変えていく。

前置きが長くなったが、本書『一気読み世界史』は、先が見えない今だからこそ読むべき一冊だ。人類5000年の歴史を振り返って先人たちの軌跡をたどり、彼らがどんな出来事に遭遇し、選択してきたかを知ることは、未来を読み解くヒントとなるはずだ。

本書は、「わかりやすい歴史解説」に定評のある立命館アジア太平洋大学学長の出口治明氏が、人類の誕生から現代までの歴史を一気通貫で書き上げた。「一気読み」という名のとおり、かつてないほど「わかりやすく」「スピード感があり」「エキサイティングな」構成となっている。読み始めるとグイグイ引き込まれ、ページをめくる手が止まらない。歴史の大きなうねりを体感できる、ダイナミックな読書体験となるだろう。

歴史は、これからを生きる私たちの必修科目。まずはその第一歩として、本書を強くおすすめしたい。

ライター画像
矢羽野晶子

著者

出口治明(でぐち はるあき)
立命館アジア太平洋大学(APU)学長。1948年、三重県美杉村生まれ。1972年、京都大学法学部卒業後、日本生命保険相互会社入社。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などをへて2006年退職。同年、ネットライフ企画株式会社を設立し、代表取締役社長に就任。 2008年、ライフネット生命保険株式会社に社名を変更。10年社長、会長を務める。2018年1月より現職。訪問した都市は世界中で1200以上、読んだ本は1 万冊を超える。『生命保険入門 新版』(岩波書店)、『人類5000年史 』シリーズ(ちくま新書)、『0から学ぶ「日本史」講義 』シリーズ(文藝春秋)、『全世界史 上・下 』(新潮文庫)、『戦争と外交の世界史』(日経ビジネス人文庫)など著書多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    紀元前500年前後は、ソクラテス、釈迦、孔子が同時期に活躍した。「知の爆発」は、温暖化と鉄器の波及によってもたらされた。
  • 要点
    2
    ムハンマドが始めたイスラム教は、合理性と寛容性によって急拡大していった。
  • 要点
    3
    13世紀、モンゴルはユーラシアを横断するグローバル国家を建国した。しかしこのグローバリゼーションによって、ペストの大流行も招くことになる。
  • 要点
    4
    現代まで続く近代国家のベースは、産業革命とフランス革命にある。ネーションステート(国民国家)の概念は、フランス革命ではじめて誕生した。

要約

紀元前:文明の発祥

言葉と文字の発明

20万年前にアフリカで誕生した人間は、10万年ほど前から「もっとおいしいもの」を求めてユーラシアの方向に旅を始める。いわゆるグレートジャーニーである。

しかし1万2000年くらい前に放浪をやめ、定住して農耕や牧畜を始める。ドメスティケーションと呼ぶこの行動は、ホモ・サピエンスの歴史にとって大きな画期となる。

もう一つの画期は、言語の発明である。現在は、言語は「思考のツール」として生み出されたと考えられている。人間は言葉を使って考えるようになったのだ。

文字は、紀元前3500年ごろのメソポタミアで生まれた。文字の誕生は「取引」がきっかけだ。例えば、人に何かを貸し出すときに、忘れないように「ウマ1頭貸した」「麦を貸した」と粘土のボールを別々の壺に入れていく。しかし、取引が増えると壺も同時に増えてしまう。そこで、馬は「〇」、麦は「△」とボールに印を付けると、壺は1つで済む。取引の増加につれて記号は複雑になり、やがて文字に発展した。

四大文明の起源はメソポタミア
swisshippo/gettyimages

メソポタミアの次に起こったのはエジプト文明だ。エジプトにピラミッドができたころ、インダス川流域で文明が誕生し、中国では紀元前2000年ごろに最古の王朝「夏」が生まれたとされる。

メソポタミア、エジプト、インダス、黄河の四大文明は、これまでばらばらに起こったといわれてきた。しかし今は、メソポタミアが他の文明に影響を及ぼしたという説が有力だ。例えば、メソポタミアのシュメールとインダスは、海路を通じて交易していたことがわかっている。また、黄河文明にはメソポタミアの戦闘用馬車「チャリオット」が見つかっており、その影響を証拠づけている。

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要約公開日 2023.05.12
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