イノベーションのジレンマからの脱出

日本初のデジタルバンク「みんなの銀行」誕生の軌跡に学ぶ
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みんなの銀行のアプリを一目見れば、「これは普通の銀行ではない」と気づくだろう。目に飛び込んでくるのは、白黒を基調にしたシンプルで、カジュアルなデザイン。生真面目で保守的といった「銀行らしさ」とはかけ離れた世界観がそこにはある。

みんなの銀行は、スマートフォンのアプリだけで金融サービスを提供する、日本初のデジタルバンクだ。サービスはユニークで、郵送物が一切なく、24時間365日いつでも口座を開設できる。アプリ内には目的別に貯蓄ができる「ボックス」や、バーチャルデビットカードで決済ができる機能がある。デジタルネイティブ世代にとことん寄り添った、新しい銀行なのだ。

みんなの銀行は、ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)の子会社として設立された。発端は、2014年にFFGの当時の社長が「10年後の銀行のあるべき姿を見据えて、これまでの延長線上にない、非連続の成長戦略を描いてほしい」と語ったことである。命を受けたのは、経営企画部に所属していた永吉健一氏。後にみんなの銀行の頭取になる人物だ。

FFGという成熟した銀行から、いかにしてみんなの銀行が誕生したのか。アジャイル型のビジネスの進め方、Z世代向けのブランディング、多様性を尊重した組織づくり、フルスクラッチのシステム開発――。本書は、こうした切り口から、挑戦の軌跡が描かれたドキュメンタリーだ。両利きの経営やイノベーションのジレンマの乗り越え方が余すことなく書かれている。金融業界にとどまらず、新規事業に関わる方、挑戦しやすい組織風土をめざす方は、大いに勇気づけられるだろう。

ライター画像
森本みづき

著者

株式会社みんなの銀行
日本初のデジタルバンクとして、2019年8月15日、ふくおかフィナンシャルグループが設立。2020年12月22日に銀行業営業免許を取得し、2021年1月4日に開業(銀行システム稼働開始)、同年5月28日にサービス提供を開始した。「みんなに価値あるつながりを。」をミッションに掲げ、新たな金融サービスの提供を目指す。2022年12月時点で「みんなの銀行アプリ」のダウンロード数は150万件を突破、みんなの銀行とゼロバンク・デザインファクトリーをあわせた従業員数は計200人(※派遣社員・常勤役員は除く)

永吉健一
株式会社みんなの銀行 取締役頭取。1995年、福岡銀行入行。経営企画部門に在籍し、2007年、経営統合によるふくおかフィナンシャルグループの設立などに従事。2016年、企業内ベンチャーとして、ネオバンクを運営するiBankマーケティングを1万円で起業後、みんなの銀行の前身となるデジタルバンクプロジェクトをけん引し、2022年4月より現職。
株式会社ふくおかフィナンシャルグループ 執行役員
iBankマーケティング 株式会社 取締役 Founder
ゼロバンク・デザインファクトリー 株式会社 代表取締役
株式会社diffeasy 取締役
株式会社TAP 取締役
DIAGONAL RUN TOKYO/FUKUOKA/NAGASAKI チェアマン
事業構想大学院大学 客員教授
(2022年12月時点)

本書の要点

  • 要点
    1
    著者は、10年後の銀行のあるべき姿を見据えて、ターゲットをデジタルネイティブ世代に据えた。めざすのは、スマートフォンが財布や銀行になるという世界観だ。
  • 要点
    2
    みんなの銀行は、破壊的イノベーションを追求するために、FFG本体からは独立した組織となった。著者は、アジャイル型の開発手法を、システム開発だけでなく、サービスの考え方やマーケティングにも取り入れてきた。

要約

今までにない銀行をめざして

銀行が銀行でなくなるとき

「10年後の銀行のあるべき姿を見据えて、これまでの延長線上にない、非連続の成長戦略を描いてほしい」「既存の銀行の延長線上じゃなくてもいい」。

2014年、ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)の取締役社長(当時)の柴戸隆成が、経営企画部の永吉健一にミッションを与えた。この言葉がiBankマーケティングとみんなの銀行の出発点となる。

iBankマーケティングの設立はどのような経緯をたどったのか。永吉とほか2人のメンバーは銀行の未来について考えた。その中で出た結論が「銀行がなくても他のサービスで代用できれば銀行は要らないという人たちが増えてくる」だった。3人は画期的な金融サービスを、既存の銀行のルールや制度を越えて生み出そうと考えた。

ターゲットにしたのは、未来の顧客となるデジタルへの親和性が高いZ世代や、デジタルネイティブと呼ばれる人たちだ。スマートフォンでこれらの世代に刺さるサービスを提供しようとした。

家計のやりくり、スマホで完結
JuliaTim/gettyimages

当初のサービスアイデアは「自分だけのおカネのやりくりを“スマホで完結”できる」がウリの「Pocket Wallet」である。自分の銀行口座内にバーチャルの子口座を作り、封筒で家計を管理しているような、目的別に把握できる機能をめざした。

役員の反対にあったが、柴戸のGOサインによって、2016年4月に「iBankマーケティング」の設立に至った。

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要約公開日 2023.05.05
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