欲望の見つけ方

お金・恋愛・キャリア
未読
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出版社
定価
2,640円(税込)
出版日
2023年02月21日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

フランスの現代思想家ルネ・ジラールが提唱した「模倣理論」によると、人間の人間たるゆえんは他人を模倣するところにあるらしい。そして、模倣からしか人の欲望は生まれないという。

タワーマンションなり、ブランド品なり、iPhone15なり、私たちが欲する対象はすべて模倣に起因している。「いいや、ほかでもない私こそが欲しいと思っているのだ」という反論は当然あるだろう。だがジラールによれば、どの欲望もすべて家族、友達、同僚など自分のなかのモデルに起因しているそうだ。この「模倣の欲望」は争いや競争につながり、そのループはモグラたたきのように延々と続くこともある。

では私たちは、湧いては止まらない欲望とどう付き合えばいいのか。

そこで本書の出番だ。私たちの欲望がどのように他人の影響を受けて形成されるのか、それがどう人生の選択や価値観に影響を与えるのか。そして、人生を満たす欲望とはどのように見つければいいのか。この本はただの自己啓発書ではない。欲望の本質を理解し、薄っぺらい欲望まみれの生活から脱却するきっかけを与えてくれる、思考の宝庫である。

読んでいただければ、自分の欲望をより深く理解したうえで、意図的にコントロールできるようになるはずだ。人に影響されやすい、欲しいものを手に入れても満足できない、欲望あふれる時代に疲れた。そんなことに心当たりのある方は、ぜひ本書の解決策に触れていただきたい。

ライター画像
小林悠樹

著者

ルーク・バージス(Luke Burgis)
1981年生まれ、作家・起業家。ニューヨーク大学スターン経営大学院でビジネスを学び、ローマの教皇庁立大学で哲学と神学を学ぶ。23歳で最初の会社を立ち上げ、ビジネスウィーク誌の「25歳未満の起業家トップ25人」に選ばれた。以後、ウェルネス・消費財・テクノロジーの分野で複数の会社を起業。現在は米カトリック大学で客員起業家として起業家教育を行なっている。ワシントンD.C.在住。

本書の要点

  • 要点
    1
    人間の欲望はモデルに強く影響される。集団や社会においては、人から人へと模倣の欲望が伝わり、そのサイクルがネガティブな方向へ進んでいくと競争や暴力を生むこともある。
  • 要点
    2
    模倣の欲望における負のスパイラルから抜け出すためには、共感力を持って、個人に内在する「濃い欲望」を見つけ出すことが大切である。
  • 要点
    3
    薄い欲望を濃い欲望へと変容させるためには、辛抱強く思考をめぐらす「瞑想思考」が必要である。これが加速度的に進む模倣の文化に対抗する手段となる。

要約

欲望のメカニズム

モデルなくして欲望なし

人の欲望はモデルによって生み出される。私たちが何かを欲しいと感じる時、その裏にはそう思わせる人やモノが必ず存在する。たとえば、衣装デザインの仕事をしている友だちとお店に入ったとしよう。あなたは店内を見回すのだが、特に目立った商品はない。しかし、一緒にいた友だちが1枚のシャツを気に入る。その瞬間、それはただのシャツではなくなるのだ。

このような現象はいたるところに見られる。学校やブランド、レストランでのメニュー選びなど、私たちは絶えずこういったモデルに影響されているのだ。モデルは私たちが持っていないものに対する欲望をかきたて、それを得るための障害が大きいほど、魅力は増していく。

欲望がモデルに依存するという事実に対して、悲観する必要はない。モデルがいなければ言語を共有できないだろうし、現状以上の何かを求めるのも難しいだろう。だが、モデルの存在を認識していないことは、非常に危険である。なぜならモデルの影響力は底なしであり、気づかぬうちにモデルとの不健全な関係に陥りかねないからだ。

セレブの国と一年生の国
Paul Bradbury/gettyimages

あのスティーブ・ジョブズでさえ例外ではなく、誰にでも隠れたモデルがいて、真似をしたいと思っていなくてもそれを模倣している。そしてこのモデルには、自分の世界の「外にいるモデル」と「内にいるモデル」の2種類がある。

前者は、「私たちが住む社会層の外から欲望を媒介」し、私たちと「面と向かって競争することは絶対にない人たち」である。ハリウッド俳優やトップスポーツ選手、ユニコーン企業の創業者などがそうだ。かれらが住む場所を著者は「セレブの国」と名付ける。セレブの国にいるモデルと、自分との間には時間、空間、地位といった壁があり、基本的には競争相手にならない。私たちがセレブの国の人たちの欲望を公然と真似しても、気にされる心配はないはずだ。

一方、「自分の世界の内」とは「私たちの大多数が人生のほとんどを過ごす場所」であり、同僚や友人のように密接に関係する人びとと、そうした人たちとの競争意識であふれている。その場を、「一年生の国」と呼ぼう。一年生の国のモデルは内的媒介者であり、同じ社会空間にいるため、私たちはその言葉や行動、欲望にすぐ影響を受ける。恋愛、キャリア、健康まで競争の対象となり、いつしか差別化の闘いに巻き込まれている。友だちの誰かみたいになりたいと思っても恥ずかしくて認められない。

ゆがんでいく現実

欲望には金融市場などと同じように再帰性がある。一年生の国にいる人たちが欲望を持った参加者と一緒にいれば、お互いに欲望が影響を受け、同じ車に乗ったまま競争を始める。鏡映しのライバル像は歪められた現実であり、差別化のためなら何でもする。そしてそれは、どちらかが競争から抜けるまで終わらない。

SNSはソーシャル・メディエーション(媒介)であり、模倣の欲望を真の原動力としている。スマートフォンは他者の欲望へのアクセスを自由にした。だから、そうした他者の一人ひとりが、私たちの人生にとってどのような意味を持っているのか、模倣の欲望が私たちのなかでどのようにあらわれるのか、考える必要がある。

ある集団の人びとが似ているほど、コンサート会場や政治集会でエネルギーが伝わるように、模倣の欲望は人から人へと伝染していく。それは、フェラーリに触発されて高性能な高級車を生み出しながら、競争を避け続けたランボルギーニのように、ポジティブで健全な欲望のサイクルを生む場合もある。

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要約公開日 2023.12.16
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