一生懸命説明したのに、相手からの反応が芳しくないという経験は誰にでもあるはずだ。さっき説明したことについて“今さら”の質問をされたり、自分が熱く語っていることに相手が上の空だったり……。そんな状況に陥る原因は「あなたの話に聴き手が興味を持ってくれていない」からだ。その背景には「コミュニケーションの分断と断絶」がある。
「推しの世界」のようにある世界を出たとたんにまるで理解されなくなる「分断」、考え方や知識のギャップが激しいがゆえに起こる「断絶」。現代では、こうしたギャップのために、お互いの話が「わからない」「つまらない」「興味がない」状況がよく起こるようになった。こんな時代だからこそ、「言葉による説明」の重要性は増しているといえる。
言葉による説明は、分断された世界に「橋」を架ける力だ。本書の考える「よい説明」とは、「聴き手の感情を刺激し、聴きたくなるようにワクワクさせる説明」である。この「よい説明」の技術を「11の型」という形で提案する。型を使えば話を素早く組み立てることができるうえに、説明の成功確率を上げることができる。さらには、自分独自の型もつくりやすくなっていく。
「よい説明」で伝えたい内容を最短で伝えることができれば、「この人の話を聴いてみたい」と思ってもらえるようになるし、自分の提案を通してやりたいことを実現しやすくもなるだろう。「説明上手」になることで、あなたの人生の舞台はさらに広がっていくはずだ。
著者にはこんな経験がある。ある経営者の講演を聴いている間に眠くなってしまって、何も頭に入ってこなかった。ところが、スライド資料を見返してみると、内容そのものはとても面白かったのだ。
話の中身にあたる素材(ネタ)は面白いのに、その話が伝わってこなくて「つまらない」と感じてしまうことは少なくない。本当はもっと価値がある話なのに、説明がよくないせいで伝わらないのは、とてももったいないことだ。これでは聴き手は話し手やネタにマイナスイメージを持ってしまいかねないし、場合によっては大きなチャンスを逃すことになるだろう。
人前で話すことに苦手意識がある人は、話し方やジェスチャー、話す内容の素材そのものに問題があると思いがちだ。しかし、1000人以上のビジネスパーソンの話し方を分析した著者によれば、本当に問題があるのはそこではない。聴き手に「つまらない」と感じさせてしまうのは、人の頭の中にある3つの壁を越えられないからだ。
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