アドラー心理学の基本に「勇気づけ」という考え方がある。「勇気づけ」とは、「困難を克服する活力を与えること」だ。勇気づけのためには、「オセロ・ゲームの生活」を心がけるのがおすすめである。
同じ職場で働く黒田さんと白井さんの生活を見比べてみよう。
黒田さんは朝が苦手で、ギリギリまでベッドから出られず、朝食をとる間もなく駅に向かう。その道のりでは昨日の深酒や夜更かしを後悔している。1日のはじまりに黒のオセロが置かれている状態だ。
日中の黒田さんは仕事で大きな受注を得て喜ぶ(=白のオセロが置かれる)こともあれば、部下のミスで不愉快になる(=黒のオセロが置かれる)こともある。
夕方には、同僚から誘われると、昨日の後悔も忘れてまた深酒してしまい、そのことを悔いながら眠りにつく。せっかく会社で白のオセロがあったにもかかわらず、朝と夜の両端が黒のため、黒田さんの1日は黒のオセロの1列になる。
一方、白井さんの朝は気持ちのいいものだ。1日の最初に白のオセロが置かれている。
日中には怒り心頭の顧客に対応しなければならない(=黒のオセロが置かれる)こともあるものの、夕方から夜にかけては家族とともに過ごし、穏やかな気持ちで眠りにつく。こうして朝と夜に白のオセロを置くことにより、白井さんの1日は白のオセロの1列となる。
白井さんのように、あなたも朝と夜の気持ちを意識的に「よいもの」にしてみよう。白のオセロばかり置けるような人生はないが、朝と夜に気をつければ、人生の盤面に白い石を増やしていくことができる。
自分の気持ちを変えて「勇気づけ」したいときには、自分が理想とする姿を具体的に思い浮かべ、そこから逆算して行動していく方法もある。その手順を3つのステップで見ていこう。
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