世界で最もクリエイティブな国デンマークに学ぶ 発想力の鍛え方

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世界で最もクリエイティブな国デンマークに学ぶ 発想力の鍛え方
出版社
クロスメディア・パブリッシング
出版日
2014年11月27日
評点
総合
3.5
明瞭性
3.0
革新性
4.5
応用性
3.0
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おすすめポイント

英レストラン誌が世界一のレストランに選出した「noma(ノーマ)」や、組み立てブロック「レゴ」の本社がデンマークにあることをご存知だろうか? 北欧というと、お洒落なインテリアや家具や豊かな自然がイメージされるが、そのなかでも実はこのデンマークこそが「世界で最もクリエイティブな国」と言われている。本書に登場するデンマークの人と企業は確かに発想力豊かで、読み進めるうちにこの表題が決して誇張ではないことが分かるだろう。

本書は国内のビジネス書ではあまり語られてこなかったデンマークのアーティスト、企業、組織にデンマークに拠点を構える経営者と大学教授がインタビューを行いながら、クリエイティビティとは何かに迫る、という内容だ。バレエダンサー、レゴのオーナー、世界一のレストランのシェフ、建築家、軍の管理職、オンラインで活動するタトゥアーティストなど多様な面々が登場し、それぞれがどうやって発想力を鍛えているかが明かされる。単なるインタビュー集にとどまらず、従業員から創造性を引き出すための工夫や、薬物のクリエイティビティを高める効果の検証など、多面的な分析が興味深い。

日本と同様にデンマークも天然資源に恵まれているとは言い難い小国だが、クリエイティブな分野における国別のランキングでは常に上位に食い込んでいる。本書を読めば、そのイノベーション創出のヒントがうかがえるはずだ。

著者

クリスチャン・ステーディル(Christian Stadil)
スポーツ衣料品メーカーhummel(ヒュンメル)のオーナーで、海運、テクノロジー、食品、不動産などの事業を所有するトアニコグループのCEO。グローバルな事業展開と、デザインやイノベーション志向の経営で注目されている。
リーネ・タンゴー(Lene Tanggaard)
オールボー大学の心理学教授で、同大の「クリエイティビティに関する文化心理学国際センター」の共同ディレクター。職場におけるクリエイティビティやイノベーションについての著書があり、雑誌気候や講演活動も行っている。

本書の要点

  • 要点
    1
    デンマークは人口600万人の資源のない小国であるからこそ、国民にクリエイティビティに対する尊重と探究の意識が通底しており、世界的にクリエイティブな国として認められている。
  • 要点
    2
    クリエイティビティとは「既存の枠にとらわれずに考える」ことではなく、「既存の枠の限界ぎりぎりのところで考える」ことだ。言い換えれば、すでに存在するものを新たな方法で知的に組み合わせる能力のことを指す。
  • 要点
    3
    企業や組織でクリエイティブな文化を推進していくには、結果が出るまではリーダーが先導する必要がある。さらに、組織内の壁を取り除き、さまざまな従業員を参加させることが鍵となる。

要約

【必読ポイント!】 デンマークのクリエイティブモデル

デンマークに学ぶクリエイティビティ
swisshippo/iStock/Thinkstock

デンマークはここ数年にわたり、クリエイティビティやイノベーションを推進する取り組みに関するランキングで、常にトップ5入りを果たしている。人口は600万ほどでしかなく、国内の競争が激しいとはいいがたいのに、世界と肩を並べている。この国のクリエイティビティの裏には何があるのか? 本書はデンマークのライフスタイルや、クリエイティブな人物の考え方、企業の組織構成や戦略と絡めて、この疑問に答えてくれる。

本書の2人の著者(一人はスポーツ衣料メーカーのCEOでデザインとイノベーション志向の経営者、もう一人はオールボー大学でクリエイティビティやイノベーションを研究する心理学教授)は、「クリエイティブとは何か」「どうすればそれを発揮できるのか」を探究するため、デンマークの第一線で活躍するクリエイティブな人々に詳細なインタビューを行い、その結果をまとめた。

本書で紹介するエピソードには、デンマークらしい特色が備わっている。デンマークには戦略の策定に従業員を参加させる豊かな伝統があり、上層部と下層部の距離が短い点がクリエイティビティを促進するもとになっている。価値あるものを生み出すには、上層と下層の間を本当に必要な知識が流れていく環境が欠かせない。こうしたデンマーク・モデルのクリエイティビティには、世界規模で利用できる重要な要素があるのだ。

既存の枠の限界ぎりぎりまで足を踏み出す

クリエイティビティという言葉は何を意味しているのか? クリエイティブな人とは、何ができる人のことなのか?

著者らは、クリエイティビティとは「新たなものを有意義な形でこの世に生み出すこと」と考えている。決して、「既存の枠にとらわれずに考える」ことではない。そうではなく、「既存の枠の限界ぎりぎりのところで考える」ことなのだ。既存の枠の限界は、既存のものと新たなものの間、異なる業界、異なる知識領域、異なるスキルの間に現れる。そこに踏み込むことで、他者の業績を参考にすることができる。しかし、既存の枠から完全に外れてしまってはどうにもならず、売り物にならないおそれすらある。

ブルーフルーテッドは、陶磁器メーカー「ロイヤルコペンハーゲン」の1775年から続く代表作だ。2001年に発表されたブルーフルーテッド・メガは、このシリーズのかつてのデザインを拡大しただけに過ぎないが、それによって新しさと親しみやすさを同時に備えたデザインとなった。

これまでと違うことを行えばクリエイティブになるわけではない。それに加え、他者にとって価値あるものを生み出さなければならない。既存の枠から脱け出すのではなく、既存の枠の限界ぎりぎりのところで考えるよう繰り返し述べているのは、そのためだ。クリエイティビティとは、既成概念にとらわれずに考えるだけでは十分でなく、新たな方法で知的に物事を組み合わせる能力だと言える。

クリエイティビティには、特定の領域の知識が必要になることも大いに強調しておきたい。伝統を更新するには、伝統を熟知していなければならない。

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要約公開日 2015.02.20
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