瞬考

メカニズムを捉え、仮説を一瞬ではじき出す
未読
瞬考
瞬考
メカニズムを捉え、仮説を一瞬ではじき出す
未読
瞬考
出版社
かんき出版

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出版日
2023年06月05日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

会議、対話、戦略構想、一人でアイデア出しに耽る際など、ビジネスシーンにおける多くの場面で「考える」という行為の重要性が増してきているように要約者は感じる。そのような時代において、独創的な仮説を次々と生み出せるようなスキルを持っていたら、市場価値はより高まることだろう。

本書は「仮説を一瞬ではじき出す思考法」、すなわち「瞬考」を伝授する。著者はエンジニアからキャリアをスタートさせ、25年に渡り数多くのコンサルティングに従事した後、現在は「ビジネスプロデューサー」として活動する。コンサル時代に体得した独自の思考法は、幅広い職種に応用でき、納得感のある内容にまとまっている。読めば、「仮説を構築する」という行為を、より身近に感じられるようになるだろう。

本書の構成は第1、第2章にて瞬考についての紹介と要諦の説明を、第3章で瞬考の実践例を取り上げ、最終章となる第4章では瞬考を十二分に活用したビジネスプロデューサーという仕事についての提言が綴られる。

著者は、これから訪れるAI時代には「何が課題か」を問う「仮説スキル」がより重要と考えている。要約者も日々の業務において、常に新しい情報・人を繋げていく必要性を感じており、ビジネスプロデューサー的な役割の需要は今後増していくと考える。本書を紐解き、AI時代を上手く泳ぐために必要な「仮説構築スキル」、そして新たな「ビジネスプロデューサー」の働き方を覗いてみてはいかがだろうか。

著者

山川隆義(やまかわ たかよし)
ビジネスプロデューサー。
京都大学工学部および同大学精密工学修士(生産システム工学専攻)。
横河ヒューレット・パッカード株式会社(現在の日本ヒューレット・パッカード合同会社)、ボストン コンサルティング グループ(BCG)を経て、2000年に株式会社ドリームインキュベータ(DI)創業に参画。2005年取締役副社長、2006年から2020年まで代表取締役社長。
BCG、DIを通じ、25年に渡り、数多くのコンサルティングに従事。同時に、多数のベンチャー企業のIPOに貢献。現在はビジネスプロデューサーとして、エンターテインメント、証券、産業財、ヘルスケア、IT分野の企業における社外役員及びアドバイザーとして活動するとともに権利マネジメントビジネスを実践。

本書の要点

  • 要点
    1
    「瞬考」とは、仮説を一瞬ではじき出す思考法だ。仮説を構築するベースとなるのは大量のインプットで、知っているからこそすぐに仮説に思い至ることができる。
  • 要点
    2
    相手に求められる価値ある仮説とは「相手が知らず、かつ、知るべきこと」を提供するものだ。
  • 要点
    3
    現在起きているビジネスの「メカニズム」を把握し、「アナロジー」を活用することで、異なる業界でも類似する関係性を見いだすことができる。
  • 要点
    4
    ビジネスプロデューサーになるには、まずスペシャリストとしての最低基準を満たし、信頼を起点にビジネスを動かしていくことだ。

要約

「知っている」から仮説が湧く

YOASOBIはなぜヒットを連発できるか

「夜に駆ける」で2020年にトップアーティストの仲間入りを果たし、ヒット曲を連発するYOASOBIに対し、著者は大いに可能性を感じている。YOASOBIが手掛ける作品には「ヒットの法則」となるメカニズムがあると考えているからだ。

一般的に、アーティストは自身の経験をもとに作品を作るが、YOASOBIは「小説を原作」にして楽曲を作る。ネット隆盛の今、オンライン上には楽曲の「原石」が無限に転がっているため、「ネタ切れ」という問題に無縁だ。ネタとする小説は、若者が作ったものから厳選すれば、楽曲に若い感性を取り入れられる自由も利く。また、「楽曲を分業化」していることもヒットのメカニズムの一つと言える。作詞作曲はAyase、歌い手はikura、ミュージックビデオのアニメーションはアニメーターというように、それぞれのパートをその分野の一流のクリエイターに任せることでヒットを連発させてきた。

本書のタイトルである「瞬考」は、仮説を一瞬ではじき出す思考法である。著者が上述のような発想ができるのは、「そもそもYOASOBIを知っている」「彼らの楽曲制作方法を知っている」ためだ。

「知っていることは、すぐに思いつける」。これが瞬考実践の第一歩となる。

仮説構築力の源泉はインプット
peshkov/gettyimages

著者は自らの経験から、仮説本をたくさん読んでも仮説が湧くようになるとは思っていない。それよりも「会社四季報」を10年分丸暗記する、「日経ビジネス」や「日経エレクトロニクス」といったビジネス雑誌を精読するといったほうが「仮説構築力」を養ってくれると考えている。

仮説を構築するには、ビジネスに関わる多くの事象や事例をパターン化して頭に格納しておくことが求められる。AIに大量のデータを覚え込ませると精度が上がるように、人間の脳もたくさんの事象をインプットしておかないと新たな仮説は出てこない。

【必読ポイント!】一瞬で仮説をはじき出す「瞬考」

瞬考の要諦

どんなお題を出されても、瞬間的に鋭い仮説をはじき出す「瞬考」の要諦は6つある。

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要約公開日 2023.12.05
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