ビジネスシーンを生き抜くための仏教思考

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ビジネスシーンを生き抜くための仏教思考
出版社
イースト・プレス

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定価
1,760円(税込)
出版日
2023年09月10日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

「なんであの人あんなことでイラつくのかな」「猫が苦手って言っても理解してもらえない」といったことも、「VUCA時代に自分をどう変えればいいかわからない」「SNSの沼から抜け出せない」という悩みにも、仏教は明快に答えてくれる。なぜなら、仏教は宗教というよりも哲学、思考であるからだ。

著者の松波龍源氏は、起業家など在家の有志たちとともに実験寺院である「寳幢寺」を京都に建て、仏教という思想の本来の姿を取り戻すべく活動している僧侶である。本書ではその著者が得た知見をベースとして、人気のポッドキャスト番組「ゆかいな知性」で語られた内容をまとめている。著者は自身を「学者ではなく実践者である」と強調している。したがって、学術的に追究されてきた解釈などとは一部異なるものもあるかもしれない。しかし、それが、ものごとを固定的に考えず、あらゆる可能性を否定しない「空」の概念を根本に据えた、仏教の「良さ」でもある。すなわち、本書を読んで読者がどのように感じるか、それをどう活かしていくかこそが重要であるということだ。もちろん、そこに正しい学びがあることは大切である。

日々の生活に対してなんとなく息苦しさを感じているなら、本書は有効な処方箋になるに違いない。その苦しみがどこからやってきて、どう向き合えばよいのか、仏教思考はロジカルに示してくれる。どのページから開いても構わない。もしかしたら、要約の拾い読みでも何かを得られるかもしれない。それくらいの気楽さで、ぜひ本書をお楽しみいただきたい。

著者

松波龍源(まつなみ りゅうげん)
実験寺院寳幢寺僧院長。僧侶・思想家。大阪外国語大学(現・大阪大学)外国語学部卒・同大学院地域言語社会研究科博士前期課程修了。ミャンマーの仏教儀礼を研究するうちに研究よりも実践に心惹かれ出家。現代社会に意味を発揮する仏教を志し、京都に「実験寺院」を設立。学生・研究者・起業家・医師・看護師などと共に「人類社会のアップデート=仏教の社会実装」という仮説の実証実験に取り組んでいる。

野村高文(のむら たかふみ)
Podcast Studio Chronicle代表。音声プロデューサー・編集者。東京大学文学部卒。PHP研究所、ボストン・コンサルティング・グループ、ニューズピックスを経て、2022年に独立。制作した音声番組「a scope」「経営中毒」で、JAPAN PODCAST AWARDベストナレッジ賞を2年連続受賞。その他の制作番組に「New Connect」など。著書に『視点という教養』(共著)。旅と柴犬とプロ野球が好き。

本書の要点

  • 要点
    1
    仏教は、「苦しみを発生させないように」という考えを根本に持つ。それは、宗教や慣習というより、人の生き方を示す哲学と言える。
  • 要点
    2
    ロジカルで科学的な哲学である仏教に「輪廻転生」があるのも、長期的・全体的な利益を説くためである。
  • 要点
    3
    ネガティブなこと(苦しみ)を認めていれば、その回避も可能となる。その先に、ポジティブな人生がある。
  • 要点
    4
    「空」とは、「固定的に考えてはいけないことを表した概念」である。

要約

【必読ポイント!】 現代社会に生きる仏教

確実な「今」を生きる

物質面で満たされ、「心の時代」に入ったと言われる現代社会は、根底から揺らいでいる。そのなかで仏教は生きる指針になり得る、と著者は書く。仏教は宗教や慣習というより、人の生き方を示す哲学と言えるからだ。

しかし、著者はまた、この5年、10年で世の中の不確実性が高まったとは考えない、とも書く。仏教の観点から考えると、この世で経験するあらゆることは多くの要因からなる因果関係の網目において成立している。だからこそ、ものごとに「絶対」はないのだ。とすれば、1年後のことすら予測できないのはものの道理と言えよう。「はじめから世界はVUCA」なのである。

仏教は、「苦しみを発生させないように」という考えを根本に持つ。不確実な未来予測は、ともすると「予測通りに進まなかった」という苦しみを生じさせる。その苦しみをゼロにはできなくても、ものごとは絶対ではないということがわかっていれば、「今」なすべきことに集中できるはずだ。

輪廻転生が必要な資本主義社会
chuck/gettyimages

短期的・個別的な利益を求める資本主義の綻びを考えると、「長期的・全体的な利益を重視することが、ポスト資本主義的な社会」になるのではないか。

「あらゆるものごとは因果関係と相対性を持つ。ゆえに万物に絶対的、独立的な実存性はない」とする、仏教の「中観」や、「あらゆるものはなにかに認識されることによって存在する」という「唯識」によれば、「私」という概念は「他者」がいて初めて成立する。とすると、局所最適は周囲とのバランスを崩す可能性がある。「私」は「他者」と切り離せないので、他者の利益は必然的に自分の利益にもなると考えるべきなのだ。

ロジカルで科学的な哲学である仏教に「輪廻転生」があるのも、長期的・全体的な利益を説くためであるという。これは、ゲーム理論における「囚人のジレンマ」と同様だ。人生が一回きりであれば、自分の寿命が尽きるのと同時に自分の利益を最大化できればよい。しかし、仮に人生が無限繰り返しゲームだとすれば、「自分と他者の利益を等しく考えて協力し、妥協点を見つけたほうが、戦略としては有利」になる。釈迦牟尼が来世を否定していないのは、そのほうが個人も社会もうまくいくと考えたからではなかろうか。

欲望の考え方

欲望は仏教にとっても大きな命題である。潜在意識から生じる欲望を制御できなければ、真に心穏やかな生活を送れない。ここでヒントになるのが「唯識」だ。

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要約公開日 2023.12.03
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