サクッとわかる ビジネス教養 ビジネスモデル

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ジャンル
出版社
新星出版社

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出版日
2023年03月25日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

ビジネスを成長させ続けるためには、自社のターゲット顧客を定め、価値を生み出し、他社には真似できない仕組みをつくる必要がある。近年、ビジネスの競争力が同業他社と同じような商品力やブランド力で戦う企業は、減少する一方だ。どこで他社との違いを打ち出すのかの工夫は必須となり、多くの企業がビジネスモデルそのものを描き直す必要にかられている。

そんな中、ビジネスモデル・キャンバス、ビジネスモデル図解など、複雑なビジネスモデルをシンプルにわかりやすく表現するニーズが高まっている。本書はまさにそのニーズをとらえた一冊だ。ほとんどのページにオールカラーの図解がちりばめられており、眺めるだけでビジネスモデルへの親しみが湧いてくる。さらには、『競争しない競争戦略』などのロングセラーを世に送り出してきた著者ならではの解説は実にわかりやすい。「だからこのビジネスモデルが強いのか」と理解が深まること請け合いだ。

要約では出版社やアパレル、小売店といった一般消費者として日々目にする機会の多い業界のビジネスモデルを中心に取り上げた。普段あまり目にすることのない、ビジネスモデルの「裏側」を覗いてみてほしい。見えにくいところに、ビジネスモデルのツボがあると実感できるはずだ。多種多様な事例にふれられる本書は、ビジネスモデルの入門書として最適な一冊である。

ライター画像
Keisuke Yasuda

著者

山田英夫(やまだ ひでお)
慶應義塾大学大学院経営管理研究科(MBA)修了後、三菱総合研究所にて大企業のコンサルティングに従事。1989年早稲田大学に転じ、大学院経営管理研究科(ビジネススクール)教授。専門は、競争戦略論、ビジネスモデル。博士(学術:早稲田大学)。アステラス製薬、NEC、ふくおかフィナンシャルグループ、サントリーHDの社外監査役・取締役を歴任。主著に『競争しない競争戦略 改訂版』『異業種に学ぶビジネスモデル』日本経済新聞出版、『成功企業に潜むビジネスモデルのルール』ダイヤモンド社、『ビジネス・フレームワークの落とし穴』光文社 など。

本書の要点

  • 要点
    1
    ビジネスモデルは儲けるための仕組みである。成長する企業には、他社には簡単にはマネできない秘密が隠されている。
  • 要点
    2
    星野リゾートは競合だった旅館・ホテルを顧客にし、運営受託や再生事業を手がける。料理人や女将の確保の問題をセントラルキッチンやマルチタスク化で解消した。
  • 要点
    3
    ワークマンは作業者向け衣料品から一般消費者向けアウトドアウェアにシフトした。作業者がターゲットだった時代と同様に、数年間モデルチェンジをせず大量調達することで低価格を実現できた。

要約

ビジネスモデルの構成要素とは?

変化を続けるビジネスモデル

ニュースやビジネス誌などでビジネスモデルという言葉を耳にするだろう。実は明確な定義はなく、一般的に「『誰に』『何を』『どのように』、付加価値を提供して収益を得るのかを示したビジネスの仕組み」などといわれている。本書ではビジネスモデルを「儲けるための仕組み」と広く定義する。具体的には、企業が利益を得るための取り組みである研究開発、製造、販売、マーケティング、経営戦略などだ。

少し前にビジネスモデル特許が話題になった。だが、健全な市場競争がある状態が望ましいため、ビジネスモデルそのものに特許が認められることはほとんどない。そのため優れたビジネスモデルでも、ほかの企業にもできるものであればすぐに模倣されてしまう。成長する企業のビジネスモデルには、他社には簡単にはマネできない秘密が隠されている。

ターゲットの再定義
rashadashurov/gettyimages

ビジネスモデルを構成する要素のうち、ターゲットとニッチ戦略について取り上げる。

まずターゲットは、ICチップを売るならPCメーカーなどとわかりやすいケースもあるが、明確に定めにくいケースもある。ランドセルを例にとろう。この場合、商品の購入を決める「意思決定者」は両親、お金を出す「購買者」は祖父母、「使用者」は子どもとなる。そのためビジネス上、本当のターゲットは誰なのかを吟味する必要がある。

また、企業にとっての「ターゲットの変化」を追うことで、その会社の戦略が見えることもある。たとえば星野リゾートのターゲットは宿泊客だが、ホテルの運営受託事業を始め、競合だった企業もターゲットに加えている。このように、成長する企業はターゲットを戦略的にデザインしている。

差別化とニッチの違い

「差別化」と「ニッチ戦略」は混同されがちだが異なる戦略だ。

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要約公開日 2023.06.16
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