「暗記する」戦略思考

「唱えるだけで」深く、面白い「解」を作り出す破壊的なコンサル思考
未読
「暗記する」戦略思考
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「唱えるだけで」深く、面白い「解」を作り出す破壊的なコンサル思考
未読
「暗記する」戦略思考
出版社
かんき出版

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出版日
2023年07月27日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

凡人が天才に勝る唯一の方法は「暗記」だ。この「暗記」を使いこなせば、凡人でも天才のような深く面白い解を作ることができる。

本書は、凡人がその「考える力」、中でもトップクラスの「戦略思考」を使えるようになるためのノウハウを紹介している。そのポイントはズバリ、この「暗記」である。

思考力を身に付けるために重要なのが「暗記」というのは、いささか違和感があるかもしれない。しかし、本書を読み進めていくと納得できるはずだ。

本書は6冊目の「タカマツボン」になる。思考力を身に付けたいビジネスパーソンが支持する「考えるエンジン講座」代表の高松智史氏による著書で、発売日に重版が決まった話題書だ。

その人気の秘密は、読んでみるとよくわかる。本書は、著者による講義形式を取っている。ビジネス書でありながら、身近な話題を扱い、読みやすい。実際に問題に取り組みながら進んでいくため、自分に何が足りていないのかを実感できる。

本書では12の「暗記する」戦略思考講義を読み解き、それを「スウィッチ」化して暗記し、使い方を身に付ける。読み終わるころには、きっとその思考法を使ってみたくなっているはずだ。

要約では12ある「暗記する戦略思考講義」のうち、2つを紹介しながらそれぞれの戦略を紐解いていく。すると、センスや経験など関係ない、誰でもできる「暗記」が持つ力に驚かされる。

ぜひ本書で考える力を磨いてほしい。戦略思考が生み出す解は、さまざまな場面で役立つはずだ。

ライター画像
中山寒稀

著者

高松智史(たかまつ さとし)
経営コンサルタント
(株)KANATA代表取締役/「考えるエンジン講座」。一橋大学商学部卒。NTTデータ、BCG(ボストン・コンサルティング・グループ)を経て、論点思考を伝授する「考えるエンジン講座」を自ら講師として教える授業を提供。本講座は個人、法人合わせて、年間千人が受講。また、コンサル思考・心得を配信する、登録者数10万人のYouTube「考えるエンジンちゃんねる」の運営者でもある。著書には『コンサルが「最初の3年間」で学ぶコト』『コンサルが「マネージャー時代」に学ぶコト』など7冊あり、累計30万部を超すベストセラー作家でもある。趣味はブラジリアン柔術で、トライフォース大島所属。

本書の要点

  • 要点
    1
    情報量が少ない問題を具体的に想像するためには、自分なりに状況を置き、深く考えるための思考環境を整える。
  • 要点
    2
    戦略思考も含め、すべては「答えのないゲーム」である。戦い方としては、次の3つだ。①「プロセスがセクシー」=セクシーなプロセスから出てきた答えはセクシー、②「2つ以上の選択肢を作り、選ぶ」=選択肢の比較感で、“よりよい”ものを選ぶ、③「炎上、議論が付き物」=議論することが大前提。時には炎上しないと終われない、だ。
  • 要点
    3
    戦略スウィッチは、いつでも全部使うと考えよう。使い方に先入観を持ってしまうと別の場面では使わなくなる。

要約

「戦略思考」は答えがないゲーム

検討すべきポイントとは?
metamorworks/gettyimages

最初に紹介する問題は、「大学1年生が、英語留学を考えています。留学先に相応しい国はどこか?」だ。

「考える力」を学ぶときは、状況が詳しく示されていない「一行問題」が適している。背景や状況の前提条件が少ない問題は、思考のスキルがないと考えを深めることができないからだ。

この問題で注目すべきは、大学2年生、3年生、4年生でもなく、「大学1年生」という点だ。それを思考の中心に据えて、具体的に「大学1年生」を想像してみる。以下のように、「大学1年生といえば」と自分勝手に状況を置いて、深く考える「思考環境」を整えるのだ。

・4月に入学し、体育会系の部活も、就活を考えるとそそられるけど、世にいう「モラトリアム」な大学生活だから、サークル活動で青春を謳歌する。

・授業のサボり方も当然、まだわからないから、出席マストだろうが関係なく、出席をする生活が始まる。夏にもなると慣れてきて、「何かを学ぶ」という崇高なる論点はどこかにいき、「単位をとれればいい」という日本の典型的大学生になっていく。

・「練習」よりも「飲み会」に軸足があるサークルを選択し、夏休みにはサークル合宿がある。友達ができるのもこれからなので、サボりづらいし、仲間外れは嫌だから参加したい。

・そのためにも、人生初のバイトを入学と同時に探し始め、週2~3日のバイトをし、日々の遊び代を稼ぐ。

・サークル活動をはじめとして、新しいコミュニティの中で「自分のポジション」を確立せねばならないから、「英語留学の時期はおのずと冬・春休み」。

・加えて、留学費用/海外での遊び代を稼ぐ期間も必要だから、やはり、「英語留学の時期はおのずと冬・春休み」が濃厚。

・実際、1年生が終わる「3月」に照準を合わせると、11ヶ月で、毎月3万円貯めれば、33万円でいけそうだし、両親に半分出してもらえれば、予算は50万円。

「大学1年生」について深く考え、具体的に自分勝手に状況を置いて想像してみると、見えてくることが多い。仮定した状況が間違っていても構わない。想像するプロセスにより、検討すべきポイントが洗い出せるはずだ。

具体的には「大学になじむ期間が必要だし、『サボりながら』単位を取るやり方もまだわからないし、なにより、留学費用の工面も考えねばならないこと」といった、この問題で意識すべきポイントが見えてくること自体が価値となる。それをあぶりだす、その深さまで考えることが目的であり、そのために状況などを勝手に置くのだ。

答えのないゲームを戦う3つの方法
Jacek_Sopotnicki/gettyimages

次に模範解答と同様に大事な、「模範誤答例」の一部を提示する。「ここは思考が浅い、思考パスを飛ばしている」とつっこみながら、「模範誤答例」を読むのが戦略思考を学ぶポイントだ。そうすることで、模範解答を学ぶのと同じくらい深い学びを得ることができる。

「思考パス」とは、「あれから考えて、その次にこれを考えて、その次は……」という「考えるべきこと」の連なりを指す。

模範誤答例では、「英語留学の期間は、短期の1ヶ月から比較的長期の6ヶ月以上がある。時間的制約がない大学1年生であれば、6ヶ月以上の英語留学を選択する」という記述がある。しかし、大学1年生と自分勝手に状況を置いて思考を回していれば、「時間の制約がない」とは判断しないはずなのでリアリティが薄いことによる思考の浅さに気づけるはずだ。

自分でモノゴトを考えるときも、自分でつっこみを入れ、思考を深くする感覚を身に付けよう。

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要約公開日 2024.03.14
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