ビジネスを育てる 新版

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出版社
ディスカヴァー・トゥエンティワン

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出版日
2024年05月24日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

起業家や経営者として大きな成功を収めるには、どのような経験が必要だろうか。一般的には、名門大学で学ぶ、一流企業で勤務するといった経験を思い浮かべる人が多いかもしれない。だが本書の著者は、そのどちらも当てはまらない。

著者のポール・ホーケン氏は、喘息に悩む自分のための食材を気軽に手に入れられるよう、ボストンで自然食品店を開いた。その店を何百人もの従業員を雇うビジネスへと成長させたのちに売却し、園芸道具のメールオーダー通販会社「スミス&ホーケン」を立ち上げる。フードビジネスで付き合いのあった農家が、アメリカの園芸道具会社の怠慢について熱く語るのを聞いたことがきっかけだ。そうして創業したスミス&ホーケンもまた、成功を収めた。

本書では、そんなホーケン氏のビジネス哲学がまとめられている。そのメッセージは特別難しくも刺激的でもない。とにかく動き出すこと、誠実に取り組むこと、事象を客観視することなど、ごく当たり前のことばかりだ。だが、多くの企業が利益第一主義に走りがちな現代において、これ以上に胸に迫るメッセージは決して多くないだろう。

本書は1987年にアメリカで刊行された後、世界中で読み継がれている。著者のようにスモールビジネスを立ち上げたい人はもちろん、企業に属するビジネスパーソンも、本書から多くを学べるだろう。

ライター画像
大賀祐樹

著者

ポール・ホーケン(Paul Hawken)
起業家、作家、活動家であり、環境の持続可能性およびビジネスと環境の関係を変えることに人生を捧げている。経済活動が生態系に与える影響について執筆活動を行い、経済発展、産業エコロジー、環境政策について各国の首脳やCEOにコンサルティングを行っている。
本書『ビジネスを育てる』は、ホーケンがホストを務め制作したPBS(公共放送サービス)17部構成シリーズの基礎となった。115か国でテレビ放映され、1億人以上が視聴した。
著書に『ドローダウン―地球温暖化を逆転させる100の方法』『リジェネレーション [再生]―気候危機を今の世代で終わらせる』(ともに山と溪谷社)、『祝福を受けた不安―サステナビリティ革命の可能性』(バジリコ)、『サステナビリティ革命―ビジネスが環境を救う』(ジャパンタイムズ)ほか。

本書の要点

  • 要点
    1
    ビジネスにおいて、問題がゼロになることはない。問題があるところにチャンスがあると捉え、その時々の問題に真摯に向き合うべきだ。
  • 要点
    2
    「商売のセンス」の有無がビジネスの成功を左右する。このセンスは「粘り強く物事をやり遂げる力」「事実に向き合う能力」「リスクを最小にできる力」「現場で学ぶことの力」「数字で考える力」の5つの力によって構成される。
  • 要点
    3
    ビジネスの成長には、市場からの「あなた(の会社)がビジネスをしていいですよ」という「パーミション(許可)」が不可欠だ。

要約

【必読ポイント!】 成功と失敗を分けるもの

始めなければ始まらない

「当たり前じゃないか」と言われるかもしれないが、どれだけ素晴らしいビジネスアイデアを持っていても、始めなければ始まらない。とはいえ、一つとして同じビジネスはないのだから、すべての人に共通する出発点など存在しないのもまた事実だ。

出発点を知る方法の一つは、「何が出発点ではないのか」を考えることだ。それは、ビジネスプランでも、銀行口座に資金があることでも、店舗スペースを賃貸することでも、商品でも、気取った役員室でも、高価な車でも、エグゼクティブ同士の長時間にわたる外食ランチでもない。

まずは、あなたのビジネスアイデアをわかりやすいエッセンスに凝縮することから始めよう。そしてそれができたら、さらに凝縮してほしい。ビジネスはとにかく小さく始めることが大切だからだ。

ビジネスの成長は一歩一歩階段を上がるようなものである。階段を丁寧に踏みしめながら上がっていけば、失敗は起こらないだろう。早く成長したいからと一段抜かしで上がるのは、かえって逆効果である。

ビジネスと人柄の関係
b-bee/gettyimages

経営者はさまざまな局面で人柄が試される。取った行動が正しかったか間違っていたか。社員の扱いはフェアか、違うか。社会環境の役に立ったか。逆に汚染してしまったか……。

ある配管工のエピソードを紹介しよう。彼のビジネスは「メンテナンス・サービス料として年間100ドルをお支払いいただきましたお客様には何度でも無料で修理に参ります」というもので、商いは順調に拡大し、彼の給料は100万ドルを超えた。

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要約公開日 2024.11.10
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