最後の海賊

楽天・三木谷浩史はなぜ嫌われるのか
未読
最後の海賊
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楽天・三木谷浩史はなぜ嫌われるのか
未読
最後の海賊
出版社
出版日
2023年09月05日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

「楽天」と聞いて何を思い浮かべるだろうか。ECモール、クレジットカード、プロ野球チーム――実に多角的なポートフォリオを持つ企業といえるだろう。

イーロン・マスクやマーク・ザッカーバーグ、スティーブ・ジョブズなど、巨大IT企業のトップには、その功績をたたえる声の方が多い。しかし、巨大な企業群のトップに君臨する三木谷浩史氏に対しては、否定的な声を聞くことが多いように感じるのは、なぜなのか。

その答えの1つが本書にある。著者は三木谷氏を、日本社会や企業から失われた野心を持つ存在として「海賊」にたとえる。海賊といえば、どことなく野蛮なイメージとともに魅力もある。今や成熟社会となった日本から失われているのが、挑戦や野心だ。「なぜ、日本からGAFAが生まれないのか」という言説を目にするが、私たちが保守的になりすぎたからという一面もあるだろう。そうした社会の空気に対して、三木谷氏は異彩を放つほどエネルギッシュに挑戦を続けている。かつて日本で変革を起こしてきた起業家たちは、まさにそうした「海賊」だった。

著者は、緻密な取材により、三木谷氏による数々の功績とともに、楽天グループをここまで支えてきた豊富な人材の活躍ぶりをもあぶり出している。三木谷氏の評伝としても、楽天グループの歴史を追う意味でも、実に興味深い一冊だ。はたして「海賊」は「英雄」になれるのだろうか?

著者

大西康之(おおにし やすゆき)
1965年生まれ。愛知県出身。ジャーナリスト。88年早大法卒、日本経済新聞入社。日本経済新聞編集員、日経ビジネス編集委員などを経て2016年4月に独立。「ファーストペンギン 楽天三木谷浩史の挑戦」(日本経済新聞出版社)『東芝、原子力敗戦』(文藝春秋)、『流山がすごい』(新潮新書)など著書多数。『起業の天才! 江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男』(東洋経済新報社)は第43回「講談社本田靖春ノンフィクション賞」最終候補にノミネート。

本書の要点

  • 要点
    1
    気骨をもった経営者が減る中、事業家としてあり続ける三木谷氏は、今や「最後の海賊」とも呼べる。
  • 要点
    2
    楽天モバイルが成し遂げた大偉業が、通信の完全仮想化である。日本では同社の赤字が注目され「経営不振」といわれるが、国外のカンファレンスでは高い評価を受けている。
  • 要点
    3
    仮想化の立役者が、インドの通信会社から引き抜いたタレック・アミン氏だ。
  • 要点
    4
    三木谷氏は「がん撲滅」の挑戦を続けている。父の罹患をきっかけに世界を駆け回り、私財を投資してきた。

要約

最後の海賊・三木谷浩史とは

モバイル事業は「失敗」か「賭け金」か?

2023年2月にスペイン・バルセロナで開催された国際見本市「モバイル・ワールド・コングレス」。世界200の国から6万~8万人の通信事業関係者が集まるこのイベントで、楽天グループ会長兼社長の三木谷は商談に明け暮れていた。

国内では「経営難」といわれることも多いが、世界中が楽天に注目している。背景にあるのは、楽天モバイルが世界で初めて実現した、携帯ネットワークの完全仮想化だ。楽天が挑戦した当初、「絶対に失敗する」という見方が強かった。しかし、現在すでに日本国内で500万人に近いユーザーが、日々楽天モバイルのサービスを利用している。

三木谷は楽天市場や楽天カードで得た利益を携帯電話事業に注ぎ込み、仮想化に成功した一方で赤字は拡大している。三木谷からすれば世界進出に向けた「賭け金」であるが、国内メディアは「業績不振」と見ている。だが、たとえば電気自動車の廉価モデル開発に苦心していたテスラは、当時四半期ごとに3000億~4000億の損失を出していたとされる。そこから見れば「かわいいもの」といえるだろう。

なぜFCバルセロナを狙ったのか
Dmytro Aksonov/gettyimages

三木谷とバルセロナといえば、2016年から始まったFCバルセロナの縁も深い。ホームスタジアムの「カンプ・ノウ」を訪れた三木谷は、FCバルセロナ会長とサインを交わし、5年で300億円にものぼるパートナーシップ契約を結んだ。

当時、楽天グループの海外事業といえばメッセージング・アプリやキャッシュバッククーポンサイトくらいだった。契約を結んだ当時、三木谷はこう語っていた。「プロ野球に参入したときも、みんなにバカにされたけど、あれで楽天は全国区になった。同じことを今度は世界レベルでやる」。

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要約公開日 2024.02.17
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