物語思考

「やりたいこと」が見つからなくて悩む人のキャリア設計術
未読
物語思考
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「やりたいこと」が見つからなくて悩む人のキャリア設計術
未読
物語思考
出版社
出版日
2023年09月05日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

キャリアプランの定番といえば、「やりたいこと」探しだ。自分だけの夢を見つけ、それに向かって邁進する。そんな生き方に憧れを抱きながらも、やりたいことが見つからない、見つかっても実際の行動に移せないと悩む人は少なくない。何かを成し遂げようと歩き出したとしても、うまくいかないことや嫌なことはつきものだ。そもそも、これだけ変化の速い時代に、抱いた夢が叶うまでに環境が激変しないとも限らない。

「やりたいこと」を軸にキャリアを描くことはじつは難しいのではないか。そこで本書でけんすうこと古川健介氏が提案するのが、「物語思考」である。これは、「物語を進めるように」人生を送ることを勧める思考法だ。主人公は自分。なりたい自分のキャラを設定して、そのキャラを動かすように、適切な環境を選んで物語を進めていく。

人生は自分が主役の成長物語なのだと捉えてしまえば、困難があっても「ここから物語が面白くなるぞ」と思えるかもしれない。勇気が出なくて挑戦できないことでも、「このキャラならここで挑戦するはずだ」と考えるもう一つの視点が手に入り、挑戦へのハードルもぐっと下がることだろう。何より、たとえ望むような結果を得ることができなかったとしても、自分の物語を愛することができれば、喜びと苦しみがかわるがわる訪れる日常に充実感を感じることができるはずだ。理想の自分になる過程そのものを楽しむことができれば、自分が生きた「物語」はそこに残るのだから。

ライター画像
池田友美

著者

けんすう(古川健介)
起業家、エンジェル投資家、アル株式会社代表取締役。
1981年生まれ。浪人生時代に「ミルクカフェ」という大学受験サービスを立ち上げたあと、レンタル掲示板の「したらば」を運営。
新卒でリクルートに入社後、起業してハウツーサイトの「nanapi」をリリース、2014年にKDDIグループにM&Aされる。
現在は「クリエイティブ活動を加速させる」ために、きせかえできるNFT「sloth」、成長するNFT「marimo」などを手掛けている。

本書の要点

  • 要点
    1
    「物語思考」とは、自分をキャラクターとして客観視し、そのキャラクターの行動を考えていくことで今を充実させる思考法である。
  • 要点
    2
    自分を客観視することは意外に難しい。しかし、自分をキャラとして捉え、こうありたいと思うキャラがどのような行動をするかという視点で考えれば、なりたい自分になるための行動を取りやすくなる。
  • 要点
    3
    人間はなかなか挑戦できないものだが、自分というキャラクターがどうしたら物語がおもしろくなるのか、と考えれば、普段はできない挑戦ができるようになる。

要約

オープニング:物語思考とは何か

物語という「過程」を楽しむ

この本で目指すのは、「物語思考」という考え方を使って、頭の枷を外し、自分のキャラを作ることで、行動しやすくして、今を充実させるということだ。

「物語思考」を一言でいうと「自分の理想どおりに人生を過ごすためには、いっそ一つの物語を作るように考えたほうがいいよ」ということだ。自分を主人公にして「物語を進めるように」人生を送ること。これが「物語思考」だ。

「物語思考」で考えると、悩みごとや心配ごとはどこか「他人事」になり、多くのことを楽しみながらクリアしていける。自分という「主人公」のなりたい姿を決め、「キャラ」を設定し、そのキャラが活きる環境で物語を「転がして」いく。自分のことだと怖くてたまらないことでも、自分の物語のキャラだと思えば、「こういう行動をさせたほうがいいな」と大胆に考えられるようになる。

ゴールまでの道のりを極めることを愛し、楽しく続けられる物語を生きよう。

ステップ1 頭の枷を外しながら、なりたい状態を考える

未来の姿が、今の行動を変える
Ales_Utovko/gettyimages

私たちは今を過去の積み重ねで捉えがちだ。だが、過去がどうあっても、「未来にこうありたい」という方向性が決まれば、今が変わる。「過去からの積み重ね」よりも「未来になっていたい状態」のほうが、現在の行動への影響度が高い。だからこそ、「なりたい状態」を自分で把握して、言語化しておくのは大切なことだ。

「過去に何もしていなかったら……」という気持ちは忘れたほうがいい。何かをやるなら、若いうちから行動を始めたほうがいいというのは自明だ。だったら、人生で一番若い今、過去を悔いるよりも、行動を始めるほうがよっぽど合理的だ。

未来の自分を想像するためには、「10年後に自分がなりたい状態を、制限なしに100個くらい書く」のがおすすめだ。誰に見せるものでもない。ワクワクすることをとにかく書き出してみよう。

ポイントは「制限なし」ということだ。そう言われても多くの人は無意識にブレーキをかけてしまう。「年収1000万円」「部長になる!」と書いた人もいるかもしれないが、「年収1億円」「社長になる」にしなかったのは、「それはさすがに無理だろう」と思ったからではないだろうか。

制限を突破するヒントは、数字を「2倍」や「半分」にしてみること。年収1000万円と書いたけど、2000万円のほうが良くないか? 労働時間を週30時間と書いたが、15時間だとどうだろう、と考えてみよう。

「抽象度」の上げ下げで理想に近づける

なりたい状態を書き出せたら、次は「抽象度を上げてみる」作業をする。これは、「なんでそうなりたいんだっけ?」と、もう一段上位の理由を考えてみるイメージだ。そうすると、「1億円がほしいのはお金の不安を持ちたくないから」「部長になりたいのは自分の思った正しいことをやれるようにしたいからだ」といった自分の気持ちに気づけるかもしれない。

抽象化したところからもう一度具体的な目標を考えていくと、より自分の理想に近づくことができるだろう。たとえば、「金銭的な自由がほしい」というところから考えると、「働かないで必要なお金を手に入れたい」という思いに気づき、「不労所得で年に1億円入るようにする」というほうが自分の理想に近いということがわかるかもしれない。このプロセスを経ることで、より精度の高い「なりたい状態」を作ることができる。

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要約公開日 2023.12.20
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