ニュースやビジネス誌などでビジネスモデルという言葉を耳にするだろう。実は明確な定義はなく、一般的に「『誰に』『何を』『どのように』、付加価値を提供して収益を得るのかを示したビジネスの仕組み」などといわれている。本書ではビジネスモデルを「儲けるための仕組み」と広く定義する。具体的には、企業が利益を得るための取り組みである研究開発、製造、販売、マーケティング、経営戦略などだ。
少し前にビジネスモデル特許が話題になった。だが、健全な市場競争がある状態が望ましいため、ビジネスモデルそのものに特許が認められることはほとんどない。そのため優れたビジネスモデルでも、ほかの企業にもできるものであればすぐに模倣されてしまう。成長する企業のビジネスモデルには、他社には簡単にはマネできない秘密が隠されている。
ビジネスモデルを構成する要素のうち、ターゲットとニッチ戦略について取り上げる。
まずターゲットは、ICチップを売るならPCメーカーなどとわかりやすいケースもあるが、明確に定めにくいケースもある。ランドセルを例にとろう。この場合、商品の購入を決める「意思決定者」は両親、お金を出す「購買者」は祖父母、「使用者」は子どもとなる。そのためビジネス上、本当のターゲットは誰なのかを吟味する必要がある。
また、企業にとっての「ターゲットの変化」を追うことで、その会社の戦略が見えることもある。たとえば星野リゾートのターゲットは宿泊客だが、ホテルの運営受託事業を始め、競合だった企業もターゲットに加えている。このように、成長する企業はターゲットを戦略的にデザインしている。
「差別化」と「ニッチ戦略」は混同されがちだが異なる戦略だ。
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