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研究者のための思考法 10のヒントの表紙

研究者のための思考法 10のヒント

知的しなやかさで人生の壁を乗り越える


本書の要点

  • 自分の内なる声に耳を傾けても、天職は見つからない。本当に自分がやりたいことは外部環境が偶然に教えてくれると認識すべきだ。

  • 今の仕事が天職であるかどうかは、長い期間その仕事をやってみないと判断できない。人によっては、最後までわからない場合もあるかもしれないが、そのプロセスにこそ価値がある。

  • 外見では軸がブレないという芝居を演じていても、内面では状況に応じて最善の解を常に更新し、過去の自分を変えることをいとわない知的柔軟性をもちあわせなければならない。

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本当にやりたいことがなくても問題ない

天職は、自分で探すものではない

自分が「本当に」やりたいことは何だろう――。こういった「自分探し」に悩んでいる人、悩んだことがある人は多いだろう。「自分のやりたいことがまだ見つかっていないと感じている人には安心できるお知らせがある。」と著者はいう。それは、「自分が本当にやりたいことがわかっていることはほとんどいない」ということだ。「将来◯◯になりたい」というような漠然としたあこがれをもっている人ならある程度いるかもしれないが、「本当にやりたいこと」という明確な目的意識と「将来◯◯になりたい」というあこがれは全く違うものなのだ。そして著者は言う。「『本当にやりたいこと』がなくても全く問題ありません。そのままで幸せな人生を過ごすことができます」と。――本当に? 私たちは、この「自分が本当にやりたいこと問題」をどう解釈し、扱えばよいのだろうか。

ちょっと飛躍するかもしれないが、「本当にやりたい仕事」が「天職」であるとしよう。そうすると、自分の天職とは何かと考えるときには、「まず自分を見つめなおし、自分のやりたいことは何か、自分の適正は何か、仕事の将来性はどうか、仕事に情熱がもてるかなど自問自答」することになる。

一方で、天職は英語でVacationまたはCallingといい、天から神様が与えてくださる職業のことをいう。つまり、自分の内なる声が告げてくれるのではなく、天が告げてくれると考えるのだ。このように、天職は与えられるのであって、自ら取りにいくものではないのである。

別の言い方をするなら、天職とは「いくつもの偶然の結果(振り返ってみれば奇跡的な出会いやタイミングに思え、天から与えられるように感じることも多い)、自分の内側ではなく外側から与えられた機会に自分の内面が反応すること」だと著者は言う。したがって、自分が本当にしたいことがまだわかっていない人が自分の内側をいくら探しても、自分の内なる声に耳を傾けても、天職は見つかるはずがないのだ。

天職に出会うまでのプロセスに価値がある

maurusone/iStock/Thinkstock

「自分のやりたいことを明確にし、人生目標を具体的に立てて、その目標達成のためにひたすら努力すれば人生はうまくいく、というアドバイスは本質的には虚構」である、とは著者の言葉である。原理的にも技術的にも、未来を正確に予測することは不可能なことは誰にでも明白だ。しかも、これから時代の変化はますます速く激しくなるだろう。近未来でさえ予測は困難なのだから、最初に立てた計画がそのままうまくいく確率は著しく低い。したがって、あらかじめ決めた人生目標に固執することは、あえて失敗する可能性を上げているようなものだ。ある研究結果によれば、成功した企業のなんと93%が、当初の事業計画を大きく変更したり、破棄することを余儀なくされていたりするという。

人生設計に必要なのは、最初に計画する「意図的戦略」と、途中で予期せぬ出会いから生まれてくる「創発的戦略」のバランスだ。

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要約公開日 2015.02.20
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