思考の質を高める 構造を読み解く力の表紙

思考の質を高める 構造を読み解く力


本書の要点

  • 論理は言語を超える究極の「共通言語」だ。「構造を読み解く力」を身につける過程で、思考の質が高まり、仕事やコミュニケーションがより円滑なものになる。

  • 論説文や説明文を読む際には、その文章を構成する文がそれぞれどんな役割を果たしているかを分解すれば、文章全体をより深く理解できる。

  • 物語文をじっくり味わう訓練によって、他者の心情やその場の空気を読み取る力が養える。こうした力は会議や交渉においても役立つものだ。

1 / 4

「構造を読み解く力」とは何か

VUCAの時代を生き抜くスキル

現代はVUCAの時代だと言われている。VUCAとは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取ったものだ。要するに、世の中はわかりにくくなっているということである。わかりにくい世の中を生き抜いていくためには、わかることを増やしていくしかない。その手法のひとつがロジック(論理)だ。VUCAの時代においては、「ロジックを使ってどう思考し、伝え合うか」の重要性が増していると言える。本書のテーマである「構造を読み解く力」はロジックを読み取る力だ。他者と協力して動き、意思決定して物事を進めていく場面で、論理は言語を超えた「共通言語」となる。「構造を読み解く力」を身につければ、思考の質が高まり、仕事やコミュニケーションがより円滑なものになるだろう。

2 / 4

【必読ポイント!】 論理を読み解く

論理を“読む”力を身につけるメリット

pixdeluxe/gettyimages

著者は英語が苦手だが、それでも外資系企業で仕事をこなすことができた。その理由は、推論が働いたからだ。英語を完璧に理解できなくても、AとくればB、Cの次はDで、EとFは対立、といったロジックがあれば、わからない言葉があっても先の展開が予想できる。論理を“読む”力があれば、言語や国籍が違っても世界で戦えるのだ。論理を“読む”とはどういうことか。まず思い浮かべるのは、文章を読み解く作業だろう。要するに、ある文章を読んで、それがどういう根拠で何を主張しているのかを理解する作業だ。コミュニケーションにおいては、この「相手がどういう根拠で何を言っているか」を理解することが欠かせない。

文章の構造を把握する

ディスカヴァー・トゥエンティワン提供

図示したりチャート化したりすると、文章の構造が見えてくる。一例として、次の文章を見てみよう。(1)鳥のからだは、空をとぶのにつごうよくできています。(2)からだの中には、空気のふくろがあります。(3)鳥がいきをすうと、そのふくろは、空気でふくらみます。(4)このふくろのおかげで、からだがかるくなって、とびやすいのです。(5)鳥のほねは、中がからになっているのです。(6)竹のようになっています。(7)これもからだをかるくし、とびやすくなっているわけです。書き手がこの文章を通じて伝えたいのは「鳥のからだは空をとびやすくできている」ということだ。要するに(1)の文が文章全体の主旨ということになる。次に、この文章の構造を見てみよう。(1)の文は文章全体の言いたいことを表しているので、最も値打ちの高い文、一番重い文と言えるだろう。そして、この(2)と(5)の文を組み合わせれば、(1)と同じ重さをつくることができる。(2)からだの中に空気のふくろがある、(5)ほねは中がからになっている、と言うことによって、(1)の内容を説明できるからだ。(3)と(4)は(2)の文を、(6)と(7)は(5)の文をさらに説明する文となっている。

もっと見る
この続きを見るには...
残り2745/3994文字

4,000冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2023.11.26
Copyright © 2025 Flier Inc. All rights reserved.

一緒に読まれている要約

コミュニケーションの問題地図
コミュニケーションの問題地図
沢渡あまね
おとなの思考
おとなの思考
外山滋比古
瞬考
瞬考
山川隆義
すごく使える心理学テクニック
すごく使える心理学テクニック
内藤誼人
心をつかむ超言葉術
心をつかむ超言葉術
阿部広太郎
アイデアをお金に変える「マネタイズ」ノート
アイデアをお金に変える「マネタイズ」ノート
市原義文
図解 「いいキャリア」の育て方
図解 「いいキャリア」の育て方
青田努
うまくいくリーダーだけが知っていること
うまくいくリーダーだけが知っていること
嶋村吉洋

同じカテゴリーの要約

AI分析でわかった 仕事ができる人がやっている小さな習慣
AI分析でわかった 仕事ができる人がやっている小さな習慣
越川慎司
壁打ちは最強の思考術である
壁打ちは最強の思考術である
伊藤羊一
しんどい世の中でどうすれば幸せになれますか?
しんどい世の中でどうすれば幸せになれますか?
橘玲樺山美夏
仕事の「判断ミス」がなくなる脳の習慣
仕事の「判断ミス」がなくなる脳の習慣
加藤俊徳
肩書がなくても選ばれる人になる
肩書がなくても選ばれる人になる
有川真由美
頭のいい人が話す前に考えていること
頭のいい人が話す前に考えていること
安達裕哉
きちんと伝わる説明の「型」と「コツ」
きちんと伝わる説明の「型」と「コツ」
阿部恵
AIエージェント革命
AIエージェント革命
シグマクシス
やりきる意思決定
やりきる意思決定
中出昌哉
生成AI最速仕事術
生成AI最速仕事術
たてばやし淳