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チームXの表紙

チームX

ストーリーで学ぶ1年で業績を13倍にしたチームのつくり方


本書の要点

  • 新規集客が不調だった北の達人コーポレーションは、高い利益率を保持したまま新規集客数を回復させるべく、チームの変革に取り組んだ。

  • チーム変革施策の一つに、KPIの設定がある。「何をどう頑張ればいいか」「どれくらい頑張ればいいか」を明確にするために、成果を適切に測れる「数値目標=KPI」を設定した。

  • チームの足並みをそろえるためには「共通言語化」が不可欠だ。北の達人コーポレーションでは、「達成確率100%キープの法則」と「エモーションリレー」という共通言語が生まれたことで、成果が上がりやすくなった。

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チームX、始動

集客人数の減少と退職者続出

著者が代表を務める北の達人コーポレーション(以下、北の達人)は、自社ブランドの化粧品や健康食品をeコマースで販売している。1日単位の「集客人数」(新規購入者数)を一つの指標とし、社長兼WEBマーケティング部長の著者が中心となってさまざまな施策を展開してきた。

ところがあるときから、集客人数が大きく落ち込むようになった。特に、自社で広告クリエイティブやLPをつくり、ヤフーやツイッターなどに出稿して新規集客する「主集客」の落ち込みは顕著だった。全盛期の2019年には1日平均1000人集客できていたのに、2021年12月には163人に減少していたのだ。

さらに悪いことに、「主集客」の業績悪化に伴って退職者が続出した。社歴が浅くスキルの高くないメンバーは「この会社の商品は売れない」と見限って転職していったし、スキルの高いメンバーを採用しても、「木下社長の理念や経営手法に惹かれて入ってきたが、現場は全然違っていた」と辞めていく。社内の雰囲気は悪化し、会社に対するロイヤリティが高いメンバーまで「こんな北の達人は見たくない」と言って去っていった。

「高利益率を維持したまま難局を乗り越える」という決意

TommL/gettyimages

WEB広告の世界には、一人の集客にかかったコストを示す「CPO」(コスト・パー・オーダー)という指標がある。利益を増やすには、「CPO」を最小化しつつ「集客人数」を最大化することが重要だ。そしてそれを実現するためには、よいクリエイティブをつくり、広告のクリック率や、クリックした人の購入率(コンバージョン率)を高めていくのが王道だ。

北の達人では、「上限CPO」を設定し、それを超えた広告はただちに出稿を止めてクリエイティブを改善することで、少ないCPOで成果を出していた。だがいつしか、上限CPO以内では集客できなくなっていた。

そこで著者は、主集客に関わるメンバーたちを集めて意見を聞いた。今の自分たちの実力に合わせて上限CPOを上げるべきか、つまり利益率を落としてでも売上を維持すべきかどうかと相談したのだ。

するとあるメンバーが口を開いた。「俺、利益率が高い会社だから、ここに入ったのに」

他のメンバーたちも口々に「利益率は維持しよう」「普通の会社にはなりたくないよな」と言い、「北の達人の存在意義は、付加価値のバロメーターである利益率が高いことだ。あくまでも高利益率を保持したまま、この難局を乗り越えよう」という結論に至った。チームの変革(トランスフォーメーション)、「チームX」の始まりだ。

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【必読ポイント!】 風土改善・教育の仕組み改革・KPI設定

風土改善

上限CPO以内で集客できなくなってしまった原因の一つは、同じようなクリエイティブを使い続けていたことだ。

だが、当時のメンバーに何度言っても、新しいコンテンツをつくろうとはしなかった。彼らはこれまで、すでにあるものを分析して要点をつかみ、効率的に拡大することで成果を出してきており、新しいものをゼロからつくり出す経験がなかったのである。具体的なやり方を教えても、誰も動き出そうとせず、「自ら動かない風土」になってしまっていた。

その風土を変えるべく、著者は「自ら新コンテンツを生み出す風土のチーム」として、まったく新しいチームをつくった。中心に据えたのは、新卒入社後わずか半年のシュウヘイだ。シュウヘイは、顧客層を理解したいからと40~50代の女性が同居するシェアハウスに引っ越すなど、熱意あふれる新人だった。

彼と数人の若手をあえて「自ら動かない風土」が染みついた既存チームから切り離し、まったく新しいものを生み出すことを期待した。

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要約公開日 2024.02.13
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