ゴールドプランなら4,000冊以上が全文読み放題! 7日無料体験はこちらから

本書の要点

  • 従業員の「マインド面」の状態が、自身の主体的な行動や思考を喚起し、そうした行動や思考によって仕事の生産性が向上する。マインド面の向上には、教育訓練、自己啓発支援、組織開発への投資が有効である。

  • 著者たちは、(1)外部労働市場との戦略的連携、(2)人材育成のパラダイムシフト、(3)働く人のマインド面への投資、(4)組織開発の進展、という4つの提言をしている。

1 / 3

今、私たちは人材投資の転換点にいる

外部調達と内部育成のジレンマ

労働人口の減少、経営戦略の変化、人々の価値観の変化。現在は、経営を取り巻く環境が大きく変化しており、企業は人材マネジメントを再考するよう迫られている。それにより、いくつかの変化とジレンマが起こりつつある。

1つめの変化は、外部労働市場に開かれた人材マネジメントの積極的活用だ。近年、人材獲得の方法として、外部労働市場からの採用が重視されるようになってきた。外部からある程度育成された人材を確保した方が、時間的に大きな節約となる。一方で、それはリスクも伴う。採用した人材が期待通りのパフォーマンスを出してくれるか、長期的にその企業に残ってくれるかといったことだ。今後は、人事部門が外部と内部の効果的なポートフォリオを組む必要がある。

また、日本企業は、賃金や処遇の内部公平性と外部公平性の問題にも直面している。内部公平性とは、賃金などが企業内部の他の従業員と比較して公平なものになっているかの判断である。これに対し、外部公平性とは、外部企業の同様の従業員と比較しての公平性を意味する。労働市場における相場との比較といってもよい。

これまで日本の人事では、内部公平性を保つことで、従業員の納得性とエンゲージメントを保ってきた。だが、他社の賃金や待遇などの情報は、ネットなどを通じて容易に手に入るようになっている。そこで、外部労働市場の相場と比べて公平感を持てるような賃金設定が、人材のリテンションにおいて重要となっているのだ。

企業内での人材多様性の増加

Ada daSilva/gettyimages

2つ目の変化は、企業内での人材多様性の増加である。外部労働市場からの採用が増えると、能力や知識、経験値などの多様性、つまりタスク型の人材多様性が増していく。結果的に、そうした人材の能力開発ニーズに応じて、人材育成はより多様化、個別化していくだろう。

もっと見る
この続きを見るには...
残り3431/4207文字

4,000冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2023.06.10
Copyright © 2025 Flier Inc. All rights reserved.

一緒に読まれている要約

ファシリテーション入門<第2版>
ファシリテーション入門<第2版>
堀公俊
激変する世界で君だけの未来をつくる4つのルール
激変する世界で君だけの未来をつくる4つのルール
尾原和啓
テレビCMの逆襲
テレビCMの逆襲
土井健
組織の強化書
組織の強化書
小山昇
サクッとわかる ビジネス教養 ビジネスモデル
サクッとわかる ビジネス教養 ビジネスモデル
山田英夫
コンヴィヴィアリティのための道具
コンヴィヴィアリティのための道具
イヴァン・イリイチ渡辺京二(訳)渡辺梨佐(訳)
「聴く」ことの力
「聴く」ことの力
鷲田清一
コモン・センス(COMMON SENSE)
コモン・センス(COMMON SENSE)
トマス・ペイン

同じカテゴリーの要約

大学4年間の経営学が10時間でざっと学べる
大学4年間の経営学が10時間でざっと学べる
高橋伸夫
会社は「本」で強くなる
会社は「本」で強くなる
宮本恵理子
SHIFT解剖
SHIFT解剖
飯山辰之介
カスハラの正体
カスハラの正体
関根眞一
ランサムウエア攻撃との戦い方
ランサムウエア攻撃との戦い方
勝村幸博
「人事のプロ」はこう動く
「人事のプロ」はこう動く
吉田洋介
無料
経営戦略全史〔完全版〕
経営戦略全史〔完全版〕
三谷宏治
強いLLMO
強いLLMO
竹内渓太
ビジネスモデル全史〔完全版〕
ビジネスモデル全史〔完全版〕
三谷宏治
心理的安全性のつくりかた
心理的安全性のつくりかた
石井遼介